2560×1600ドットが広色域パネルで登場──デル「3007WFP-HC」(2/2 ページ)
20万円前後で購入できる30インチワイド液晶ディスプレイとして注目されるデル「3007WFP」の後継機種が登場した。ここでは新製品で大幅に改善された「色」を中心に紹介しよう。
このように、色表現に関してはスペックが示す違いを体感できたが、応答速度や輝度の変更に関しては、3007WFPから大きな違いを感じられなかった。キャラクターベースのゲームを使い、キャラクターを縦横に動かしたときの残像感もほぼ同じだし、カタログスペック上は3007WFPより輝度が落ちている(3007WFPが400カンデラであるのに対して、3007WFP-HCは300カンデラ)のだが、体感上はそこまでの差はなかった。ただ、どちらにしてもPCディスプレイとして至近距離で使うときには、輝度をかなり下げて使うことになるだろう。
視野角にも大きな差はない。普通のデスクトップ感覚で40~60センチ離れてディスプレイの中心を見た場合、30インチという大画面になると両脇の角度がきつくなり、どうしても色変化を感じてしまうが、それも許容範囲内といえるだろう。
いうまでもなく、30インチで最大解像度「2560×1600ドット」のパネルが可能にするその情報量は圧倒的だ。新聞の横見開きがすべて表示できてしまう広大な表示エリアに、1600×1200ドットを縦に2つ並べたデュアルディスプレイに必要な2400×1600ドットよりも解像度が高いのだ。
ドットピッチは0.2505ミリと20インチで最大解像度が1600×1200ドットであるディスプレイの0.255ミリ並みの精細表示を可能にしている。これは、24インチワイドで最大解像度1920×1200ドットであるディスプレイのドットピッチ0.27ミリより細かい。
また、この解像度なら、500万画素程度の静止画を等倍でほとんど表示できてしまうだけでなく、等倍表示すると、表示されている部分がどこだか分からなくなってしまう、1000万画素級の高画素映像の表示でも威力を発揮する。もちろん、大量のサムネイル写真から選択する場合も便利であるのは間違いない。
このように、搭載する液晶パネルが改善された3007WFP-HCだが、従来と3007WFPと同様、輝度以外に画質を調節することがまったく用意されていない。これではせっかくの新しい92%広色域パネルの性能が無駄になってしまう。表示色の再現性が大幅に改善されたのに、「あって当然」といえるコントラストや色温度の調節機構がない3007WFP-HCは、従来モデルと同様にレタッチ用途に勧められない。もちろん、ソフトウエアキャリブレーションを導入すれば、少しは調節できるのだが、グラフィックス側の出力を調節するものなので、パネル本来の再現性をスポイルしてしまう。
また、3007WFP-HCで使用できる解像度がピンポイントで決まってしまっている点にも触れておきたい。基本的に使えるのは、パネル解像度と同じ2560×1600ドットとその4分の1解像度になる1280×800ドットのみになる。グラフィックスカードによってはそのほかの解像度も選択できるのだが、3007WFP-HC側にスケーリング調整回路を持っていないためか、その画像は実用的とは言えないほど甘い画質になってしまう。ちなみに筆者が評価したGeForce 7600GTとForceWare 86.02(OEM用カスタムバージョン)では1920×1200ドットの解像度が設定できなかった。
そのためもあってか、3007WFP-HCのDVI-D端子はHDCPに対応しているが、DVI-HDMI変換ケーブル経由で、PlayStation3(システムソフトウエア1.60)を接続してみたが画像はまったく表示されなかった。1440p対応のHDMIケーブルが発売されたら状況は変化するかもしれないが、現状ではデュアルリンクDVIを搭載したPC用グラフィックスカード以外に汎用性はない。
3007WFP-HCは、従来の3007WFP同様、本来の用途としては、できるだけ広い面積で使いたいCADや、多くのグラフを表示したい証券/為替取引の現場など、特殊な用途がメインになると思われる。しかし、パネルの素性が従来モデルから改善されただけに、調節機能がないのはとても残念だ。これで、画質調節ができて複数入力に対応し低解像度(とくに1920×1200ドット)の表示品質が保たれるなら、ハイエンドディスプレイとしてプレミアム感の高い製品になったと思われる。
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