Googleフォンは本当に実現する?
業界の専門家によると、米Googleは独自の携帯電話を提供するのではなく、各種のオンラインサービスを実現するためのモバイルアプリケーション一式と携帯電話向けOSをリリースすることになるようだ。
ニュースサイトやブログではさまざまな憶測が飛び交っているが、「Googleがモバイル分野でどのような切り札を出してくるか」という最大の疑問は解消されていない。
「それが一番の疑問だ」と米調査会社Osterman Researchの創業者、マイケル・オスターマン氏は語っている。同氏は、Googleが統合アプリケーションGoogle Appsの一部として、ソフトフォンのようなものを発表するのではないかと考えている。そうなれば、Googleは統合型コミュニケーションのより完全なソリューションを提供できることになる。
ソフトフォンとは、コンピュータやハンドヘルド端末からのVoIP通話を可能にするプログラムだ。オスターマン氏によると、Googleには検索・アーカイブの大規模なインフラがあるため、ソフトフォンにより、1つの端末上でGoogle Appsと音声テキスト機能やアーカイブ内の検索機能を統合的に提供できることになるという。
また米IDCのアナリスト、カーステン・ワイデ氏が聞いた話では、Googleは何かしらモバイル関連の発表に備えて、ニューヨークでの市場プレゼンスの強化を図っているという。だが同氏は、Googleが独自の携帯端末を提供するとは考えていない。なぜなら、検索エンジンとアプリケーションを主な収入源とするベンダーにとって、携帯端末はあまりにかけ離れた分野だからだ。
「Googleにとっては不可能ではないが、難しい取り組みになるだろう。携帯端末ビジネスは利益幅が非常に小さく、競争は非常に厳しい。Googleがそうした端末を大衆市場向けの製品として売り出すことになるとは、わたしには思えない」とワイデ氏。
同氏は、Googleは実際そうした携帯電話を社内で開発しているが、それらの端末は各種モバイルオンラインサービスの打ち上げ台として披露しているだけだと考えている。
一方、Googleは最近、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の新興企業2社、米ZingkuとフィンランドのJaikuを買収している。どちらも、モバイル市場にターゲットを据えている企業だ。
Googleが10月9日に買収したJaikuは、Twitterと同様、マイクロブログサービスを提供しており、同社のネットワークではユーザー同士がショートメッセージを送信し合える。Jaikuの広報担当者はこの買収取引の背景を次のように説明している。
「Googleはモバイル戦略を真剣に進めたがっている。Googleが携帯電話を発表するつもりであるのなら、Jaikuを買収し、このニッチ分野の主要技術を手に入れたいと思うのも当然だろう」
業界の多くの専門家は、フィンランドのNokia、韓国Samsung、米Appleといった競合各社の間で既に激烈な競争が繰り広げられている携帯電話市場に名乗りを上げるのはGoogleにとって賢明ではないと考えている。米Enderle Groupのアナリスト、ロブ・エンダール氏も同じ意見だ。「Googleが携帯電話を提供することはないだろう。携帯電話の開発を助成したり、スペックを指定したりといったことはあるかもしれない」と同氏。
Googleが携帯端末を投入する可能性を否定する声だけでなく、一部には、GoogleがSymbianやWindows Mobileに対抗して携帯電話向けのオープンソースOSを提供する可能性を疑問視する声もある。
Gartnerのアナリスト、ケン・デュラニー氏は、GoogleはモバイルOSを買収した方が賢明だろうと指摘している。携帯電話向けのコードは開発が非常に難しいからだ。
「Palmの技術を買えばいい。安価で買収できるだろう。そして、Linuxプラットフォームを使用すればいい。Googleが技術的に互角のレベルに達するには何年もかかるはずだ」と同氏はeWEEKの取材に応じ、語っている。
またデュラニー氏によると、GoogleがモバイルOSで成功するためには、多数のメーカーの携帯端末にそのOSを組み込んでもらい、ユーザーにも契約を現行のサービス業者からGoogleに切り替えてもらう必要がある。
こうした難題があることから、GoogleがモバイルOSを提供する計画については、Enderle Groupのエンダール氏も懐疑的だ。ただし同氏は、Googleがモバイルアプリケーションを提供する可能性については、おそらくそうなるだろうと認めている。そして、さらに同氏は「無線周波数帯を確保すれば、無料の携帯電話サービスという構想の実現に向けて、非常に興味深いことを行えるだろう」と語っている。
そう、周波数帯の問題もある。
さまざまなうわさや憶測が飛び交うなか、はっきりしている事実が1つある。それは、Googleが2008年1月に行われる700MHz周波数帯のライセンスをめぐる競売に入札する可能性を明らかにしている点だ。そうなると、疑問は深まるばかりだ。何かモバイルプラットフォームをサポートするつもりでもない限り、なぜ周波数帯を手に入れる必要があるのだろう、という疑問だ。
IDCのワイデ氏は、周波数帯のライセンスとGoogleのモバイル戦略に何か関連があることは認めながらも、「Googleが46億ドルで入札する可能性は、Googleが独自の携帯電話をリリースする可能性よりもさらに少ない」と語っている。
同氏の考えでは、SprintやVodafone、AT&T Wireless、Verizon、T-Mobileに続いて、Googleが新たなモバイルキャリアとなる道を選ぶことはなさそうだ。
「そうなれば、Googleは物理的にネットワークを構築しなければならないが、Googleにはおそらくそのための十分な資金はないだろう」とワイデ氏。また同氏によれば、Googleが携帯ネットワークでAppleと提携する可能性もうわさされているという。
Enderle Groupのエンダール氏はその可能性を否定している。Appleには提携をめぐる苦い経験があり、またGoogleとAppleではビジネスの方針が両極端に違うからだ。企業が提携する場合、そうした相違は大きな惨事につながりかねない。
また同氏によると、Googleはこれまでに大量のダークファイバー(未使用の光ファイバー通信インフラ)を購入しており、それらをモバイルネットワークと組み合わせれば、突如、多くのキャリアを脅かす存在にもなりかねないという。
では結論は?
「Googleは何をしても成功する。通信事業者はただやみくもにGoogleに脅威を感じているだけだ。Googleが実際何を考えているのかを知るためには、消費者の声を聞くしかない」とGartnerのデュラニー氏は語っている。
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