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AppleのiPod発表会に“なかったもの”

ビートルズ、カメラ付きiPod touch、Macタブレット――9月9日のAppleのイベントでは、「うわさにはなったが登場しなかった」ものもあった。

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eWEEK

 Appleが9月9日にサンフランシスコのYerba Buena Center for the Artsで開いたイベントでは、少なくとも1つのうわさが実現した。6カ月の療養休暇から復帰した、やせた姿のスティーブ・ジョブズ氏がステージ上で多数の新製品を紹介したことだ。

 「わたしは20代半ばの若者の肝臓を譲り受けた。自動車事故で亡くなった親切な若者が提供してくれたものだ」と同氏は聴衆に語った。「ここにいる皆もそのくらいの親切さを持ち合わせていること、臓器提供者になってくれることを期待する」

 こうした重々しいコメントのあと、ジョブズ氏は、音楽共有機能を持ち、レイアウトをすっきりさせたiTunes 9、ビデオカメラとFMラジオ搭載の新しいiPod nanoの紹介に移った。新型nanoは2.2インチカラーディスプレイを搭載し、8Gバイト版が149ドル、16Gバイト版が179ドル。

 8GバイトiPod touchは199ドル、32Gバイトモデルは299ドル、64Gバイトモデルは399ドルに値下げされた。

 イベント開始前は、ほかにも製品やサービスのうわさがあった。特に話題になっていたものを以下に挙げる。

ビートルズ

 9月9日は「The Beatles:Rock Band」デジタルリマスター版アルバムのリリースで、ビートルズ祭りを目指していた。これを受けて一部のブロガーや専門家は、ビートルズの楽曲がついにiTunes Storeでもリリースされるのではないかと予測していた。それは、彼らが以前からそのような疑問を持っていたからだったが、ネット上の多くのうわさと同様に彼らの憶測は急速に勢いを増し、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターがジョブズ氏と一緒にステージ上で「Come Together」を演奏するのではないかと半ば期待する人が出てくるほどだった。

 だが、そうはならなかった。

 「ビートルズとEMIの間には解決しなければならない意見の相違がある」とジョブズ氏は9月10日にUSA Todayに語った。「われわれは諸手を挙げて歓迎する」

Appleタブレット

 以前からうわさのあったタブレットPCが9日のイベントで発表されるとは、合理的に考えて誰も予想していなかった。うわさでは、タブレットは2010年に登場するという。しかし、Appleが少なくとも1つか2つ、タブレットのヒントを出すといううわさは根強く残っていた。報道によれば、ジョブズ氏の療養休暇中、同氏の関心の大半を占めていたのはタブレットだったという。

 ここ数カ月のうわさによると、Appleタブレットはマルチタッチスクリーンを搭載し、iPhone OSかSnow Leopardを搭載する。価格やOSが異なる複数のバージョンが登場する可能性もある。Piper Jaffrayのアナリスト、ジーン・マンスター氏は8月7日のリサーチノートで、タブレットはiPod touchとMacBookの間を埋めるもので、1台600ドルで販売されたら年間12億ドル近くの売上高を生み出すだろうと述べている。

カメラ付きiPod touch

 AppleがiPod touchにカメラを搭載するといううわさは夏ごろから流れていた。7月にはブログMacRumors.comが、カメラ用の穴が付いたiPod touchの筐体と称する写真を掲載した。同じ時期にTechCrunchは、アジアの情報筋からの情報として、Appleが10ドルのカメラモジュールを大量に発注したと伝えた。

 しかし、イベントで発表されたカメラ付きデバイスはiPod nanoだけだった。さらにAppleはiPod touchを、Flipのような携帯ビデオカメラの対抗製品というよりは、ゲーム機――任天堂などの携帯ゲーム機と競合し得る――と位置付けることにしたようだ。

従来モデルの引退

 iPodの売り上げは減少しており、好調だったAppleの昨四半期決算にとって汚点となっている。同四半期のiPod販売台数は前年同期比7%減の1020万台だった。Appleのピーター・オッペンハイマーCFO(最高財務責任者)は7月21日の決算発表電話会見で、販売減は「iPod touchやiPhoneの普及拡大によって、iPodの従来モデルの売り上げが浸食されている」ためと説明していた。

 こうした状況から、Appleが9日のイベントでの発表を皮切りに、従来モデルを引退させる計画だといううわさが生まれたのかもしれない。しかし、9日の従来モデルに関した発表は、classicの容量を120Gバイトから160Gバイトに増やして、価格を249ドルで据え置くというものだけだった。

 しかし、iPodの「従来モデル」を「単に音楽を再生するデバイス」と定義するなら、Appleは以前から、多機能マルチメディアデバイスを優先して、従来モデルを歴史のごみの山へと追いやってきた。9日のイベントは、どちらかといえばそれを明確にしたと言える。

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