GREEは「SNS純増ナンバーワン」と田中社長 「ターゲットは全日本人」
GREEは1000万ユーザーを超えても伸びが加速しているという。ターゲットは「全日本人」。Appleや任天堂製品のように、マスプロダクトとして展開していくという。
「SNSは1000万ユーザー程度で頭打ちともいわれていたが、GREEは1000万を超えて伸びが加速している」――SNS「GREE」を運営するグリーの田中良和社長は7月24日、「ワイヤレスジャパン 2009」(東京ビッグサイト)で講演し、GREEの好調ぶりをアピールした。
田中社長は、楽天に勤めていた2004年3月、PC向けSNSとしてGREEをスタート。04年末に株式会社化した。PC向けSNS市場でmixiの一人勝ちが鮮明になってくる中、携帯電話向けサービスの拡充に注力。06年7月にはKDDIから出資を受けた。現在は、携帯電話からのアクセスが月間100億ページビュー(PV)を超え、アクセスの大半を占めているという。
「2006年当時、2010年に流行するサービスを考えた際、ネットの主流はPCからモバイルに移行するだろうと思った。PCに詳しい人向けではなくマスに向けたサービスにするため、エンターテインメント性も高めた」
日記やコミュニティー中心だったサービスを大きく方向転換。07年10月からは、携帯電話向けにアバターや釣りゲームなどカジュアルゲーム、ペットを育てるサービス「クリノッペ」を投入。音楽ダウンロードサービスも提供するなど、エンターテインメント要素を強めていった。
「今、SNSにゲームを取り入れようという動きがあるが、GREEは率先して始めていた。GREEのゲームは、コミュニケーションを主体にしたソーシャルゲーム。モバイルのソーシャルゲームプロバイダーとしてGREEは、世界有数だろう」
08年5月からは、交通広告やテレビCMなどマス広告も大々的に展開。「Yahoo!モバイル」のバナーの5分の1を買ったり、渋谷のハチ公前の広告を買い占める渋谷ジャックなど、大規模な広告戦略でユーザーを拡大し、4月に1000万ユーザーを突破した。
09年3月の純増数は85万と、mixiや「モバゲータウン」の発表データと比べてもトップという。「GREEはSNSで純増数ナンバーワン。07年ごろ、SNSはこれ以上伸びる余地がないとみられていたが、GREEは1000万ユーザー突破後もユーザーの伸び率がアップしている。より良いサービスを作ればユーザーは増える」と田中社長は自信を見せる。
ユーザー層を見てみると、男性53%、女性47%とほぼ半々。年代別では10代が25%、20代が37%、30代が24%、40代が12%となっている。地域別でみると、首都圏が32%、近畿圏が16%、九州・沖縄が12%という順に多い。「mixiは首都圏ユーザーが多いが、GREEは一部の層に偏らず、全年齢層・全国に広げていきたい」
GREEは全日本人をターゲットにしているという。「マス広告の展開など、他のネット企業から見れば『なぜそんなことをするのか、効果があるのか』と思われるようなこともしているが、効果が出るまで続けるという強い熱意でやっている。ネット・モバイルサービスという概念を捨て、Appleや任天堂製品など、マスプロダクションと同じような展開をしていく」
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