「朝食は体にいい」は食品会社が作り出した迷信?
朝食が体にいいとされる、その根拠になってきた実験の多くは、根拠があやふや……。英国の科学雑誌New Scientistが指摘している。
コーンフレークなどのシリアル食品は、19世紀末に医学博士のジョン・ハーヴェイ・ケロッグが発明した。敬虔なクリスチャンで菜食主義者だったケロッグ博士は、朝食に肉を食べることが人間の性欲を増進し、自慰などの好ましくない行動を引き起こすと考え、「健康な」シリアルを推奨した。この「健康な」は、医学的というよりは、宗教的な意味を帯びている。そして弟のウィル・キース・ケロッグが、シリアルに砂糖を加えて食べやすくすることを考案し、会社を興して大々的に朝食向けシリアルを売り出して、大成功を収めた。シリアルなどを朝食にする習慣は、米国人、そして世界中の人々に根付いていった。
また、オートミールで米国最大手のクエーカー・オーツ・カンパニーは、「朝食にオートミールを食べればコレステロールが減少する」という実験結果を得て、これを大々的に宣伝した。この実験は非常に限定的な条件で行われたものであり、オートミールさえ食べればいいというものではなかったにもかかわらず。
朝食に欠かせないと思われているメニューの1つにベーコンエッグがある。これも、1920年代にある食肉加工会社からの依頼で、「広報の父」と呼ばれるエドワード・バーネイズが考え出し、健康的な朝食のイメージとともに普及させたものだ。
しかし、こうしたメニュー以外でも、朝食をとることは体にいいのではないか? そう考える人々のために、英国バース大学で栄養学を研究するジェームズ・ベッツ博士は、いくつかの実験結果を示している。
まず、人々を2つのグループに分け、片方は朝食抜き、対照群の人々には午前11時までに700kcal以上の食事をとってもらった。その結果、朝食抜きのグループが昼食をがつがつ食べるかといえばそんなとはなく、やや摂取カロリーが多い傾向はあったものの、その差は700kcalに満たなかったという。つまり、1日の摂取カロリーは朝食抜きの方が少なくなるということだ。
また、朝食をとったグループの新陳代謝が上がっているということもなかった。
さらに、摂食行動をうながす空腹ホルモンの量では、むしろ朝食をとったグループは昼食後も低下しなかった。つまり、朝も昼もたっぷり食べたのに、彼らはまだ食べたがることになる。
「朝食をとる子供の方が学業成績が良い」という説についてはどうだろう。米国では農務省が低所得層の子供に朝の無料給食を出し、食べた子供は学業成績が上がるという結果が出ている。しかしベッツ博士は、米国では7世帯に1世帯が貧困と飢えに直面していることを指摘している。朝食以前に、日常的に飢えている子供は、学業成績が上がるはずがない。
これらの事実だけから、簡単に「朝食抜きが良い」とは言えないが、迷信を打破するきっかけにはなりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
-
2
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
3
「能動的サイバー防御」きょう開始 警察・自衛隊などが攻撃元サーバを無害化 高市首相も狙いを説明
-
4
B級感がたまらない? 映画「ストリートファイター」の魅力と原作ゲームの歴史、ゲーマーマンガ家が熱弁
-
5
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
6
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
-
7
GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
-
8
「楽天ドライブ」に不正アクセス 保存したデータなど1.5万アカウント分が取得・閲覧のおそれ
-
9
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
-
10
PHPに「緊急」レベルの脆弱性2件 修正版を日本時間21日深夜に公開へ、事前準備を呼び掛け
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR