「2ちゃんねるで叩かれていた」――Facebookにはまり続ける武雄市長の“野望”とは(4/4 ページ)
市のページのFacebook移行やFacebook上での通販ビジネスなど、斬新な“Facebook市政”を次々と打ち出す佐賀県武雄市。同市の樋渡啓祐市長に、取り組みの背景と今後について聞いた。
――市長がこういう取り組みをして大丈夫なのでしょうか。
樋渡市長 全然大丈夫。実は僕は株式会社の社長になることもできるんですが、そうするといろいろな制限がつくんですよね。それはちょっと面倒なので、F&B会議では僕は1円も報酬をもらわないようにする。
運営の形式としては、民間企業がシステム構築や運営、カード決済業務などを担当して、武雄市は広告と営業をします。ここからがミソなんですが、武雄市が売り上げの3分の1をもらう。システム提供料金の100万円と運営費用の、それぞれ3分の1ずつを武雄市がもらうわけです。
だから武雄市がこれをやる意味がある。昔の自治体ビジネスではハードコンテンツを売っていたんです。例えば千葉市とか福岡市とかでは、徴税のシステムを他の自治体に数千万円とかで売っていた。でも、今はもうそんな時代じゃない。今回僕らは、広義のアプリを売る感覚でやっていこうと思っています。
――この団体は、いつごろ設立される予定なのですか。
樋渡市長 年内ですね。年内に会見します。
これでおそらく、世の中ががらりと変わるでしょうね。今までは、地方ですごく良いものを作っている人たちが日の目を見なかったわけですよ。だけどそれをネットに載せて宣伝するということを、いろいろな自治体ができるようになる。
もう現時点で、導入に向けて動き出してる自治体が12〜13くらいあります。あと、こういう取り組みに乗る市町村の首長というのは、やはり30代から50代前半くらいの若い世代が多い。
僕らの世代の首長っていうのは、楽天もAmazonも使っているから分かるんです。既存サービスのいいところや悪いところを知った上で、デメリットを解消しようとしている。それが地域の所得向上につながるわけだから、乗らないっていう選択肢はあり得ないですよ。
日本には東京都の特別区を含めて1797の自治体があるので、3年後には少なくとも200自治体にまで広げていきたいですね。全体の10分の1を超えると臨界点を超える。FacebookとかTwitterとかでもそうだったじゃないですか。
――樋渡市長はこういった取り組みを通じて、最終的に何をどう変えていきたいのでしょうか。
樋渡市長 シンプルに言えば、もう武雄市だけのことを考えていても仕方ないと思っていて。所得向上ひとつをとっても、武雄市の中だけでは実現できないわけですよ。そういう意味で、全国を楽市楽座にすることで日本の地域の所得を上げていきたい。それが僕の夢ですね。
昔は企業にしても、大きいところが得をする時代だった。でも今はソーシャルネットワークがあるから、本当に良いものを作れば売れる時代なんです。行政がものごとをやると遅いとかいろいろデメリットもありますが、“信頼性”のアドバンテージを生かして「ソーシャルビジネスネットワーク」を作っていきたい。
こういう取り組みは全て、いろいろな企業の既存サービスのいいところを吸収しながらやっていくつもりです。僕はファウンダーでもCEOでもなく、ただの組み合わせ好きな市長。例えば行政とFacebookを組み合わせるとか、そこにビジネスを組み合わせるとか。それをアイコンに仕立て上げて広めていくのが、僕の役割だと思っています。
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