ドイツで使うvodafoneの“真っ赤なSIMカード”:海外プリペイドSIM導入マニュアル番外編(2/2 ページ)
海外で仕事!といえば、たとえ到着した空港で荷物をロストしたとしても(実話)、SIMカードの確保は急務であるっ! ホテルのLAN? だからそれは甘いってば。
開通手続きとオプション選択を自分でやってみた
スターターパックには、SIMカードのほか、CallYaで利用できる料金プランとオプションの説明書が用意されている。通話、データ通信を含めた従量制、定額制のサービスは、SIMカードの開通手続きを行ったあとに、契約内容を設定できる「CallYa KontoServer」に電話(「22 9 22」とダイヤル)をかけて、自動音声で案内されるメニューにしたがって選択することになる。
SIMカードの開通手続き方法は、契約書類(A4で2枚)の2枚目冒頭に書いてあるほか、スタッフも口頭で説明してくれる。契約書類はドイツ語で書いてあるので、スタッフが話してくれる英語の説明が頼りだが、手続きは簡単なので怖れることはない。SIMカードをセットした端末で「*100*15桁の登録番号#」とダイヤルして電話をかけると、開通手続きが自動で処理される。開通処理ができた時点で、15ユーロのプリペイドフィーが有効になる(SMSでお知らせがくる)。
この状態で「CallYa Open End」を契約していることになっていて、データ通信も1分0.09ユーロ(9セント)の時間従量制で利用できる。データ通信を定額で利用したい場合は、「CallYa-Tarif Dazubuchen」(CallYa-Flatrates)オプションで、「CallYa MobileInternet Flat」を選ぶ。このオプションでは、利用期間によって、1日0.99ユーロの「TagesFlat」、1週間4.95ユーロの「WochenFlat」、1カ月14.95ユーロの「MonatesFlat」が用意されている。どれも、プリペイドフィーの15ユーロで利用可能だが、Call Ya OpenEndでは通話もできるので、1週間以内の滞在であれば、WochenFlatを選んでおくといいだろう。
オプション選択の手続きは、電話番号「22 9 22」にダイヤルすると流れる自動音声案内に従って選択肢の番号を入力しながら行う。アナウンス言語もドイツ語と英語を選択できるので、ドイツ語ができなくても大丈夫だ。ただ、“CallYa”が“コリア”に聞こえて、「え、なに、この選択肢は韓国語なの?」としばらく混乱したので注意しておきたい(これは個人的聞き取り能力の問題かもしれないが)。
ここの手続きまでは、SIMカードをセットしたスマートフォンが必要になるが、この後の設定は「電話をかける」作業はないので、モバイル無線LANルーターにSIMカードをセットしても行える。必要なのはアクセスポイント(APN)の設定だけで、APNのアドレスを入力すれば、ユーザー名とパスワードは不要だ。
データ転送速度でけっこう悩む
vodafoneのデータ通信専用プリペイドSIMカード定額プラン(SIMカード購入で19.90ユーロ、7日間1Gバイトまでで12.95ユーロ、30日1Gバイトまでで39.95ユーロ)では7.2Mbpsが利用できるが、CallYa OpenEndのオプションとして利用するデータ通信の転送レートについては、Webページに説明がない。「私は、このプランでHigh Speedのデータ通信を使えますか」との質問にvodafoneのスタッフは、「はい、使えます」と答えてくれたが、実際に使ってみると、日本で使っている日本通信のb-mobile SIM U300とそれほど変わらない感触だった(「なぜ、ここで数値を示さない」と思うかもしれないが、これは、ノートPCにvodafoneを差したモバイル無線LANルーターを接続した状態で、何度試みても転送速度測定が完走しなかったためだ)。
定額で利用できるデータ通信における転送速度の問題は、T-MobileとO2でも同様で、先ほど紹介したように、T-Mobileが用意している24時間0.99ユーロのデータ通信オプションも転送速度は384Kbpsと遅い。データ通信専用のプランでは、T-Mobile、Vodafone、そしてO2も7.2Mbpsが利用できるが、こちらは、容量制限があって、これを超えると転送レートが一気に落ちる(O2では64Kbps)ので、頭を悩ませるところだ。
