NMPが先か、NASが先か――「NMP-1000P」のNAS性能を試す:“最強QNAP”番外編(2)(2/2 ページ)
前回はBD ISO再生に対応した「NMP-1000P」のメディアプレーヤーとしての性能を検証したが、今回はNASとして「NMP-1000P」の実力を見ていこう。
NMP-1000Pでデータ保全を考える
NMP-1000PをNASとして見た場合、最大の問題になるのがRAIDを組めない点、そしてバックアップの仕組みがない点だ。そこで、PC側のバックアップ先としてNMP-1000Pを利用することを考える。最悪、NMP-1000Pのディスクがクラッシュしても、元のデータがPC側に残っていればよしとする運用だ。
PCからのバックアップにはQNAPが配布している「NetBak Replicator」を使用するのが簡単だ。NetBak Replicatorには大きく分けて2つのバックアップ機能がある。1つは定期的にバックアップタスクを実行するスケジュールバックアップ、もう1つは指定フォルダ以下を監視し、変化が加えられたら特定のディレクトリ以下を定期的にコピーする監視バックアップだ。
NetBak Replicatorの設定はやや混乱しやすいところがあるので説明しておこう。NetBak Replicator起動時に表示されるバックアップタブの設定はメインタスクとも言えるもので、画面中央がバックアップ元、画面上部のNAS/共有フォルダがバックアップ先になる。バックアップ先は虫眼鏡アイコンをクリックして選択する。
この状態で開始ボタンをクリックすれば、ただちにバックアップが開始され、スケジュールをクリックすればスケジュール設定画面が開く。また、監視ボタンをクリックすれば開始ボタンと同様に即座にバックアップが開始されるが、その後も監視を続け、ファイルやフォルダが更新されると自動的にミラーリングが行われる。
スケジュール設定画面には「スケジュール・バックアップの詳細」ボタンがあり、これをクリックするとメイン画面とは別にバックアップ元、バックアップ先、実行日時を指定できる。なぜかここではバックアップ先に制限がなく、ローカルドライブに対してのバックアップも可能だ。その代わりに監視バックアップはできない。また、こちらでは「バックアップ先フォルダまでのパスの識別子を保存しない」というオプションが利用できる。このオプションにチェックを入れない場合は「<ローカルドライブ名>\<パス>」、メインタスクでは「<ユーザー名>\<コンピュータ名>\<ローカルドライブ名>\<パス>」と非常に長いパスがつけられる。
「OpenNMP+」で機能を拡張してみる
NMP-1000PはTurboNASと比較するとメディアプレーヤー以外の機能は限定的であるものの、ダウンロードステーションやWebファイルマネージャなどの機能は健在だ。もっとも、NMP-1000Pを“いじり倒したい”人にとっては各種アプリのインストールを容易にしてくれるパッケージマネージャが用意されているかどうかが気になるところだろう。
TurboNASシリーズであればQPKGやIPKGといったパッケージマネージャが用意されており、自由に機能を拡張できる。一方、NMP-1000Pでは、OpenNMP+というパッケージにアプリストアASAPのインタフェースが含まれており、QPKGよりも簡単にインストールできるようになっている。ただし、OpenNMP+自体がまだ実験的なものなので利用は自己責任だ。なお、OpenNMP+のインストール先はUSBメモリ限定となっているのでNMP-1000P用に1本専用のものを用意しよう。
前回述べたとおり、NMP-1000Pはネットワーク経由でもBD ISOイメージを再生できるパワフルなネットワークメディアプレーヤーだ。そのパワーを生かしてNAS機能のパフォーマンスもNMP-1000から大幅に向上しており、TurboNASと比較すると機能制限が見られるものの、ミニマムスタートとしては十分なNAS機能を利用できる。TurboNASを導入するほどではないけどメディアプレーヤーを買うついでにNASもほしいという人や、家庭内NASに興味がある人の入門機としても、NMP-1000Pは非常に魅力的な製品だ。
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