「メタバース×ブロックチェーン」の未来(前編) Thirdverseの國光CEOと話す、VRのその先(1/3 ページ)
先日、あるスタートアップの代表にインタビューを行った。相手は、VR関連企業であるThirdverseの國光宏尚CEOだ。ゲーム会社gumiの創業者でありながら退任し、VRとブロックチェーンに賭けた人物である。
前編はThirdverseの考える「バーチャルな世界」の在り方についての話だ。後編ではそれを受けて「ブロックチェーンとメタバースのある未来」について話していく。
Thirdverseとはどんな会社なのか
本題に入る前に、國光さんが何をしている人なのか、改めてご紹介しておこう。
國光さんはThirdverseの代表取締役CEOであるが、「元gumiの國光さん」といった方が分かりやすいかもしれない。2007年にモバイル向けのサービス開発会社であるgumiを創業、主にスマートフォン向けのゲームを開発してきた。
そんな國光さんがgumiを離れ、次に取り組んでいるのが「VR」だ。2015年からVR・ARなどに関するインキュベーションを手掛けてきたが、Thirdverseはその中で生まれたVR関連ゲーム開発会社「よむネコ」を母体として創業した。
2019年にマルチプレイ可能なVR剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」を発売、現在も日本と北米のスタジオで、それぞれ1本ずつ新規のVRゲームを開発中。それらを武器に「世界を獲る」ことを狙っている。
一方で、同社の目的はVRのゲームで大成功を収めることだけではない。社名の「Thirdverse」は「サードプレイス」と「メタバース」からの造語だ。サードプレイスとは、自宅でも職場や学校でもない「心が落ち着く第三の場所」という意味。メタバースは、ネット上に存在する仮想世界のことを指す。要は「ネットの中に、心が落ちつける新しい場所を作る」ことが同社の狙いなのだ。
「メタバース」をビジネスとして掲げる企業は多く、そこに珍しさはない。言葉だけならレッドオーシャンですらある。
では、その激戦区にThirdverseがどう取り組もうとしているのか。その辺りから聞いていこう。
「ゲームの先にコミュニティー」と考える理由
――ThirdverseはVRで世界的なヒットゲームを作ることを目標としています。では、作った先はどうなっていくと考えているんでしょう?
國光宏尚氏 ビジョンとしては、ただのゲーム会社を作ろうとは思っていません。ゲームがSNSになり、メタバースになっていくわけで。といっても、すぐにはメタバースまでは到達できないですけれど。
――というのは?
國光氏 作りたいのは「人が集まる場所」ですからね。現状ではどうしてもハードウェアの性能から制約を受けます。Oculus Quest 2を使った場合で、今は10人ちょいくらいが限界じゃないですかね。そのままでは「メタバース」には遠い。技術的な課題が解決できるまで、まだ数年かかると思います。
コミュニケーションならスマホでもいいじゃないか、という話もあると思うんです。LINEもFacebookも広義では「メタバース」ですから。
ではなぜそこでVRかというと、「そこに人がいる感じ」がより強くなるからです。そこにいる感じ、つまりプレゼンス(存在感)が現状マックス状態なのはもちろん現実(リアル)なわけですが、それをいかに上回っていくかが重要です。
とはいえ、それをどう実現するのか? ハードの制約から来るユーザー数の問題は、すぐには解決できません。だからそこに向けて「こういうものを作りたい」というビジョンを作り、段階的に登っていくしかない。そのためにゲームを作るんです。
――すなわち、ゲームが先、ということですよね。コミュニティーを作ってから、ではなく。
國光氏 はい。僕が2007年にgumiを創業した当初に開発したのは、フィーチャーフォンに特化したTwitterのようなSNSでした。つまり、コミュニティーサービスからスタートしたんです。
コミュニティーサービスは、大きく分けて2つに分類できます。
1つは「リアルの友人とつながるもの」。もう1つは「趣味などを通じて、リアルとは違う関係でつながるもの」です。
現在、SNSをはじめとする世界でヒットしているコミュニティーサービスのほとんどは前者。基本的にはリアルの友人とつながるものです。スマートフォン向けのコミュニティサービスが世界中で多数開発され、後者を狙ったものも出てきたのですが、結局うまくいっていません。
匿名+バーチャルな知り合い、という形はなかなか長続きしないんです。
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