Microsoftの「Windows Powers the Future of Hybrid Work」まとめ
Microsoftはハイブリッドワークに関するオンラインイベントを開催し、“世界初のクラウドPC”と称する「Windows 365」と「Windows 11」の新機能を紹介した。発表されたことを簡単にまとめた。
米Microsoftは4月5日(現地時間)、オンラインイベント「Windows Powers the Future of Hybrid Work」を開催し、「Windows 11」および「Windows 365」に今後追加していく新機能を多数発表した。
タイトル通り、新型コロナのパンデミックで一般化した、職場と職場以外(自宅など)で働く「ハイブリッドワーク」を支援するWindowsでの取り組みについてのイベントだ。
司会を務めたパノス・パネイCPO(最高製品責任者)は、ハイブリッドワークを実現するためのツールや技術を提供するのがMicrosoftの使命であり、Windowsはその使命の中心にあると語った。
「Windows 11はハイブリッドワークのためのOSだ」とした上で、「これは始まりに過ぎない。われわれは、Windowsによる革新に全力を注いでいる。(中略)Windows 365は、Windowsをクラウド化するというわれわれの旅路における重要な一歩だ」と語った。
Windows 365は、昨年7月に発表された企業顧客向けのクラウド版Windows。Mac、iPad、Android、LinuxなどのWebブラウザでWindows 11の機能を使える企業向けの新サブスクリプションサービスだ。Microsoftは「世界初のクラウドPC」と定義している。企業の従業員は、手元のプライベートなデバイスからでも、Microsoftクラウド上にあるそれぞれのWindows環境に安全にアクセスできるという。
Windows 365の新機能
イベントで発表されたWindows 365の新機能はいずれも、Windows 365とWindows 11を、その境界を意識せずに使えるようにするものだ。
PCからWindows 365にログインする「Windows 365 Boot」
「Windows 365 Boot」は、手元のデバイスからWindows 365に直接ログインし、Windows 365をそのデバイスのプライマリなWindowsとして指定する機能。つまり、デバイスの電源を入れてWindows 365にログインすることで、デバイス上でクラウドPC上のOSが起動する。米GoogleのChromebookに近いもののようだ。
11と365を簡単に行き来できる「Windows 365 Switch」
「Windows 365 Switch」は、タスクスイッチャーでWindows 11(ローカル)とWindows 365(クラウド)間を移動する機能。キーボードショートカットやマウスクリック、スワイプでも切り替え可能だ。
Windows 365のネイティブアプリ「Windows 365 app」
「Windows 365 app」は、クラウドPCのネイティブアプリ。Windows 11で、WebブラウザではなくタスクバーかスタートメニューからクラウドPCにアクセスできる。
「Windows 365 Offline」でネットがなくてもクラウドPCを使える
「Windows 365 Offline」は、文字通りWindows 365をオフライン環境でも使えるようにする機能。ネットに接続できない場所でもWindows 365を起動して作業でき、その後接続するとクラウドPCと自動的に再同期する。
Windows 11の新機能
“間もなく”登場するWindows 11の新機能は、ファイルエクスプローラ、スタートメニュー、Microsoft Teams関連の他多数。あまりにも多くの機能が紹介されたので、ここではマネジメント関連については省く。Microsoftはこれらの新機能の具体的なリリース時期について、まだ発表していない。
スタートメニューがスマホのホーム画面のように
Windows 10までは左下から開いたスタートメニューが、Windows 11では中央に配置された。今後のアップデートで、このスタートメニューにアプリフォルダが追加される。スマートフォンのホーム画面に近い感覚だ。スマートフォンと同様に、アプリの配置はカスタマイズできる。
また、「Microsoft 365」に統合されているAI「Context IQ」がWindows 11でも使えるようになる。
エクスプローラーの改善
Context IQはエクスプローラーにも生かされ、例えば検索で、クラウド上のコンテンツを含む、Windows全体の関連コンテンツと連絡先が検索結果として表示されるようになる。
また、タブが使えるようになる。
「集中モード」の自動設定
Windows 10から導入されている「集中モード」は、集中したい時にチャットやメールの通知をオフにするなどで邪魔が入らないようにする機能だ。新機能は、Viva採用が必要だが、ユーザーの勤務スケジュールに基づいて自動的に集中モードにする時間を設定するというものだ。
聴覚障害者のためのライブキャプション
Webサイト上の音声やアプリの音声など、Windows上のすべての音声に字幕(キャプション)をリアルタイムで表示できるようになる。
「スナップレイアウト」がタッチ対応に
「スナップレイアウト」は、ウィンドウの配置を幾つかのパターンから選べるWindows 11の機能。現在はウィンドウの最大化ボタンの上にマウスを置くか、[Win]+[Z]でレイアウトを表示しているが、タッチ対応デバイスではタッチで表示・選択できるようになる。
Microsoft Teamsのアイコンタクトや背景ぼかし
「Microsoft Teams」には、相手の声がよりはっきり聞こえるようになる「Voice Clarity」、カメラを見つめなくても目線を相手に合わせているように見せられる「Eye Contact」、カメラの前から離れても自動的にフレーミングし直す自動フレーミング機能、背景をぼかす機能などが追加される。
セキュリティ関連の新機能
セキュリティ関連では、2020年に発表したセキュリティプロセッサ「Pluton」や、AI採用のフィッシング対策などが紹介された。一部を紹介する。
Plutonプロセッサ
Plutonは、AMD、Intel、Qualcommと共同で開発したセキュリティプロセッサ。CPUに直接TPMの機能を組み込むことで、バスインタフェースへの攻撃を回避する。また、TPM 2.0をサポートしており、BitLocker、Windows Hello、Windows Defender System Guardなど、TPMに依存するWindowsのセキュリティ機能を可能にする。さらに、ファームウェアおよびWindowsのアップデートで新たなセキュリティ機能を追加していける。
Plutonは、2022年発売の一部のWindows PCに搭載される見込みだ。MicrosoftのSurfaceシリーズ、NEC、Panasonic Connectに、韓国Samsung Electronicsも加わった。
フィッシングの検出と保護強化
Windowsに組み込まれた「Microsoft Defender SmartScreen」で、フィッシングの検出と保護を強化する。従業員がMicrosoft資格情報を悪意あるアプリやハッキングされたWebサイトに入力しようとすると、警告が表示されるようになる。
怪しいアプリを実行させない「Smart App Control」
「Smart App Control」は、Microsoftが信頼できないと判断したアプリをユーザーが実行できないようにする機能。WebブラウザではなくプロセスレベルでOSのコアに直接組み込まれる。Microsoftクラウド上のデータに基づいて、新しいアプリが実行されるとそのアプリの安全性をチェックする。
この機能は、Windows 11がプリインストールされている新モデルに搭載される。既存のWindows 11デバイスで使うには、Windows 11をクリーンインストールする必要がある。
イベントの最後に登場したサティア・ナデラCEOは、「PCとクラウドの境界は薄れつつある。Microsoftは、皆さんのデバイスの限界も、どこでどうやって働くかの限界も取り去っていく。これはまだ始まったばかりだ」と語った。
イベントはMicrosoftの特設サイトで視聴できる。
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