薄くてカッコイイのに低価格──X340 Superの“美しいバランス”を知る(2/2 ページ)
MSIの新世代ノートPC「X-Slim Series X340 Super」は、均整の取れた薄いボディに高い性能と優れた使い勝手を詰め込んだ。その美しさとたくましさを検証しよう。
ベンチマークテストでCULVタイプCPUの実力を見る
X340 Superは、X340シリーズの上位モデルになる。そのスペックは、CPUがCore 2 Solo SU3500(動作クロック1.4GHz)で、チップセットはIntel GS45 ExpressとICH9Mを搭載する。CPUもチップセットも、SFFモデルを採用しており、通常タイプのパッケージより実装面積が約半分に削減された。また、Intel GS45 ExpressにはグラフィックスコアとしてHD動画コンテンツのハードウェア支援機能をサポートするIntel GMA 4500MHDを統合している。そのほか、システムメモリはDDR2-667を2Gバイト実装し、データストレージとしては320GバイトのHDD(Serial ATA)と内蔵している。
まずは総合的な性能を確認するために「PCMark05」を実行した。シングルコアのCore 2 Soloということで、さすがに結果の値は「すごく高い」まではいかない。しかし、Netbookでよく採用されているAtom N270(1.6GHz)、Atom Z530(1.6GHz)で測定される「1500程度」と比べるとだいぶいい。
PCMark05:PCMark | 2177 |
---|---|
PCMark05:CPU | 2424 |
PCMark05:Memory | 3353 |
PCMark05:Graphics | 1049 |
PCMark05:HDD | 5161 |
次にグラフィックス性能を測るため、「3DMark05」と「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」を実行してみた。こちらもディスクリートのGPUほどではないが、統合型のグラフィックスコアとしては優秀な部類だ。Atom N270とIntel GMA 950搭載のNetbookと比べると、総合結果を示す3DMarksが4倍程度、FFXIベンチでも高解像度(High)が2倍程度の結果となっている。さほど重くない3Dゲーム程度なら動作する性能といえるだろう。
3DMark05(1366×768ドット):3DMarks | 1265 |
---|---|
3DMark05(1366×768ドット):CPU | 3902 |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3:High | 1419 |
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3:Low | 2067 |
評価で試用したX340 SuperのHDDは、東芝製の「MK3255GSX」が搭載されていた。これは2.5インチサイズのドライブで5400rpm、キャッシュ8Mバイトのモデルだ。ベンチマークテストの結果を見ても、低価格ノートPCでは高い値で、ユーザーもストレスなく使える速さといえる。320Gバイトと大容量で、SSDや160GバイトクラスのHDDを搭載したNetbookよりも大容量のデータ(例えばHD動画ファイルなど)を活用できるだろう。
PCMark05:XP Startup | 8.759 |
---|---|
PCMark05:Application Loading | 5.986 |
PCMark05:General Usage | 5.272 |
PCMark05:Virus Scan | 99.843 |
PCMark05:File Write | 54.603 |
CrystaDiskMark 2.2(Test Size=100MB):リードシーケンシャル | 47.519 |
CrystaDiskMark 2.2(Test Size=100MB):リードランダム512KB | 26.839 |
CrystaDiskMark 2.2(Test Size=100MB):リードランダム4KB | 0.441 |
CrystaDiskMark 2.2(Test Size=100MB):ライトシーケンシャル | 48.539 |
CrystaDiskMark 2.2(Test Size=100MB):ライトランダム512KB | 30.735 |
CrystaDiskMark 2.2(Test Size=100MB):ライトランダム4KB | 1.143 |
次いで、Windowsの起動時間と終了時間をチェックしてみた。Windows Vistaの起動については、ログオン画面が表示されるまでと、デスクトップにタスクトレイが表示されるまでの時間をそれぞれ手動で計測した。また、休止とスリープ状態への移行と復帰、Windowsのシャットダウンにかかる時間も同様に計測している。なお、計測時の誤差を考え、5回計測を行ってその平均値を結果として掲載した。
起動と終了にかかる時間は、HDD搭載のノートPCとしては普通だろう。さすがにSSD搭載ノートPCと比べると時間がかかるのは致し方ないが、取り立てて「遅い」とか「待たされる」といった印象はなかった。
Windows Vistaの起動と終了時間 | |
---|---|
起動(ようこそ画面まで) | 51.1秒 |
起動(タスクトレイ表示まで) | 55.2秒 |
休止状態への移行 | 16.8秒 |
休止状態からの復帰 | 34.3秒 |
スリープへ移行 | 6.2秒 |
スリープからの復帰 | 1.9秒 |
シャットダウン | 14.5秒 |
バッテリー駆動時間をチェック
バッテリーは4セルパックが標準で付属する。本体を薄くするため、バッテリーも薄型のリチウムポリマーを採用した。MSIが示す公称スペックでは、約3.5時間のバッテリー駆動が可能ということになっている。
