なぜ多くの日本企業で攻めのDXは進まないのか。その一因は、情シスがPCやITシステムの運用、保守、問い合わせ対応といった「守り」の業務に忙殺されていることだ。その中でもPCに関する問い合わせの対応工数だけでも削減できれば、浮いたリソースをセキュリティの強化やIT戦略の立案といった攻めの業務に振り向けられる。
それを実現する鍵が、PCに関するTCO(総保有コスト)の削減という視点だ。TCOとは、製品の購入価格だけでなく、運用、保守、廃棄までにかかるトータルコストを指す。PCの場合、本体価格や保守サービス料金といった初期コストに目が向きがちだが、実際は、情シスの問い合わせ対応工数、従業員がトラブル解決のために費やす時間など運用段階で発生するコストが大きな比重を占める。
NECパーソナルコンピュータは、TCO削減に寄与する機能を備えたビジネスPCを提供しており、その効果を試算している。本稿は、PC運用におけるTCO削減の戦略と、それを実現するNECパーソナルコンピュータのビジネスPCについて解説する。
情シスが戦略的業務に時間を割けていない実態は、データからも明らかだ。ソニービズネットワークスが中小企業の情報システム部門を対象に実施した調査によると、「問い合わせ対応により戦略的業務(戦略的IT企画、セキュリティ強化、DX推進など)に充てる時間が不足していると思いますか」という質問に対して、「非常にそう思う」が38.9%、「ややそう思う」が45.4%だった※1。
同調査では46.2%の企業が、1日当たり30件以上もの問い合わせに対応しているという結果が出ている。仮に1件当たり10分で処理したとしても、それだけで業務時間の大半が奪われてしまう。過去に回答した内容と同様の問い合わせを「週に1回以上」受けている担当者は72.3%に達する。
このような業務に忙殺される結果、セキュリティ強化やDX推進といった戦略的業務にリソースを投下できなくなっている。
※1 出典:ソニービズネットワークス株式会社 情シスの社内問い合わせ対応に関する調査(https://sonybn.co.jp/news/2025/1015/)
前述の通り、NECパーソナルコンピュータはPCに関する問い合わせ対応工数を削減できる機能を多数搭載したPCを開発しており、それらの機能がTCO削減にどれほど効果があるかを試算している。代表的な4つの機能と同社が試算したTCO削減効果を見ていこう。
トラブル対応工数の削減に最も大きな効果を生むのが独自のAIチャットbot「AI Plus Biz」だ。キーボードのF12を押すだけで起動し、PC操作で困ったことを質問すると解決策を提案する。生成AIサービスと違う点は、NECパーソナルコンピュータのマニュアル、サポートサービスで長年蓄積したQ&A、音量や画面の設定といったPC固有の状態を考慮して回答することだ。「PCから音が出ない」と相談すると、「1.音量設定の確認:現在のシステム音量は[5]で、ミュート状態になっています」など具体的な答えを返す。
NECパーソナルコンピュータは、従業員100人規模の企業の場合、年間約360件の問い合わせが来ると想定※2。AI Plus Bizを使えばそのうちの3割(120件)程度を削減でき得るとしている。トラブルの受け付けに10分、原因の切り分けに30分、回答に10分、頻出する問い合わせについてはマニュアル整備といった再発防止策の作成に1時間かかると仮定すると、情シスの工数を年間で約125時間※3(約15日相当(稼働を8時間/日とした場合))削減できる想定だという。情シスの時給を約2500円※4とした場合、年間約31万円分の削減効果が見込める。PC1台あたりに換算すると年間約3000円相当のPC専用サポートチャットが標準搭載されていると捉えることも可能だ。
※2 従業員1人当たり月1回PCトラブルが発生し、そのうち情シスに問い合わせが来る比率を30%と仮定。従業員1人当たりのトラブル発生回数年間12回×問い合わせ比率30%×従業員数100人=年間360件。
※3 ((トラブル発生頻度年12回/人×従業員100人×問い合わせ比率30%)×(受付及び問題の確認・理解にかかる所要時間10分+原因の切り分け(≒真因の究明・解決)にかかる所要時間30分+回答にかかる所要時間10分)+(トラブル発生頻度年12回/人×従業員100人×問い合わせ比率30%)×再発防止策策定(マニュアル化など)比率20%×再発防止策の検討・作成時間60分)÷60(分)≒124時間。但し、各分数に関しては1件当たりの所要時間の平均とする。
※4 「令和6年分民間給与実態統計調査」より平均年収478万円。年間労働時間1816時間として算出(土日祝日、年末年始休暇、有給休暇10〜15日を取得したと仮定して227日勤務×1日当たり8時間勤務=1816時間)。
従業員にもメリットがある。通常、PCトラブルが発生するとマニュアルを確認したりインターネットで検索したりする。それでも解決せず情シスに問い合わせをする際は、問い合わせ先の確認、質問内容の整理、回答待ちといった時間が発生し、業務が停滞してしまう。AI Plus Bizによってこれらの時間を削減できれば、業務のダウンタイムを最小化できて機会損失の削減にもつながる。同様の条件で時給換算すると、従業員1人当たり年間3200円相当のサポートチャットとして機能し得るという。
