「いずれ、バーチャル世界は現実を超える」 AIベンチャー→メタバース 30歳連続起業家の視線(2/4 ページ)
23歳の時、AIを使った人材マッチングサービス「scouty」(現在のLAPRAS)で起業した連続起業家は、新会社Polyscape(ポリスケープ)を設立。「子どものころから憧れていた」というメタバース実現に挑む。
「人がより自由に生きられるバーチャル世界」を
「デジタルテクノロジーが発展していく一方で、現実世界は進化していくわけではない」。島田さんは言う。
リアル社会には物理的な限界があるが、メタバースにそれはない。だからこそ、現実と両立し、それを超える可能性がある。
自由……性別や人種に縛られない自由、煩わしい人間関係にとらわれない自由、仕事に行かなくてもいい自由。メタバースでは現実を超えた、自由な生き方が選べる。
ずっとメタバースにいてもいいし、現実世界と“両立”してもいい。週3日は現実の会社で働き、週2日メタバースで働く。そんな生き方があってもいい。
“自由に生きられるメタバース”実現に必要な要素は3つあると、島田さんは考える。ずっといたいと思える楽しい場、尽きないコンテンツ、そして「お金」だ。
「お金」が変えるメタバース
FF 14のようなMMORPGには、毎日何時間も浸るユーザーが数多い。「ずっといたい」と思える場に、既になっている。
一方で、遊び続けるにはお金がいる。サーバ代など仮想空間で消費するお金だけでなく、現実社会の“体”も養っていかなくてはならない。お金がないと、メタバースに浸りきることもできない。そのお金を、メタバースで稼ぐことができないか。
稼いでいる人も一部にはいる。アバターの衣装やモーションを売る人がいたり、換金可能な「トークン」が流通するブロックチェーンゲームもある。
ただ、前者は参加できる人がデザイナーなどごく一部に限られる。後者は安いうちにトークンを買い、値上がりしたら売り抜けるなど投機目的での参加者が多く、「持続的な経済性を実現できているゲームは少ない」(島田さん)。
それでも、メタバースで“稼ぐ”鍵はブロックチェーンになると考えている。問題は実装方法だ。投機的な仕組みにせず、メタバースで暮らしたり楽しむことにトークンを介在させることで、現実社会に近いお金の流通を可能にしたいという。
例えばスポーツビジネスのようなイメージだ。サッカーなら、観戦するファンがチケット代を払うことで選手が稼いだり、サッカー用具を販売したり、サッカー教室を開いたり、それぞれの役割で仕事があり、経済が回っている。メタバースでも、プレイヤー同士でお金が回る仕組みは作れるのではないか。
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