“Fermi”を採用したGF100の機能をデモ画面でチェックする(3/3 ページ)
2010 International CESでGF100のライブデモが初めて公開されたが、そのCESから1週間後に、NVIDIAはその機能と構成を公開した。
GT200比2倍になったPhysXの実力
リアリティという意味では、物理シミュレーションも重要な役割を果たす。NVIDIAが“第3のプロセッサ”という物理演算プロセッサ(PPU)の「PhysX」を開発した米AGEIA Technologiesを買収したのが2008年2月のことで、現在ではGeForceの一部として生き続けている。
GF100ではPhysXのパフォーマンスも向上しており、GT200比で2倍近いメリットを享受できるという。PhysXでは液体の混ざり合うデモなどがよく取り上げられているが、GF100では、「Dark Void」というFPSゲームを使ったデモが紹介された。Dark VoidではPhysX効果をオンにすることで、武器のヒット効果や破片の飛び散り、ジェットパックの噴煙など、さまざまな表現が物理シミュレーションでリアルに描画される。
究極のリアリティという意味で、レイトレーシングも忘れてはいけない。反射光などの複数の光源を計算に組み込むことで、フェイクではないリアルな映像表現が可能になる。計算のスピードアップのためにゲームでは簡略化されることが多いが、GF100の高い計算能力でレイトレーシング映像をかなり高速に算出することができる。
とはいっても、GF100のレイトレーシングは従来型のマイクロレンダリングではなく、GPUラスタライザを利用したハイブリッド型となっている。リアルタイムでゲームに応用できるほどのフレームレートは難しいが、レイトレーシングの計算量を落とすことで描画がスムーズになるため、ある程度のトレードオフが必要になる。それでも、GF100ではキャッシュメモリの構造に改良を加えているため、GT200と比較してレイトレーシングで大きなパフォーマンスメリットを得ることができる。
このほかNVIDIAでは、「Nexus」というコード名の開発ツールの準備を進めている。これはマイクロソフトの統合開発環境(IDE)であるVisual Studioに統合されるもので、1つのIDEで通常のCPUソフトウェアプログラミングだけでなく、GPUプログラミングも行えるようになる。
これまで、GPUプログラミングでは作成したソフトウェアが暴走するたびに本体をリセットする作業が必要だったが、Nexusでは仮想化環境を利用したリモートデバッグ形式によってGPU上でプログラムを実行できるため、メインのCPUは実行状態の影響を受けない。またブレークポイントなどを設定してオブジェクトの描画やエラーをチェックできなど、IDEのメリットを十分に享受できる。
GF100のすべてを試せる「Rocket Sled」デモ
Fermiではアーキテクチャに改良が加えられ、ボトルネックを解消しつつ、高いパフォーマンスの実現に主眼が置かれている。そうやって得られたパフォーマンスを使って高品質な画像表現を実現するわけだ。
その、GF100が持つすべての機能を導入したデモが「Rocket Sled」だ。ロケットエンジンを搭載した“そり”にパイロットを乗せ、荒野に敷かれた線路を疾走するものだが、ロケットエンジンが吹き出す炎や煙は物理シミュレーションで処理され、地形やパイロットの滑らかな表面はテッセレーションが利用されている。
また、そりの各通過地点にはオブジェクトが配置され、そりが通過するとそれらオブジェクトがロケットの噴煙で破壊される動きが物理シミュレーションで表現される。オブジェクトが分解するときのパーティクル(小片)はスライダーで数を設定できるようになっており、例えば「4000」では木片が散った程度だが、これを「100万」に設定することでパーティクルがまるで土の塊のように崩壊する。GF100の高パフォーマンスを象徴するものだ。
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