ただ、2010年にドイツで利用したO2のデータ通信サービスと比べて、vodafoneの利用可能エリアは格段に広く、ICEの移動中でも接続は切れることなく、展示ホールをだいぶ入った中央付近のブースでも撮影画像とともにTwitterで発信できた。
無線LANと同じ作業環境を実現できたか、という問いには「それは、なかなか難しい」と答えざるを得ないが、それでも、宿の無線LANがまったく使えないときや、プレスセンターの有線ネットワークが混雑して機能しなかったとき、そして、プレスセンターから遠く離れた会場の片隅や片道1時間半のICE通勤で利用するのに十分なネットワーク環境をvodafoneの真っ赤なプリペイドSIMカードは提供してくれた。本当にありがとう。
関連キーワード
SIMカード | プリペイドSIM | データ通信 | 海外プリペイドSIM導入マニュアル | 無線LANルータ | モバイルルータ | モバイルインターネット | SIMロックフリー | Vodafone
関連記事
次世代PCデータ通信特集
モバイルWiMAXや3G/HSPAの旬なPCデータ通信から、次世代通信まで「PCでデータ通信を利用するユーザー」のための情報を随時更新!海外プリペイドSIM+無線LANルーター導入マニュアル──「アメリカ」編
アメリカは複数の通信方式が採用され、ヨーロッパやアジアとは携帯電話の販売方式が若干異なる。ただ、プリペイド端末を手軽に購入できるので、海外渡航者も難なく海外データ通信環境を整えられる。海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「イギリス」編
イギリスはヨーロッパの中でも海外からの渡航者向けのプリペイドサービスが充実している。今回はロンドンで現地のプリペイドSIMカードやHSPAモデムを購入し、データ通信環境を整える方法を紹介する。シンガポールで“お勧めじゃない”SIMを買っちゃった
もし、シンガポールにSIMロックフリーのスマートフォンを持って行くなら、定番のプリペイドSIMカードがあるんだ。あっ! それは、違うSIMカードだああ!ラスベガスでT-MobileのプリペイドSIMカードを探せ!
仕事で海外に行ったら、まず確保しなければならないのがネットワーク。なに? ホテルの回線があるでしょうと。甘い!めちゃくちゃ甘いなー、チミは。海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「タイ・バンコク」編
日本と同じように、海外でも安心して「データ定額」で利用したい──。実は、それほど手間なく、海外でも手軽に「格安な」定額モバイルインターネット環境を入手できる。今回は3Gサービスが始まったばかりのタイ・バンコクでプリペイドSIMを活用してみた。海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「香港」編
日本と同じように、海外でも安心して「データ定額」で利用したい──。ちょっとしたコツで、海外でも手軽に「格安な」定額モバイルインターネット環境を入手できる。今回は休暇や出張で“香港へ行く人向け”の活用方法を紹介する。海外プリペイドSIM+無線LANルータ導入マニュアル──「台湾」編
日本と同じように、海外でも安心して「データ定額」で利用したい──。ちょっとしたコツで、海外でも手軽に「格安な」定額モバイルインターネット環境を入手できる。今回は台湾・台北でプリペイドSIMカードを活用する方法を紹介する。ドイツのプリペイドSIMカードを身ぶり手ぶりで買ってみた
「現地からTwitterリポート挑戦します」と宣言しちゃったPC USER取材班。自分でしめた首を何とかするため、ハノーバーの携帯電話事業者ショップに突撃した。VAIO type Pとドイツを旅する
「まともに着いたためしがない」と同業者に評判のPC USER海外取材班。CeBIT取材では出国前から災難に遭遇。その危機を救ったのは「VAIO type P」だった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.