ベンチマークテストで振り返る2010年のGPU:イマドキのイタモノ(4/4 ページ)
2010年の“イマイタ”レビューに登場したGPUは12モデル。その性能と仕様の進化と傾向をベンチマークテストのグラフで振り返る。
いろいろあったが、3DMark 11が公式デビュー
GPUの性能測定で欠かせないベンチマークテストの1つが、Futuremarkが開発する3DMarkシリーズだ。その最新版となる3DMark 11が12月にようやく公開された。GPUはDirectX 11対応が必須で、OSもWindows Vista以降に限られるなど、ハードウェア要件が一新されたが、無料のBasic EditionがPerformanceモードだけながら繰り返し測定可能となったことで、利用するユーザーの数と有効度はかなり改善された(ベンチマークテストは、ユーザーへの普及度合いと測定された結果の蓄積数も価値のうち)。
3DMark 11では、Graphics Test 1~4とPhysics Test、Combined Testという6種類の個別テストが用意される。Graphics Testでは、海中シーンで構成された「Deep Sea」(Graphics Test 1とGraphics Test 2)、ジャングルの中にある古代遺跡で構成された「High Temple」(Graphics Test 3とGraphics Test 4)が用意され、テッセレーションやライティング、シャドウが用いられる。また、物理演算能力を評価するPhysics Testや、物理演算能力に加えて、GPUコンピューティング性能も測定できる「Combined Test」など、GPUに求められる“役割の変化”に対応したのも3DMark 11の特徴だ。
GeForce GTX 580とRadeon HD 5870で3DMark 11を走らせて見たが、Graphics Testでは、Performanceモードで早くも30fpsを切り、Extremeモードでは、10fpsを下回って描画が「カクカク」としてしまうなどの“重さ”が確認された。
Performance | GeForce GTX 580 | Radeon HD 5870 |
---|---|---|
3DMarks | P5983 | P4297 |
Graphics | 5705.5 | 3931.5 |
Physics | 8235 | 9076.5 |
Combined | 5730.5 | 3937.5 |
Graphics Test 1 | 24.955 | 21.86 |
Graphics Test 2 | 26.275 | 20.73 |
Graphics Test 3 | 36.59 | 24.57 |
Graphics Test 4 | 17.925 | 10.075 |
Physics | 26.145 | 28.815 |
Combined | 26.655 | 18.315 |
Extreme | GeForce GTX 580 | Radeon HD 5870 |
---|---|---|
3DMarks | X1958.5 | X1557.5 |
Graphics | 1771 | 1397 |
Physics | 8215 | 9075.5 |
Combined | 2147 | 1719 |
Graphics Test 1 | 8.955 | 7.915 |
Graphics Test 2 | 9.19 | 8.01 |
Graphics Test 3 | 8.77 | 7.03 |
Graphics Test 4 | 5.41 | 3.77 |
Physics | 26.08 | 28.81 |
Combined | 9.985 | 7.995 |
2011年になると同時に新世代モデルが“大量に”登場するといわれているCPUと違い、GPUでは、“新世代”となるモデルは2010年のうちに一通り登場した。残るのはデュアルGPU構成の最上位モデルや、下位クラスへの派生モデルの展開になる。それとあわせて、グラフィックスカードで、オーバークロックモデルやベンダーオリジナルのクーラーユニットを搭載したモデルがどれだけ登場するのかに、まずは注目することになるだろう。
関連キーワード
GeForce | Radeon | Radeon HD 5000シリーズ | GPU | Radeon HD 6000シリーズ | ベンチマーク | Fermi | DirectX 11 | GPUコンピューティング | NVIDIA | AMD | CUDA | グラフィックスカード | SLI | ストリームコンピューティング | 物理演算 | PCパーツ | 自作
関連記事
1万円台で買える「Radeon HD 5670」でDirectX 11時代の性能をチェックする
AMDから開発コード名“Redwood”こと「Radeon HD 5670」が発表された。「100ドル」ラインアップをカバーする“みんなの5000番台”が発揮する性能に迫る。「なんだって7割」──Radeon HD 5570の微妙な立ち位置を考える
1週間前に登場した“5450”に続いて“5570”が発表された。上に“5670”がいるというギチギチの1万円以下級ラインアップで、このGPUに求められる役割とは?GeForce GTX 480で時代が変わるか!
新世代アーキテクチャ“Fermi”を採用したGeForceが登場。ベールに隠されてきた“GF100”の実力をDirectX 11対応ゲームベンチマークテストで明らかにする。みんなの“Fermi”がやってきた──2万円台の「GeForce GTX 460」は“9800 GT”の再来か?
新世代GPUアーキテクチャ“Fermi”を採用した2010年のGeForce。これまでハイエンドに限定だったが、ようやく「みんなが買える」モデルが登場した。その性能は?ついに“Fermi”も1万円台!──MSI「N450GTS CYCLONE 1GD5/OC」でGeForce GTS 450の費用対効果を知る
NVIDIAのFermi世代のGPUがようやく1万円台で手に入る。ユーザー数が最も多いというこの価格帯でFermiを使うメリットはなにか?「Radeon HD 6870」「Radeon HD 6850」でGeForce GTX 460を迎撃せよ!
Radeon HD 6800シリーズが発表された。新世代のハイエンドGPUを思わせるナンバーだが、その位置付けは異なる。性能と価格のバランスはどう変わったのか?ASUSのGeForce GTX 580搭載OC版「ENGTX580/2DI/1536MD5」の実力とSLI性能を試す
リファレンス準拠がほとんどだったGeForce GTX 580搭載モデルで、数少ないオーバークロック版「ENGTX580/2DI/1536MD5」。SLI構成も含めてその性能を検証した。4万円で“480”の夢を見る──君は「GeForce GTX 570」で“ホクホク”できるか!
GeForce GTX 580の発表から約1カ月、GeForce GTX 500シリーズの第2弾として“570”が登場した。お手ごろ価格のGF110コアはどんな力を持っているのか。新しくなったアーキテクチャの実力は?──「Radeon HD 6970」「Radeon HD 6950」“緊急通関”レビュー
「出るの!出ないの!」と待たされた“Cayman”が登場。Radeon HD 6970以外に、なんとか間に合った「2枚のRadeon HD 6950」で“Antilles”の性能も占う!- 「3DMark 11」で最新GPUの“カクり具合”を確かめる
いつもなら、PCパーツを扱うこのレビュー。今回はイタモノではないけれどイタモノに関係深い「3DMark 11」が主役。最新GPUでどんなスコアをたたき出せる?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.