情シス専任者がいない、多忙で手が回らない――こんな状況で起きるPCトラブルは頭の痛い問題だ。故障したPCを修理に出せば、戻ってくるまで数日から1週間。その間、従業員の業務は止まる。
そんな“先入観”を覆し、「最短1日修理」を掲げるのがNECパーソナルコンピュータだ。同社は、群馬県太田市に修理・保守の専門拠点である群馬事業場を配置し、故障PCが届いてから発送するまでを最短1日で完了させる。今回はその現場に潜入し、修理の流れを追った。
群馬事業場は東武鉄道太田駅からバスで約20分、自動車工場が並ぶ工業地帯の一角にある。敷地面積8万7805平方メートルは東京ドーム約2個分。従業員は約650人だ(2025年1月時点)。
その歴史は1984年にさかのぼる。当時は「群馬日本電気」として発足し、「PC-9801シリーズ」の開発拠点だった。現在は保守サポートの専門拠点に変わった。PCと周辺機器の修理に加え、法人向けのキッティングやカスタマイズを行うファクトリーサービス、代替機管理やデータ消去を担うアセットマネジメントサービスも手掛ける。
「私が入社した38年前、群馬事業場はデスクトップPCの生産工場でした。現在でも生産や開発のノウハウを持つ者が残っているので、その知見を生かして引き取り修理を行っています」とNECパーソナルコンピュータの小林大地氏は語る。
最短1日修理のカギは効率化と標準化だ。SSDやHDDのイメージはネットワーク経由でインストールする。修理情報はナレッジとして共有し、作業者のスキルに頼らない仕組みを構築している。
故障したPCが群馬事業場に届いてから出荷されるまで、順を追って見ていこう。
ユーザーから修理依頼が入ると、コールセンターが受け付け、配送業者がPCを引き取りにユーザーの元に向かう。専用キットにPCを詰めて回収するため、ユーザーが梱包材を用意する必要はない。
群馬事業場に届いたPCは、まず着荷エリアで開梱(かいこん)・検品される。着出荷エリアでは午前中は入荷作業で、午後は出荷作業を行う。同じ場所で時間帯によって逆の作業をこなす。
入荷から出荷まで、作業は全てカメラで記録する。梱包(こんぽう)や開封の様子を撮影し、「入れた」「入れていない」のトラブルを防ぐ。外観チェックに高感度カメラを使い、肉眼では見えにくい傷を検出する。録画データは3カ月間保存する。
検品を終えたPCは修理エリアに送られ、故障診断に入る。群馬事業場は「AI故障診断」システムを導入している。
故障箇所を特定するにはPCの知識や修理経験など高いスキルが必要になるため、今までは人材育成に時間がかかっていた。2025年2月にトライアルを始めたAI故障診断システムは、過去の修理データをオンプレミス環境で学習させたものだ。症状を入力すると、故障している可能性が高い部品を確率とともに表示する。デモンストレーションでは「システムボードが壊れている可能性が78%」と円グラフで示された。同社によれば、正答率は80%を超えているという。
故障箇所の特定には、PCの構造や動作原理の知識、修理の経験に基づく勘所が必要だ。ベテランなら瞬時に判断できるが、そこに到達するまでが長い。「経験のない作業者でも症状を入力すればある程度の精度で診断できます。繰り返し使ううちに、作業者自身も覚えていく。教育ツールとしても機能しています」と小林氏は話す。
故障の傾向分析にもAIを使っている。従来は修理が完了してから修理実績データを分析していたが、今は修理依頼を受け付けた時点から分析を始める。顧客の申告内容を「分類AI」で仕分けし、「時系列解析AI」で傾向の変化を検出する。これによって特定ロットの不具合やOSアップデートに起因する問題を、従来と比較して1カ月早く把握できるようになった。
1カ月のリードタイムは「正しい対処をするための時間を稼ぐ」ために重要だと小林氏は言う。原因が分からないまま別の部品を交換すると、一時的に症状が収まることがあるが、根本的な解決にはならない。傾向を早く把握すれば、正しい部品を特定して交換できる。
OSアップデートに起因する不具合も厄介だ。新しいドライバが特定の条件下で問題を起こす。修理時にイメージを書き直しても、顧客の環境でOSアップデートが適用されると再発する。傾向を早くつかめば、原因の切り分けも早まる。
診断が終わると、部品交換や修理に入る。部品を供給するのは隣接する保守部品倉庫だ。7500平方メートルの倉庫に、1万種類以上、100万個を超える部品がある。
リペアセンターから部品の要求があると、ここから13分以内に届ける。最短1日修理を実現するために設定した目標だ。1つの製品を修理するのに必要な部品は40〜50種類にのぼるが、1万種類以上を扱いながら棚卸しで差異がゼロという徹底した管理がなされている。
