iPhone、Apple Watch、そのライバル製品はどうなる？ 2021年秋以降のITガジェットを予測する（1/4 ページ）

[西田宗千佳，ITmedia]

　例年通りであれば、9月にはAppleのiPhoneなどの新製品が登場し、年末までにハイテクガジェットの新製品が数多く発表されるはずだ。ジャーナリストの西田宗千佳さんが、秋以降のITガジェット新製品の傾向を予想する。

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　秋・年末商戦に向けた新製品が多く発表される季節がやってくる。

　いろいろとうわさはあるが、それをもとに細かく論評する気はない。いつどんな製品が発売されるのか、正確なところは「発表されれば分かること」だ。発表が近くなった今、間違いが混在した情報を基に議論しても混乱を招くだけで、あまり意味はないと思っている。

　とはいうものの、どの製品がいくらで厚さが何ミリで……といった話はともかくとして、2021年後半から2022年にかけてどんな変化が生まれるのか、「傾向の予想」はつく。

　今回はIT関連製品について、ジャンルごとに変化を予測してみたい。

　こうした予測は「当たるも八卦当たらぬも八卦」の世界である。それぞれちゃんと根拠があって書いてはいるのだが、外れても温かい目でスルーしていただければ幸いだ。

この記事について

この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年8月9日に配信されたものです。メールマガジン購読（月額660円・税込）の申し込みはこちらから。さらにコンテンツを追加したnote版『小寺・西田のコラムビュッフェ』（月額980円・税込）もスタート。

iPhoneは「4つのMNOでの販売」に注目

　まずは、一番注目が集まるであろう「スマートフォン」から行こう。

　スマートフォンにおいてはiPhoneの動向が、良くも悪くも大きな影響力を持っていることは疑いない。

　ミドルクラス以下のAndroid端末でも十分な性能を備え、5Gにも対応するようになっている今、iPhoneでなければいけない理由が減っているのは厳然たる事実だが、それでもスマートフォンを選ぶときにiPhoneをファーストチョイスにする人がまだ多いのは間違いない。

　楽天モバイルがiPhoneの取り扱いを大々的にアピールするのも、それだけ「iPhoneを選び続ける」人が多いことを示している。

　2020年の「iPhone 12」シリーズは、5G対応に移行したこともあって、デザイン変更を伴う久々の「大型アップデート」になった。そうなると必然的に次はiPhone 12の延長線上での進化となる。5G普及期が続くことを考えても、iPhoneの需要は高いだろう。

iPhone 12ファミリー

　日本に限定した話だが、前述のように楽天がiPhoneを扱うようになったので、2021年は「4つのMNOがiPhoneの新製品を同時に売る」可能性が出てきている。そうなると、販売の現場がどうなるか楽しみではある。逆に秋の新モデルが楽天で売られないとなると、その事情が知りたくなる。

　細かな性能はともかく、技術進化のトレンドを考えるとSoCの性能は予想がつく。TSMCの最新プロセスを利用するだろうから、現行の「A14 Bionic」からエネルギー利用効率を高め、各コアの処理能力も高めた形になるだろう。2割アップすれば上等と予想している。

　小さな値ではないが、誰もが触った瞬間に違いを感じるほどではない……という線だ。なお、搭載されるのはA14の延長線上のもので、MacやiPad Proに搭載された「M1」ではない、と確信している。AppleはM1について「Macでのニーズに特化した」と幾度もコメントしており、取材中にもそう聞いている。スマートフォンに求められる性能の規模や機能を考えても「A14の改良版」が適切だ。名前が15なのかは分からないが。

　ディスプレイやカメラを含めた搭載されるデバイスの消費電力は確実に上がる。ソニーは「特定のパートナー向けToFセンサーの出荷は好調」とコメントしており、Appleが「LiDAR」と呼んで搭載している距離センサーの搭載機種も増えるのかもしれない。

　どちらにしろ、SoCの消費電力を下げ、さらに別の手も打たないと動作時間が短くなってしまう。バッテリー容量が増加するとのうわさもあるが、十分にありうるだろう。Appleは、動作時間を語る際、細かなスペックよりも「性能アップして以前と同等」という言い方を好む。今回もその可能性は高い。