インボイスで漫画家の2割が廃業も? 危機感抱くエンタメ業界 声優・アニメ・演劇団体と共同記者会見(2/5 ページ)
インボイス制度が始まると、エンタメ業界のフリーランスのうち2割が廃業するかもしれない――11月14日、インボイス制度反対を訴える記者会見を、声優・漫画・アニメ・演劇業界が連携して実施した。
漫画家も2割が「インボイスが始まったら廃業」
「漫画家の2割以上が、インボイスが始まったら廃業せざるを得ないと回答している」。漫画家の由高さんは、漫画家を対象に11月に行ったアンケート結果を紹介し、危機感をあらわにする。
回答は1275件。うち98%が個人事業主だ。回答者の漫画業界での年収は「100万円未満」が19.2%、100〜200万円未満が18.9%、「200〜300万円未満」が16.6%と、過半数が300万円未満だった。
インボイス制度による仕事の影響について聞いたところ、「廃業する可能性がある」が20.6%、「廃業することを決めている」と答えた人も0.6%いた。特に収入が低いアシスタントは、インボイスで「廃業する可能性がある」と22.9%が、「廃業することを決めている」と0.9%が回答している。
「漫画出版社が過去最高益を上げているなどと聞くが、漫画の原稿料はここ数十年上がっていない。単行本の売り上げに比例する印税額は、人気漫画かどうかで格差が大きい。この状況でインボイスを導入すれば、免税事業者だった漫画家が増税や収入源に耐えられず、廃業が加速する」(由高さん)
特に「アシスタントが廃業しそうで怖い」と訴える。「アシスタントから漫画家デビューする人は多い。アシスタントの収入減が加速すれば、漫画家のなり手がいなくなる。一部の大手作家が出す作品以外は死滅していくと思う。インボイス制度は、漫画文化衰退の原因の一つになりかねない」。
年収1000万円を超え、既に消費税を納めている漫画家にも影響はある。アシスタントが免税事業者の場合、アシスタントへの消費税が控除できなくなるのだ。「漫画家はアシスタントに課税事業者になることを迫れない。アシスタントは先生に、免税事業者を受け入れることを迫れない」。インボイス制度が、漫画家とアシスタントを分断してしまうのだ。
アンケートでは9割の漫画家が「誰のための何のための制度なのか理解できない」と答えたという。また、「取引先からインボイスについて問い合わせがあったか」という質問に、8割が「何も聞いていない」と回答。「企業側の理解・準備不足も顕著」だと由高さんは言う。
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