オンサイトの修理を担う全国6拠点やビジネスパートナーへも、ここから部品を発送する。基本的に翌日には届くという速さだ。
部品メーカーから届いた部品は、1つずつ緩衝材を入れてパッケージ化する。新機種が出るたびに、どの部品をどの箱に入れるかを定めたガイドを作り、約20種類の箱から適したものを選ぶ。部品メーカーが生産を終了(EOL)する前に、必要な在庫を確保しておくこともある。
マザーボードの修理には高度な技術が要る。群馬事業場はマザーボード修理の80%を内製している。2007年に内製化を始めた当初は20%程度だったが、技術を蓄積して比率を高めてきた。
オシロスコープで波形を計測し、不良部品を特定する。CPUなど多ピン構造の部品は温めて取り外し、メタルマスクで穴位置を合わせてクリームはんだを塗布する。3年前に自動はんだ付け装置を入れ、修理時間を従来の8分の1に縮めた。不良部品だけでなく、他の部品に悪影響を及ぼしていたり故障する可能性があったりする部品も予防的に交換している。
修理を終えたPCは検査を経て、清掃・梱包され、その日のうちに発送される。どの工程にPCがあるかはシステムで一元管理していて、管理者が一目で分かるようにしている。着荷エリアから修理エリアへの搬送には自律走行ロボット(AMR)も走る。
こうした技術と工夫を積み重ね、1日修理率は全体の95%に達している。
群馬事業場は修理以外にも、PCのライフサイクルに合わせた各種サービスを用意している。
キッティングサービスでは、法人顧客の要望に応じてラベルの貼付や初期設定を行う。顧客ごとに専用の治具を作り、複数人で作業しても同じ位置にラベルを貼れるようにしている。ある顧客向けには、多数のラベルを正しく貼れているかをカメラで判定するツールを開発した。付属品の同梱作業は、トレイに定位置を決めてそこに付属品を置くことで入れ忘れを防ぎ、出荷前に重量も量って差異がないかを確認する。
保証サービスも手厚い。「プレミア延長保証サービス」は、保証期間を最長7年まで延ばせる。通常の延長保証は1年単位だが、月単位で設定可能だ。「6年5カ月」といった細かい期間指定にも応じる。PCのリース期間や利用計画に合わせて保証を組める。
「アクシデント・ダメージ・プロテクション」は、落下や液体こぼしなど不慮の事故による故障を補償する。2025年10月からは盗難にも対応を広げ、代替機を提供する。従来は利用年数に応じて「2年目は9万円の82%を補償する」などの上限があった保証限度額も撤廃した。
代替機サービスもある。「機器管理サービス」のプレミアム対応では、平日12時までに受け付けた依頼に対し、マスターイメージを適用した代替機を即日手配する。連絡を受けた時点で代替機を送り、故障機は引き取り便で同時に回収する。届いたらすぐに業務に復帰可能だ。最短24時間以内に届き、必要に応じて航空便も使う。
NECパーソナルコンピュータは、開発・生産を担う米沢事業場と、保守を担う群馬事業場を国内に持つ。米沢で設計・製造されたPCが全国の法人に届き、故障すれば群馬で修理されて戻っていく。
群馬で見つかった不具合は米沢の開発部門にフィードバックされ、次の製品設計に生かされる。新機種が出るたびに群馬の担当者が開発に加わり、分解・組み立てのしやすさなど保守性の観点から意見を出す。製品が壊れにくくなり、壊れても直しやすくなる。開発と保守が国内で近い距離にあるからこそ回せるサイクルだ。
そうして生み出されたビジネスPCの中で、今注目したいのが「VersaPro UltraLite タイプVY」(以下、タイプVY)だ。
タイプVYは「インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー」を搭載した「Copilot+ PC」で、最大の特徴はバッテリー駆動時間の長さにある。動画再生時約20.1時間、アイドル時は40.2時間と※1と、同社の従来機に比べて約1.74倍の長さを実現した。大容量バッテリーの「バッテリー(L)」を選択しても約995グラムと、軽量性も両立させている。
※1:「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 3.0)」で計測。
NECパーソナルコンピュータのビジネスPCは、国内での一貫した「開発」と「保守」の連携から生まれている。最短1日での修理、月単位で設定できる延長保証、即日手配の代替機。購入時の品質だけでなく、購入後のサポートも含めて法人PCを選びたい企業にとって有力な選択肢となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:NECパーソナルコンピュータ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2026年2月6日