絵が描けなくても漫画は描ける……のか? 超初心者が2時間チャレンジ
小さなころから身近な漫画。読むのは大好きでも描こうと思ったことなんて今まで1度もないですが……? “大人のお絵かき入門”、第2弾は(無謀にも?)漫画にチャレンジします。
大人のお絵かき入門、前回の「液晶ペンタブレットに触ってみた」に続き、第2弾は「漫画」に挑戦です。何を隠そう、私は全然絵が描けないのですが……。さて、無事に終わるのでしょうか。
“大人のお絵かき入門”前編はこちら
絵を描くチャンスはこれまでありましたが、漫画なんて描こうと思ったことすらありません。でも、漫画って憧れますよね。やってみたいですよね。
というわけで、じわじわ人気を拡大している無料漫画ソフト「CloudAlpaca」(クラウドアルパカ)を開発するメディバンさんに「さすがに無謀でしょうか」とお尋ねしてみたところ、「初心者でも大丈夫ですよ」という力強いお言葉が! ……正直半信半疑ですが行くしかない。
超初心者の私だけでは不安なので、今日は4人で合作することにしました。とはいえ3人は漫画未経験……ドキドキ。
前回に続き、お供はワコムの最新液晶ペンタブレット「Cintiq Companion 2」。Windows 8.1を搭載しており、PC要らずで単独で使える液晶ペンタブレットです。Windowsタブレットとして、PCにつなげて通常の液タブと同じように、などにも使えます。
人生初「コマ割り」
ストーリーから考えていたらどれだけ時間があっても足りないので、事前に準備したネームと下書きを元に、漫画にしていく作業をやることに。ITmedia ニュース記者の山崎がメディバンを訪問する――という内容で用意してくださいました。
機材とソフトをセットアップし、まずはコマ割りからスタート! と言っても簡単で、線を入れたい部分めがけて上下左右にペンをピッと走らせるだけです。最初はペン自体の操作にも慣れないので恐る恐るでしたが、慣れてくると上手くなってきて狙った通りに引けるように。専用ペンは重くも軽くもないちょうどいい重量感でしっくり手になじみます。
た、楽しい……。楽しすぎて無駄に何度もやり直してしまいました。今日は人生で初めてコマを割った記念日です。この時点でテンションが上がっています。
次にトーンを貼ってみます。アナログ原稿の場合は当然切ったり貼ったりが必要ですが、デジタルの場合は使うものと貼る場所を選ぶだけ。CloudAlpacaはその名の通りクラウドと連携していて、豊富なトーンや素材を無料でダウンロードできます。路地や建物、ビルのトーンの中から、今回のストーリーに合いそうなものを選んでコマの中に貼り付けます。大きさや角度も自由自在、バランスを見ながら調整します。……今のところ何もイラストを描いていないのに、なぜか絵が上手くなった気分に。
続けて、漫画ではおなじみの表現、集中線を練習。通常のペンと原稿用紙できれいに円形に広げるには慣れもテクニックも必要ですが、ソフトでは中心を決めるとガイドラインが表示されるので角度がぶれません。変な方向にペン先が逸れてしまってもノーカウントです。「基本は3本1セット、強めに引いた1本に軽く添えるように」――など、基礎の基礎を教えてもらいました。そうなんだ〜。
ワコムの液晶ペンタブレットの専用付属ペンの特長の1つである筆圧検知機能、傾き検出も同じような線を何度も引くとよく分かります。「Cintiq Companion 2」の場合は2048レベルもの筆圧を認識するので、ほんの少し力の入れ方を変わるだけで筆致が変わります。
描き慣れている人はすっときれいに力を抜けているのに、私の線はガタガタ。集中線というよりただの直線です。ぼんやりイラストを描いてる時にはあまり力の入れ方を考えていなかったので体感しにくかったですが、こんなにいろんな表情の線が引けるんですね。
最初はタブレットの上で描く時はギュギュッとマジックのように線を引いてしまっていたのですが、シャーペンをノートに走らせる程度の弱さでもきっちり認識することが分かってきました。こんなに力を抜いても大丈夫なのか!
いざ本番!
ペンにも慣れてきたところで、いよいよ合作を初めます。CloudAlpacaには「チーム制作機能」があり、同じネームや途中の原稿をクラウドで共有して共同編集できるのです。
今回は2ページのネームなので、それぞれの技量に合わせてコマを分担。私も1コマを仕上げます。漫画を描いてる気分が高まってきました。
もう1度コマ割りしてから下書きにペン入れ。描いた瞬間に分かります。へ、下手だわ……。消せばいいので大丈夫! と励ましてもらいながらゆっくり進めていきます。
本体横にあるエクスプレスキーによく使うコマンドが設定してあるので、右手の動きを邪魔せず左手だけで何度も「やり直し」。今日はデフォルト設定で使用しましたが、よく使う動作をカスタマイズして登録できるので、使いこなせると一層快適に作業できそうです。
隙間があいているとあとで塗りつぶしやトーン貼りがしにくくなるのできちんとつなげなくては……。こう思えていることが数十分前と比べて大きな変化です。
髪や布にぺたぺたとトーンを貼っていきます。拡大率を変えると印象が変わるのでいろいろ試しながら、コマ全体のバランスを考えて白っぽい箇所、黒っぽい箇所、ベタ塗りを決めていく作業です。背景は「ざわ……」に合わせておどろおどろしいものにしてみました。
コマ割り、トーン貼り、ペン入れ――やってみて分かったのですが、漫画は1つずつ作業を重ねていくので、イラストを描くのとは違う感覚です。「絵すら描けないのに!」というところがスタート地点でしたが、むしろある意味、自由に何か描くよりもとっつきやすいかも。気持ちとしてはブロックで建物や街を作っていく感覚です。
ペンタブレットではなく液晶ペンタブレットを使ったのも大きいかもしれません。正面の画面を見ながら手を動かすペンタブは今まで何度か使っても初心者の私はいまいち慣れなかったのですが、液タブは見たまま描くだけ、ズレもなく思ったとおりに描くことができて気分がいいです。
さて、1時間ほどでひとまず完成したのでドッキングしてみます。どん!
すごい!! 漫画になってるー! 感動です。CloudAlpacaには、同社の運営する電子書籍サイト「メディバン」にソフトから直接アップロードできる機能もついているので早速投稿。初作品が世界に公開されました。
2時間あっというま、時間いっぱいまで満喫しました。正直、予想を遥かに上回る楽しさ……漫画を描くなんて選択肢、今までなかったですが新しい世界です。
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