「シリアスとジョークは両立する」――猫画像から政治家インタビューまで 「BuzzFeed Japan」創刊
米国発のバイラルメディアの日本版「BuzzFeed Japan」が創刊した。「シリアスからジョークまで」をうたい、シェアされやすいスマホ・ソーシャル時代に合った記事を幅広く展開していく。
米国発のバイラルメディア「BuzzFeed」の日本版「BuzzFeed Japan」が19日に創刊した。ネットの話題のまとめから調査報道、キーパーソンインタビューまで取り扱う、月間50億PV(ページビュー)メディアの11カ国目の展開となる。
BuzzFeedは2006年にニューヨークで設立されたWebメディア。「インターネットで拡散するコンテンツとは何か」を追求し、政治や経済などの一般的なニュースだけでなく、画像や動画などネット上の“バズ”のまとめ、政治家や起業家の独占インタビュー、現場取材やデータ分析を元にした調査報道など幅広く扱っている。
各国版に共通してSNSを中心に読者を獲得しているのが特徴。検索流入は2%前後で、多くはアプリとFacebookやYouTube、Snapchatなど30以上の外部プラットフォームで閲覧されており、幼少期からインターネットや携帯電話に親しむ10〜20代の「ミレニアル世代」に特に支持されているという。創刊から10年で、グローバルで月間50億PVの規模に成長している。
“バズ”る記事作成を支える基盤となるデータ分析面では、PV、シェア数、読了率などの多様な指標でコンテンツの消費と拡散を解析しているという。各国で知見をため、細かいデータを編集に生かす。
米本社から来日したベン・スミス編集長が掲げる思想は「シリアスなニュースとジョークは両立する」。“楽しまれ・信頼され・シェアされる”を掲げる日本版もグローバルと同じ編集・倫理ガイドラインで運営を行っていく。
創刊日に掲載した記事を見ると、データ分析で浮かび上がったプロテニス八百長疑惑に関する翻訳記事、東京電力・福島第1原子力発電所への調査同行取材、SMAPの解散報道に対するネットの反応――などさまざまな長さ、温度感のものが並ぶ。
日本版の古田大輔編集長は「原発取材は8000字に渡る長文記事だが、『こういうものが読みたかった』など好意的な反応も多く見られた。きちんとした調査報道を行うのは時間も手間もかかるが、力を入れていきたい」と話す。
広告面でも各国版を踏襲し、通常の記事と同じような制作プロセスを踏み、コンテンツの1つとして読者に提供するネイティブアドでのマネタイズを目指す。古田編集長は、バナー広告を取り扱わないため、「必然的にPVを追いかける運営ではなくなる」とし、「“読者の実生活にポジティブな影響を与える”というメディア本来の価値を追求していく」と方針を話した。
運営母体となる「BuzzFeed Japan」は昨年8月にヤフーとのジョイントベンチャーとして発足した。ヤフーのマーケティングカンパニーエグゼクティブユニットマネージャーも務める高田徹代表は、(1)スマホ・ソーシャル時代に合ったメディアの構築、(2)新たなマーケティング手法の確立と展開――を提携の目的として挙げる。
「ポータルから検索へ、そしてソーシャルへ、ユーザーの情報取得経路はどんどん変わっている。時代に合ったメディアの形を常に考えていかなければ」(高田代表)
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