「いずれ、バーチャル世界は現実を超える」 AIベンチャー→メタバース 30歳連続起業家の視線(3/4 ページ)
23歳の時、AIを使った人材マッチングサービス「scouty」(現在のLAPRAS)で起業した連続起業家は、新会社Polyscape(ポリスケープ)を設立。「子どものころから憧れていた」というメタバース実現に挑む。
今後は、ブロックチェーンゲームに大手ゲームメーカーも参入する見通しだ。何時間でもプレイできるほど面白く、かつ、現実世界と同じようにお金を稼ぐことができるメタバースがあと数年内に実現していくと島田さんみており、同社もその一つを作りたいという。
課題もある。メタバースで“暮らす”ようになる最初の人々は、現在、MMORPGにどっぷり浸かっているゲーマーである可能性が高い。だが彼らは、ゲーム内のアイテムを現実世界で販売して“ゲームで稼ぐ”(RMT)ことを極端に嫌う。
お金が流通して「生活できる」メタバースの実現には、RMT的な負のイメージの払拭が必要だ。「その壁をぶち破ったプレイヤーが、トップに出るのではないか」(島田さん)
最初の一歩はオフチェーン
同社はまずPC向けに、オフはチェーン(ブロックチェーンを使わない)の面白いゲームを作ることから始める。そこで開発力・資金力をつけ、次にブロックチェーンやメタバース要素のあるゲームに挑戦する計画だ。
第1弾として、ローグライクアクション「MISTROGUE」を開発中だ。グローバルゲームプラットフォーム「Steam」で人気のゲームジャンルを参考に、爽快な戦闘とビルド(能力や装備)の探求両方が楽しめるゲームを目指している。
島田さんは子どものころからのゲーム好き。中学生のころには個人でゲームを作り、公開したこともある。ただ、会社規模でゲームを開発するのは初。Webサービスとは開発過程も違い、悩むこともあったという。
例えばゲームは、遊んでいる時の“気持ちよさ”が重要だったり、グラフィックスや音楽をチェックする必要があったり。Webサービスにはない要素が満載だ。
Web出身だからこその強みもある。例えば、開発中のサービスをユーザーに利用してもらい、フィードバックを得てサービスを深めるアジャイル開発。これをゲームにも採り入れた。
現在、MISTROGUEの“売り”としてアピールしているリアルタイムのステージ生成機能は、開発版プレイヤーからの「物足りない」という反応を見て、付加したものだ。
ゲームの完成は2023年2月の予定。英語と日本語、中国語、韓国語でリリースし、最初の半年で黒字化させる計画だ。その後は開発ノウハウと資金をつぎ込み、ブロックチェーンゲームやメタバースを開発していく。
大学院ではAIを専門で学び、AIで最初の起業を成功させた島田さんは、メタバースにもAIが不可欠になると考えている。「『ソードアート・オンライン』みたいに、AIを使ってNPCがしゃべれたり、3Dモデルを作るときにAIがアシストしてくれたり……」。アイデアは尽きない。
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