極薄キーボードの機能美に酔う――アップル「Apple Keyboard」:ちょっと気になる入力デバイス
ユーザーに身近なキーボードとマウスは、星の数ほど発売されている。その中から、気になる一品を360度チェックする。
これまでのバックナンバー
第1回 線をなくした“最上”マウス――エレコム「M-P3DUR」シリーズ
第2回 “Media Center 命”のVista向けキーボード――MS「Wireless Entertainment Desktop 7000」
第3回 Mac印のミニキーボード――PFU「HHKB Lite 2 for Mac」
第4回 “ごろ寝マウス”が地球のキキを救う!?――シグマA・P・O「ごろ寝 リターンズ」
第5回 “小学生だからって甘く見るなよ”な右手/左手切り替えマウス――エレコム「M-EKUR」シリーズ
第6回 見ためが“イカス”快適マウス――MS「Natural Wireless Laser Mouse 6000」
第7回 カ・イ・カ・ン……なホイールがお手ごろ価格で――ロジクール「MX620 Cordless Laser Mouse」
第8回 “ちょい上”キーボードをタッチしてみた――エレコム「TK-P05F」シリーズ
第9回 解き放たれた超軽量・薄型キーボード――シグマA・P・O「Bluetooth Elysium」
アルミニウムに覆われた白と銀の清潔感あふれるボディ
アップルという会社は、時として「これは冗談だろう?」と思えるものを製品化してしまう力を持っている。今回取り上げる「Apple Keyboard」もそんな製品の1つだ。アップル製品でおなじみとなる事前のリーク画像を見たときは、「何もそんなに薄くしなくてもいいのでは……」と正直思ってしまったが、実際に製品を手にしてみると、このスリムさとコンパクトなボディは大きな説得力を持っているのが分かる。
何せ最薄部で3.4ミリ、最厚部でも18ミリしかなく(いずれも実測値)、それでいて酸化皮膜処理を施したアルミニウムボディによって剛性を確保しつつ、見ための高級感を高めている。ボディのサイズは435(幅)×114(奥行き)×18(高さ)ミリと小型でいながら、重量は約565グラムとズッシリとした手応えがあるのも好印象だ。新型iMacに付属するのはJIS配列のみだが、ラインアップにはUS配列も用意される。
キーの形状はMacBookと同じタイプで、キートップが外れにくくなっている。キーサイズは主要キーで縦15ミリ/横15ミリ(キーピッチは19ミリ)と正方で、キーストロークは約2ミリだった。初代MacBookではキー入力時にカチャカチャという耳障りな音が発生しがちだったが、本製品ではそのようなノイズは発生せず、“しっとり”とした印象になっているのが好ましい。
スペースバーは63ミリ、Enterキーも20~25ミリ(JIS配列の場合)と比較的ゆとりがあり、左右のCommandキーも28/27.5ミリと大きめに取られているので、以前のアップル純正キーボードからの移行もスムーズに行えるだろう。ただ、Caps Lockキーが左下端から右Shiftキー直下に移動しており、慣れるまでは戸惑うかもしれない。
標準で2基のUSB 2.0ハブを備えるが……
キーボードスタンドは用意されず、傾斜角度の変更はできないが、実際に使っていて不満を覚えることはなかった。また、スタンド部に2基のUSB端子を備えており、USB周辺機器を気軽に着脱できるが、USB端子がスタンド部にあるため厚みのあるUSBメモリーキーなどは装着できず、取り付けられても段差が生じてしまうのはいただけない。また、最新のiMac以外ではUSB 1.1として機能する。試しに初代MacBookに本製品を接続したところ、iPod touchやiPod classic、第2世代iPod nanoなどは「USBの電力が不足しています」のアラートがでてしまい、充電や同期は行えなかった(ちなみに、電力が少なくて済む初代iPod Shuffleは問題なく利用できた)。
ファンクションキーがF1~F19まで用意されており、画面の明るさや音量調整、DVD/CDメディアの排出、再生/停止、早送り/早戻し、Espose、Dashboardがあらかじめ割り当てられている。なお、F5/F6、F13~F19の各キーは割り当てがなく、「システム環境設定」→「キーボードとマウス」→「キーボードショートカット」から任意に機能を指定することもできる。
本製品のサポートOSはMac OS X 10.4.10以降だが、Windowsでも一般的なUSBキーボードとして利用可能だ(ただしホットキーは機能しない)。パッケージはシンプルで、長さ約100センチのUSB延長ケーブルと簡易マニュアルが付属する。価格は直販のApple StoreでJIS/US配列とも6400円だ(Bluetooth接続の「Apple Wireless Keyboard」は1万200円)。
Windows向けの多機能キーボードというと、とかくワンタッチボタンで埋め尽くされた製品ばかりだが、Apple Keyboardは多機能でありながらデザインや質感、そして高い剛性感も兼ね備えているのが真骨頂だ。Macユーザーだけでなく、Windowsユーザーでも食指が動く一品と言えるのではないだろうか。
PC USER編集部Tのインプレッション
正直、上質のタッチを提供してくれるキーボードとは言い難いが、圧倒的な薄さを実現していながら、酸化皮膜処理のアルミニウムで高い剛性感と高級感を確保しているのは、「さすがアップル」としか言いようがない。さりげなく置いておくだけで、これほど絵になるキーボードはないだろう。ただ、新型iMac以外と組み合わせた場合のデザインのマッチングは微妙かもしれない。
キーレイアウトは、Commandキーからリンゴマークが消え、Caps Lockキーが右下に移動している点には違和感を覚えるが、ファンクションキーがF19まで拡張され、カスタマイズの自由度が広がっているのはうれしい。同時発表されたBluetooth接続のApple Wireless Keyboardならば、ケーブルレスでよりスマートに使えるが、10キーがない点には注意が必要だ。10キー付きのApple Wireless Keyboardもラインアップに欲しいところ。
PC USER編集部Hのインプレッション
キータッチは、これまで使っていた初代MacBookと大して変わらないと思っていたのだが、実際に使ってみて耳障りなノイズが大きく減っていたのは思わぬ朗報だった。キーストロークが約2ミリと浅めで物腰の柔らかなソフトタッチは好みが分かれそうだが、致命的な欠点とはならないだろう。さまざまな機能を割り当てたワンタッチボタンを備えながら、省スペースで見ためも美しいキーボードとして魅力は高い。
上でも述べているが、10キー付きのApple Wireless Keyboardは是非ともラインアップに加えて欲しい。
主なスペックは下記の通りだ。
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