AI Plus Bizを使っても情シスでも解決できない複雑なトラブルは、情シスが問題発生箇所を確認してメーカーに修理を依頼する。その際に役立つのが「ハードウェア・スキャン」だ。Windows OSが起動しない場合でもBIOSから状態を診断できるBIOS版のハードウェア・スキャン機能を搭載し、CPU、メモリ、ストレージ、RAID、ディスプレイ、マザーボードなどの状態をチェックして原因の切り分けを支援する。
ハードウェア・スキャン機能を使って問題箇所をある程度特定できれば、メーカーへの修理依頼もスムーズになる。NECパーソナルコンピュータによれば、従業員100人規模の企業で、AI Plus Bizで解消できない複雑な問い合わせ約240件のうち、3割程度の問題のうちの一部にハードウェア・スキャンが貢献すると想定すると、年間約48時間※5、金額にして約12万円※6の削減が見込めるという。
※5 トラブル発生頻度1人当たり年12回×従業員規模100人×問い合わせ比率30%×上述のAI Plus Bizで解消できなかった問い合わせ67%(≒100−33%)×(問題の確認・理解所要時間10分+真因の究明・解決30分 ※ハードウェア・スキャンが貢献可能な情シスの作業プロセス)÷60×PCのトラブルに対しハードウェア・スキャンで原因の特定が可能な比率(=工数削減余地)30%=48時間
※6 時給2500円で計算。
トラブル予防策として有効な機能が「PCアップデートチェッカー」だ。ドライバの更新情報を自動で通知するため、情シスが手動で確認する工数が減る。NECパーソナルコンピュータは、企業によって更新ドライバーのリリース確認を行う頻度に差はあるものの、仮に2週間に1回、30分弱の時間を使って更新ドライバーや修正モジュールの有無を確認する時間に充てているとすると、年間12時間前後※7の工数削減が見込めるとしている。
※7 1回あたり30分弱×年間26回(52週÷2)=約12時間
バッテリーの運用を最適化する機能群もある。
「スマート充電」機能は、行動予測AIがユーザーの1週間の利用パターンを学習し、充電量を調整する。バッテリーが劣化する二大要因である過充電と充放電の繰り返しを防止して、バッテリーのへたりを抑制する。業務を行わない夜間は80%充電に抑え、業務を開始する数時間前から100%への充電を開始するような設定も可能だ。
「ロングバッテリーモード」は、AIがPCの利用状況を把握し、通知やバックグラウンド処理などを抑制してバッテリー駆動時間を延長する。
それでもバッテリー交換が必要になったときのために、NECパーソナルコンピュータのPCは利用者がバッテリーを交換できる「CRUバッテリー」を採用したモデルもラインアップしている。従来は保守員の派遣や工場への送付が必要だったが、バッテリーを利用者自身が交換できるようになることで技術料などのコストを削減できる。
さらに、交換したいタイミングでいつでも柔軟に対応できるため、バッテリー交換によるダウンタイムを最小限に抑えられることも大きなメリットだ。
ここまで紹介したTCO削減に寄与する機能を標準搭載し、日常業務での使い勝手を追求したのが「VersaPro タイプVM」(以下、タイプVM)だ。大きさはA4に収まる程度で、重さは約1.2キロと軽量。14型WUXGA(1920×1200ピクセル)の液晶ディスプレイはアスペクト比が16:10と縦方向に広く、文書作成やWebページ閲覧の際に見やすい。テレワークにもオフィスワークにも適している。
タイプVMは「AMD Ryzen™ 5 PRO 8640U/8540Uプロセッサ」を搭載している。AMD Ryzen™ 5 PRO 8640UはAI処理に特化したNPU(Neural Processing Unit)を内蔵しており、こちらを選べばローカルでのAI処理が可能だ。「AMDメモリー・ガード」機能によってメモリを暗号化し、コールドブート攻撃に対応するなどビジネスで求められるハードウェアレベルのセキュリティも備える。
バッテリー駆動時間は最大約10時間超(動画再生時)、約22.6時間(アイドル時)※8で、外出先でも充電を気にせず作業ができる。Wi-Fi 6Eに対応、有線LANコネクターを標準搭載し、オフィスでも外出先でも安定した高速通信を確保する。LTE対応モジュールの搭載も可能だ。
※8「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 3.0)」で計測。
インタフェースはUSB Type-C×2、USB Type-A×2、HDMI、有線LANなど豊富に装備している。
ビジネスPCのTCO削減は、情シスを守りの業務から解放し、リソースを攻めのDXに再配分するための戦略的な一手だ。従来の「コスパの良いビジネスPC」という選択は、初期コストでは有利に見えても、運用段階で情シスの負担を増大させ、結果的にTCOを増大させるリスクがある。Windows 10サポート終了対応や定期的な買い替えで新しいPCを検討する機会に、調達の判断基準を見直すのがいいだろう。
PC調達においてイニシャルコストだけでなく運用コストを含めたトータルでの判断が求められる今、NECパーソナルコンピュータのタイプVMは企業のこうしたニーズに応える選択肢となる。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2026年1月15日