Google、公式アプリストアが独禁法違反だと米州検事総長連合が提訴
米国の36州とワシントン特別地区の検事総長らがGoogleを独禁法違反で提訴した。公式アプリストアで支配的な力を乱用したとしている。Googleは、“他のモバイルOS”と違いサイドローディングも認めていると反論した。
米国の36州とワシントン特別地区の検事総長らは7月7日(現地時間)、米Googleが公式アプリストアでその支配的な力を乱用したとして米カリフォルニア州連邦地裁に提訴した。
訴状には「連邦および州の独禁法と消費者保護法の下、GoogleがAndroidアプリの配布および米国のAndroidアプリ内で購入するデジタルコンテンツの支払い処理のために取引を違法に制限し、独占を維持することを禁じ、消費者を救済するためにこの訴訟を起こす」とある。
Googleの公式Androidアプリストア(Google Playストア)については、英国とオーストラリアの独禁法当局も調査中だ。
Google PlayストアはAndroidの公式アプリストアではあるが、米AppleのiOSアプリとは異なり、Androidアプリは公式アプリストア以外からも入手(サイドローディング)可能だ。
だが原告は、GoogleがAndroidアプリ市場の90%を支配しており、競合するアプリストアがシェアを伸ばさないよう複数の措置を講じていると指摘する。例えば、Google PlayストアはほぼすべてのAndroid端末にプリインストールされており、競合するアプリストアがGoogleの広告ネットワークで広告を購入することを拒否していることなどだ。
Googleはこの提訴に対し、「他のモバイルOS(iOSを指す)のような制限のない」「(App Storeよりも)開放性と選択肢を提供するシステムを攻撃する訴訟を起こすのは奇妙だ」と公式ブログで反論した。「この訴訟は、米Epic Gamesによるメリットのない訴訟を模倣したものだ」。この訴訟は、Epicが提訴したのと同じ連邦地裁で起こされた。
公式アプリストアの手数料を巡っては、EpicがAppleおよびGoogleを提訴した他、SpotifyやFacebookも不満を表明している。
AppleとGoogleはそれぞれ、条件付きで手数料を30%から15%に引き下げている。
「この訴訟は、弱者を助けたり、消費者を保護したりすることにはならない。金を払わずにGoogle Playのメリットを欲しがる少数の大手アプリ開発者をバックアップすることになる。その結果、小規模な開発者のコストが上昇して競争力が低下し、Androidエコシステム全体の安全性が低下するリスクがある」とGoogleは主張した。
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