実際にどの程度バッテリーが持つのか、「BBench 1.01」(海人氏作)を使って検証してみた。検証時の条件は、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行う設定にした。また、ディスプレイの輝度は最高レベル、音量は最大値の半分、Bluetoothはオン、Vistaの電源プランは「高パフォーマンス」に設定している。
BBench 1.01の結果は2時間46分3秒だった。公称スペックには及ばないが、電源プランを「バランス」や「省電力」に設定したり、ディスプレイの輝度を落とせばもっと長持ちするはずだ。通常の使用ならバッテリー駆動でも3時間前後は使えると思われる。
「Netbookは物足りない」ユーザーは使って欲しい
ここまで見てきたとおり「X340 Super」は、とにかくスリムで見栄えのするノートPCだ。パフォーマンスもNetbookと比べてパワフルで、通常のオフィス用途などは快適にこなせる。また13型ワイドで1366×768ドット表示の液晶ディスプレイも広々としている。メインマシンとしても快適に使えるはずだ。
X340 Superの性能と価格は、ちょうどNetbookと通常タイプのモバイルノートPCの中間になる。「気軽に持ち運べるノートPCが1台欲しい」と考えているけれど、「Netbookは遅くて画面も狭い」「通常タイプのノートPCは価格が高いし、大画面モデルは重くて持ち歩けない」と悩んでいるユーザーにはちょうどいい1台といえるだろう。
関連キーワード
MSI | MSI X-Slim Series | ノートPC | バッテリー | キーボード | HDMI | スリム | Wind Netbook(Wind Notebook) | CULV | 超低電圧 | モバイルPC | 1スピンドルノート | MSI X-Slim Series X320 | スタイリッシュ
関連記事
MSIの“7”は購入済みPCも対象になる
エムエスアイ・コンピューター・ジャパンは、6月26日から始める「夏のボーナスキャンペーン!」で、Windows 7のアップグレードクーポンをプレゼントする。MSIの“薄っ!”ノートPC「X-Slimシリーズ」、CULVやWiMAX内蔵モデル登場に期待
MSIブースに主流のNetbookやノートPC、液晶一体型PCの各モデルがずらりと展示。HSPAやWiMAX内蔵、CULVモデル、“7”入りデモ機などにも人気が集まっていた。MSI、スリムノートPC「MSI X340 Super」に銀色モデルを追加
エムエスアイコンピュータージャパンは、Cpre 2 Duo搭載のスリムノートPC「MSI X340 Super」に新色「シルバー」モデルを追加した。MSI、HDD+SSD構成の“ハイブリッド”Netbook「Wind Netbook U115 Hybrid」の発売日を確定
エムエスアイコンピュータージャパンは、ストレージ構成をHDD+SSDのハイブリッド搭載としたミニノートPC「Wind Netbook U115 Hybrid」の発売日確定をアナウンスした。まだまだ続くMSIのノートPC攻勢──X340の上位モデルも間もなく登場
MSIは、4月22日に「X340」などの新製品と事業戦略についての説明会を行い、MSIの日本市場での取り組みと体制、登場予定のX-Slimシリーズについて紹介した。速攻フォトレビュー──MSIスリムノート「X340 Super」の「薄っ!軽っ!」ボディをチェックする
2009 International CESで衝撃のデビューを果たした「X320」、CeBIT 2009で進化した姿を披露した「X340」が日本上陸。そのスリムなスタイルを詳しく紹介しよう。news069.jpg MSI、有償の訪問出張サービス「MSI パソコン訪問コンシェルジュ」を開始
エムエスアイコンピュータージャパンは、同社製PCを対象とした訪問出張サービス「MSI パソコン訪問コンシェルジュ」の提供を開始する。MSI、18.5型タッチパネル液晶搭載のNettop「Wind TOP AE1900」の発売日を発表
エムエスアイコンピューターは、18.5型タッチパネル装備の一体型デスクトップPC「MSI Wind TOP AE1900」の発売日を確定。4月18日より発売する。MSI、搭載CPUを強化した“Wind Netbook”新デザインモデル「U123」など2機種を発表
エムエスアイコンピュータージャパンは、CPUとしてAtom N280を採用した“Wind Netbook”新モデル「U123」「U100 Plus」の2モデルを発表した。フルHDも最新3Dゲームもおまかせっ!な“ボードPC”
ボードPC的なスタイルで日本でも注目されているMSIの液晶一体型のAEシリーズ。事前公開で披露された上位モデルのほかにもハイエンドな1台が展示されていた。MSIが事前公開で見せた「ポストNetbook」の時代
CeBITの正式開幕は3月3日だが、前日の3月2日から報道向けの展示ブース事前公開やスピーチセッションなどが、いくつかのベンダーで行われている。MSI、本革張り天板モデルなど台数限定ノートPC計5モデルを販売
エムエスアイコンピュータージャパンは、本革天板装備のノートPC「MSI PX600 Prestige Collection」など計5モデルを発表。いずれも台数限定販売となる。MSIの「封筒Netbook」とShuttleの「かっこいいNettop」を見る
International CESは「家電の祭典」だが、2009年はPCの新製品発表も多く、それらの製品展示が例年より多かった。ここでは、HP、MSI、そしてShuttleのブースで展示されていた新しい「出荷待ち」製品を紹介しよう。MSIの液晶一体型、日本上陸──MSI「Wind NetOn AP1900」ちょっとちょっとレビュー
2008年に盛り上がったNetbookとNettopだが、2009年はその進化系が求められている。Wind Netbookが好調だったMSIは、デザインを重視したNettopを投入する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.