SNSに潜む偽造証明書や闇バイト情報 隠語で「兵士」と呼ばれるベトナム人不法残留者
出入国在留管理庁は5月22日、不法残留・不法就労外国人の摘発強化に向け、SNS上の投稿を収集・分析するサイバーパトロールを強化する方針を明らかにした。監視強化に乗り出した背景には、日本で暮らす外国人にとって、SNSが母国語で同胞と直接、やり取りできるコミュニケーションツールになっているだけでなく、一部の不法残留者を結び付け、不法就労や闇バイトなど犯罪行為の温床となっている現状がある。
SNS入り口に不法就労のスキーム構築
「ボドイ」──ベトナム語で「兵士」や「部隊」を意味するこの言葉は、日本に住むベトナム人らの間で、不法残留者や、そのコミュニティーを指す隠語として使われているという。ベトナム戦争で北ベトナム兵士が米国軍を相手にゲリラ戦を展開したことになぞらえたもので、SNS上で日本に住むベトナム人がつながり、いわゆる「闇バイト」を含む仕事の紹介や、偽造身分証の売買を行っているとされる。
2026年年3月には、不法滞在のベトナム人らを金属研磨工場に派遣して働かせていたとして、静岡県の人材派遣会社が警視庁に摘発された。ベトナム人らは、技能実習生として来日していたが、賃金の低さなどを理由に実習先から逃走。仕事探しで頼ったのが、ベトナム国内でも利用者の多いSNS「Facebook」だった。
人材派遣会社は、人手不足に悩んでいた工場にベトナム人らを送り込み、派遣料を得ていた。工場側も在留資格の確認をしておらず、SNSを入り口に、不法就労のスキームが構築されていた可能性がある。
分析を行う専門部署の新設目指す
こうした構図は、ベトナム人に限ったことではない。入管関係者は「日本を訪れたさまざまな国の外国人が、SNSを滞在中の同胞とのコミュニケーションツールとして利用している」と説明。「偽造在留カードに関する情報を、外国語でやり取りする投稿も確認されている」と明かす。
入管庁はSNSを重要な情報源と位置づけており、分析を行う専門部署の新設を目指している。運用に当たっては、膨大な外国語の投稿から、不法就労に関連するキーワードを検知したり、出身国ごとのSNS使用の傾向を見極めたりする必要があり、入管の担当者は「不法滞在・不法就労の端緒を抽出するようなツールを導入していきたい」としている。(宇都木渉)
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