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【Q&Aで解説】スタッフ6人のデザイン会社が「Adobe Firefly」で作業期間を3分の1に圧縮できた理由

業務を効率化しながらクリエイティブのクオリティーをいかに引き上げられるか。多くの制作会社やインハウスのデザイン組織が、このような課題に直面しています。そんな中、スタッフ6人のデザイン会社アイディは、生成AI「Adobe Firefly」などを導入して作業期間を約3分の1に圧縮しました。生成AIを活用した業務革新のポイントをQ&A形式で解説します。

この記事の概要

  • 日々の業務を効率化しながらクリエイティブのクオリティーをいかに引き上げられるか。多くの制作会社やデザイン組織が、このような課題に直面しています。
  • デザイン会社のアイディは、権利関係や商用利用の安全性が確保された「Adobe Firefly」などの生成AIツールを全社に導入し、プロトタイプ作成や画像生成・編集業務に活用しました。
  • 生成AIツールの導入によって制作作業の期間を短縮し、浮いた時間を思考の深化やデザインのクオリティーコントロールへ投資できるようになりました。

公開:2026年10月30日

 2002年の会社設立以来、多岐にわたるデジタルブランディング案件を手掛けてきたアイディは、提案の前段階におけるアイデアのプロトタイプ化や画像合成・レタッチの工数削減に向けて、生成AIツール「Adobe Firefly」を業務に組み込むアプローチを選択しました。アイディ代表の別所誠士氏と横平明日香氏の知見を基に、生成AIを活用した具体例をQ&A形式で解説します。

(左から)アイディの別所誠士氏(代表/クリエイティブディレクター)、横平明日香氏(デザインストラテジスト)

生成AI導入と著作権リスクの克服

Q Adobe Fireflyで生成した画像は、顧客案件で商用利用しても権利面の問題はありませんか。

A Adobe Fireflyは「Adobe Stock」のライセンス済み画像やパブリックドメインのデータのみを学習に使っており、生成された画像は商用利用が可能です。

 生成AIを顧客案件に活用する際、意図せぬ著作権侵害のリスクは大きな懸念になります。アイディが著作権をはじめとする権利面のハードルをクリアできた背景には、商用利用が前提になった生成AIツールの選定と、顧客との丁寧なコミュニケーションがあります。

 同社が導入したAdobe Fireflyは、「Adobe Stock」のライセンス済み画像やパブリックドメインのデータのみを学習に使用しており、生成された画像の商用利用が可能です。また、Adobe Fireflyを通して他社AIを活用した場合もデータが学習に使われないため、顧客へ提出する素材の生成や編集作業にも安心して取り入れられる仕様となっています。

 さらに同社は、提案の初期段階から顧客に対して生成AIを活用していることを明かし、顧客との強い信頼関係を築き上げました。

Adobe Fireflyボードを活用した提案期間の短縮とアイデアの共創

Q Adobe Fireflyボードを使うと、デザイン案の提案にかかる作業期間はどれくらい短縮できますか。

A アイディはニュージーランド大使館のキャンペーン案件で、Adobe Fireflyボードを使って試作から議論、決定までを一気通貫で行い、作業期間を従来の約3分の1に短縮しました。

 アイディは、ニュージーランド大使館のキャンペーン案件において、生成AIによるプロトタイプ化とアイデアの拡散・収束を実践しました。

 従来は、ヒアリングから社内調整、初回提案までに1~2週間を要していました。しかし、画像やテキスト、動画をキャンバスに配置して作業できるAdobe Fireflyボードを活用することで、議論から最終決定まで一気通貫で実施できるようになりました。結果として、アイデアの幅が広がりながらも作業期間を従来の約3分の1に短縮できました。別所氏は、「短期間で満足度の高いデザイン案を提示して合意形成ができるようになったのは、大きな成果です」と話しています。この案件では、スタッフが仮画像として生成したものがブランドイメージに合致していると評価され、本番のビジュアルにそのまま採用されています。

画像不足やコスト制限を解決する具体的なAI機能と活用例

Q 支給素材が少ない案件や予算が限られた案件では、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorに組み込まれたAdobe Fireflyのどの機能が役立ちますか。

A Photoshopの「オブジェクトを回転」やIllustratorの「ベクターを生成」機能を使えば、追加撮影や手作業の工数を削減できます。

 アイディは、PhotoshopやIllustratorに組み込まれたAdobe Fireflyの機能を活用して課題を解決しました。

 顧客からの支給素材に適切な写真がない場合は、商用利用可能なフリー素材の角度をPhotoshopのオブジェクトを回転で画像を調整することで、追加撮影のコストや切り抜き合成の工数を削減しました。また、複数のイラストを生成したい場合は、Illustratorのベクターを生成にある「スタイル参照」で基準となるイラストを指定し、世界観を統一した多様なイラスト群を短時間かつ低コストで生成しました。

Adobe Fireflyで浮いた時間をデザインの質に振り向ける

Q Adobe Fireflyなどの生成AIで作業時間が短縮されたら、デザイナーは浮いた時間を何に使っているのですか。

A アイディは浮いた工数を、思考を深める時間に投資しています。生成AIを「アウトプットの質を高める武器」として使うのが同社のスタンスです。

 AIによってデザインや美意識の底上げが図られる一方で、質の低いアウトプットが増えることへの警戒感から、別所氏は、AI時代のクリエイターには美術的知見やユーザー体験に関わる思想を言語化し、クオリティーをコントロールする力が求められると指摘しています。

 横平氏は、単純な作業をAIに任せることで、人はよりクリエイティブな思考やレビュー、本質的な発想に集中できると述べています。また同氏は、AIを思考を拡張するツールと位置付けて、人の手で生成結果を別の角度や高い段階に進化させるという「協業」を意識することが重要であると語っています。

アイディが目指す今後のAI活用とノウハウ蓄積

Q Adobe Fireflyを全社で活用するアイディは、今後どのようなAI活用に取り組むのですか。

A 独自のナレッジデータベースを構築して社内のノウハウを蓄積し、新しい表現に挑戦する構想です。

 アイディは、独自のナレッジデータベースを構築し、ノウハウを蓄積しながら新しいクリエイティブ表現に挑戦する構想を掲げています。同社はAIを「人の仕事を奪う脅威」ではなく、「アイデアの制約から解放して表現の可能性を広げる仲間」と定義しています。作業効率化の義務感からではなく、探求心と遊び心を持ってAIに触れ、クリエイティブの質を高めるアプローチが重要であるとしています。

まとめ

 アイディの事例は、生成AIを単なる業務自動化の手段ではなく、思考の拡張や提案力を引き上げる「相棒」として組み込むことで、制作期間の圧縮とクオリティーの向上を両立できることを示しています。権利関係がクリアされたAIツールを選定し、プロとしての美意識や言語化能力をもって品質をコントロールすることが、AI時代のクリエイティブ制作における鍵となります。

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アドビ株式会社

アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2026年11月29日