ソニーが打ち出した「AIによる成長」と“ただし書き”の中身 26年度経営方針説明会(1/2 ページ)
ソニーグループが5月8日に開催した「2026年度経営方針説明会」の主役は“AI”だった。同社がエンターテインメント領域へさらに注力するに当たり、いかにAIの活用が重要になるかを具体的な事例を挙げて紹介した。
こうした説明会でソニーは、ときに将来に向けた重要なテーマを深堀りし、参加者に意識変化を促す。最近でいえば、23年度のテーマとなった「アニメ」がそうだった。
この時は、21年に買収した米国のアニメ配信サービス「Crunchyroll(クランチロール)」が軌道に乗ったこと、アニメ制作ソフトを開発していることを紹介するなど、アニメへの取り組みに長い時間を割き、「クリエイションシフト」を打ち出した。ソニーのコアビジネスはエレクトロニクスと考えていた人は、そのギャップに驚いたかもしれない。
しかし26年になってみると、クランチロールの有料会員数は1300万人(23年)から2100万人(26年3月末時点)まで拡大し、アニメや音楽を含むエンターテインメント、IP、クリエイションテクノロジー領域は、グループ連結売上高の67%を占めるまで成長。売上高12兆4796億円、営業利益1兆4475億円といずれも過去最高を記録した「2025年度連結業績」(25年4月~26年3月)をけん引する要素の一つになった。
一方で、テレビの「BRAVIA」やホームオーディオ製品を開発製造するエレクトロニクス事業は、中国TCLとの合弁会社に承継することが決まった。23年に当時の吉田憲一郎会長兼CEO(現在は会長)が打ち出した「クリエイションシフト」は、事業ポートフォリオの組み替えを伴う変革につながった。
AIの可能性と“ただし書き”
ソニーはAIを、既存事業の効率化や価値最大化を図るためのツールと位置付けている。ソニーグループの十時裕樹CEOは、「新たな価値創出を促し、エンターテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性がある」と紹介した。しかし同時に「強力なツールだが、アーティストやクリエイターに変わるものではない」と強調する。これは今回の説明会を通じて何度も聞いたフレーズだ。
「最も記憶に残る体験はこれからも人によって生み出され、人によって楽しまるものだと考える。AIはそのプロセスを支援する」(十時氏)。
具体的にAIで何をするのか。例えばソニー・ピクチャーズでは、AIを始めとする先進技術をワークフロー全体に展開するために5000万ドル以上を投資してきた。目的は、制作期間の短縮やアウトプットの拡大だ。
ゲーム分野にはすでに多くの実績がある。ソニー・インタラクティブエンタテインメントの西野秀明CEOは、プレイヤー、パブリッシャー(ゲーム開発者)、そしてPSN(PlayStation Network)のようなプラットフォームと分けて、それぞれAIがもたらす恩恵の具体例を挙げた。
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