ソニー、Microsoftとの「Call of Duty」契約に合意
Microsoftのゲーム責任者、スペンサー氏は、ソニーと人気ゲーム「Call of Duty」をプレステに10年は提供するという契約を結んだとツイートした。このゲームを手掛けるActivisionのMicrosoftによる買収完了は、英規制当局の承認を待つばかりだ。
米MicrosoftのMicrosoft Gaming CEO、フィル・スペンサー氏は7月16日(現地時間の日曜日)、ソニーとMicrosoftが「Call of Duty」をプレイステーションで提供し続けるための「拘束力のある合意」を結んだとツイートで発表した。
Microsoftの法務顧問でもある副会長兼プレジデント、ブラッド・スミス氏はこのツイートに「この買収の初日から、われわれは規制当局、プラットフォームとゲームの開発者、消費者の懸念に対処することに取り組んできた。この取引承認のゴールラインを越えた後も、われわれはこれまで以上に多くのプラットフォームとより多くの消費者がCall of Dutyを利用できるようにすることに注力し続ける」というコメントを添えてRTした。
「この買収」とは、Microsoftが2022年1月に発表したActivision Blizzardの買収のことだ。総額687億ドルでのこの買収に対しては、各国の規制当局が独禁法違反の懸念を示していたが、欧州連合(EU)は5月に承認し、14日には米規制当局の連邦取引委員会(FTC)による控訴を裁判所が却下し、英当局の競争・市場庁(CMA)はMicrosoftの再提案を検討するとしたため、取引が完了する可能性が高まっている。
スペンサー氏は買収発表の2日後には、買収完了後もCall of Dutyをソニーのプレイステーションでプレイできるとツイートしている。
Microsoftは2月、米NVIDIAおよび任天堂とCall of Dutyに関する契約を結んだ。任天堂との契約は、このゲームのXboxでのリリースと同時に任天堂にも同ゲームを提供するという10年間の拘束力のあるものだ。
ソニーとの契約の詳細は不明だが、ソニーは米Axiosなどのメディアに対し、この契約の期間は10年だと語った。
CMAの検討が完了するまでは取引は完了しない。取引の契約上の期限は7月18日になっているが、両社が期限を延長する可能性は高いだろう。
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