MSIの「R4890 Cyclone OC」で“Cyclone”の冷却性能に迫る:イマドキのイタモノ(1/2 ページ)
Twin Frozrを搭載した「Lightning」シリーズとともに、冷却性能以上に迫力のあるスタイルも人気の「Cyclone」シリーズ。その“クーラーユニット”に注目してみた。
ベンダーの実力が問われる「オリジナルデザイン」モデル
クーラーユニット「Twin Frozr」を搭載して「冷える」「オーバークロックに強い」という印象が定着してきたMSIのグラフィックスカードラインアップで、異彩を放つのが「Cyclone」シリーズだ。ユニークな外見に見合った冷却性能をどこまで示せるのか、Radeon HD 4890を搭載する「R4890 Cyclone OC」でチェックしてみた。
新しいGPUが発表された直後に登場するグラフィックスカードは、そのほとんどがリファレンスデザインに沿ったモデルだ。ユーザーの人気も(登場時期が)「早い」「安い」「潤沢」なベンダーの製品に集中する傾向にある。それだけに、その後に登場するオリジナルファンやオリジナル基板を採用したモデルでは、ベンダーの開発力が試されることになる。
MSIが開発したオリジナルモデルとして「N260GTX Lightning」を紹介しているが、このグラフィックスカードに搭載されていたクーラーユニットが「Twin Frozr」だ(N260GTX Lightningのレビューは、遊び心を刺激するAir Forceに注目──「N260GTX Lightning」を楽しむを参照のこと)。今回紹介するクーラーユニットの「Cyclone」は、主にMSIのRadeonシリーズを搭載するグラフィックスカードに採用される。
CycloneシリーズでRadeon HD 4890を搭載した「R4890 Cyclone OC」は、強力な冷却性能を生かしたオーバークロック仕様のモデルだ。今ではRadeon HD 5800シリーズにフラッグシップの地位を譲ったものの、Radeon HD 4890搭載モデルは値頃感が出ており、R4890 Cyclone OCも2万円台半ばで販売されている。1世代前とはいえ、かつてのシングルGPU最上位モデルなので、性能は十分だ。そのオーバークロック版が2万円台半ばということで、お買い得度も高い。
強烈なインパクトを与える外見だけにセッティングに注意
Radeon HD 4890のリファレンスカードデザインがフルカバードタイプであるのに対し、Cycloneシリーズでは、ファンが外部から見えるオープンタイプを採用している。中央に10センチファンを配置し、4本の“極太”ヒートパイプが円弧に広がり、そこに大型のヒートシンクを接続する。PCI Expressの拡張カードは、規格で高さが107ミリに制限されている。Cycloneの10センチファンはこの制限いっぱいのサイズだ。加えて、周りにヒートパイプがはみ出るので、PCケースの内部には、ある程度の空間が必要になる。また、スロットを差したグラフィックスカードの本体が少しでも傾いてしまうとスロットにフィンが干渉するので、ブラケットをしっかりネジで固定しておくのが好ましい。
PCI Express補助電源コネクタが6ピン2個という仕様はRadeon HD 4890のリファレンスカードと同じだ。ブラケットに用意されたインタフェースはDVIが1基、アナログRGBが1基、HDMIが1基といった構成で、このうち、2系統が同時に利用できる。ブラケットに設けられた排気用スリットには、MSIのロゴが刻まれている。
基板に実装したコンポーネントでも、N260GTX Lightningと同様の「ミリタリークラス」の部品が採用されている。クーラーユニットを外して確認してみると、Hi-C Cap(高効率ポリマーコンデンサ)が確認できた。このような耐久性の高い部品を採用することで、オーバークロック設定でも長期の使用に耐えられる信頼性を得ることができる。
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