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第7回 光ディスクの製造工程 その3──順積み方式による2層ディスクの作り方 新約・見てわかる パソコン解体新書(1/3 ページ)

「見てわかるパソコン解体新書」の7回目は、前回に続いて2層ディスクの生産過程を取り上げます。

2008年2月19日、東芝がHD DVD事業の終息を発表し、次世代光ディスクの規格争いはBlu-ray Discの勝利に終わりました。HD DVDはなくなりますが、DVDプレーヤーとメディアはこれからも使われ続けるでしょう。今回はDVDの2層ディスクの製造工程を解説します。

 DVDのディスクには、記録層が片面1層でデータ容量が4.7Gバイトのものと、片面に2つの記録層を持ち、データ容量8.5Gバイトの片面2層ディスクがあります。市販されている映画のDVDは、長時間の映像を高品位で記録するために、片面2層ディスクを使用することが多いのです。規格上は、ディスクの両面に記録層を持つ両面ディスクも規定されていますが、実際の製品ではほとんど使われていません。

 コンテンツのパッケージを見ると、「片面1層」または「片面2層」と書かれていますが、ディスクの記録面を見ても、そのディスクが1層か2層かの判断ができます。ディスクを持って裏返し、蛍光灯の光を反射させて、記録面に干渉じまが現れたら2層ディスクです。

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 2層ディスクの2つある記録層の間隔は、DVD-ROMの場合で55マイクロメートル±15マイクロメートル、DVD-R DLで25マイクロメートル±5マイクロメートルと決められています。記録層の間隔を誤差ゼロで製造することは不可能なので、多少の誤差が許されており、実際の2層ディスクの記録層の間隔は場所によって微妙に厚かったり薄かったりしています。

 光は波としての性質を持っているため、2つの層のそれぞれで反射した光は、記録層の間隔によって波の位相にズレが生じます。そして、2つある層からの反射光の位相のズレが少ないところでは反射光が強くなり、位相がちょうど逆になる場所では反射光が弱くなり、この結果として干渉じまが発生するのです。

 下図に片面2層のDVD-R DLメディアの構造を示します。基本的には、2枚の0.6ミリ厚のディスク間に、0.025ミリメートルの薄い中間層(スペーサーとも呼ばれます)を挟み込んだ構造をしていて、マスター基板と中間層の表面に、それぞれ記録層と反射層が形成されています。

 記録面から見て、手前側にある記録層をL0、奥にある記録層をL1と呼びます。LはLayer(層)の頭文字です。2層ディスクのことをDLといいますが、これはDouble Layerを意味しています。

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