“Intel Inside”なスマートフォン「Lenovo K800」を買っちゃった使っちゃった:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/2 ページ)
2012 International CESでIntelが公開した“Medfield”世代Atomを搭載したスマートフォンが中国で入手できる。性能は? バッテリー駆動時間は? どうなのっ!
“Medfield”スマートフォンの性能とバッテリー駆動時間は?
スマートフォンにおいて、初めてのAtom搭載モデルだけに、その処理速度は気になるところだ。ベンチマークテスト「Quadrant Standard Edition」で、Lenovo K800を測定し、5回測定した結果の平均を出したところ、Total値で3706(3304~3926)となった。PC USERで掲載している「最新スマートフォン徹底比較」で行ったベンチマークテストの結果と比較すると、3706という成績は、1位の「GALAXY S II WiMAX ISW11SC」、2位の「GALAXY S II LTE SC-03D」に続く。
Quadrant Standard Editionのシステム情報によれば、Lenovo K800のグラフィックスコアは、PowerVR SGX 540(に相当するIntel GMAシリーズ)を採用する。また、CPU「Atom Z2460」をチェックすると、動作クロックは、600MHz~1.6GHzとなる。これは、Atom Z2460で導入する「Intel Burst Performance Technology」によって、負荷に合わせて動的に動作クロックを変更できることを示している。メモリは内蔵メモリが2Gバイト、SDカード(扱いの外部メモリ)が10Gバイト、RAMが800Mバイトという構成だ。
容量1900ミリアンペアアワーのバッテリーを搭載して、公称のバッテリー駆動時間は、連続待受時間で200~329時間、連続通話時間で約240~390分という。実際に、フル充電の状態から電源オンにしたまま待ち受け状態で4日間ほどバッテリーは持った。また、同じくフル充電の状態からYouTubeの長時間動画を再生して、バッテリーの残量をアプリ「Battery Mix」を使って確認しつつ、何時間で残量が尽きるかチェックしたところ、1時間で残り78パーセント、2時間で50パーセント、3時間で23パーセント、4時間で3パーセントになり、4時間10分でバッテリー残量が0になった。
なお、動画の連続再生中に、ボディの表面温度を測ったところ、背面にあるLenovoロゴの上が持てないほどではないがかなり熱くなり、温度を測ったら42度まで上がっていた。
中国の事情を反映したアプリ環境
OSはAndroid 2.37をベースとした「楽OS」(LenovoMagic 3.0)を導入する。Androidの設定画面では、言語を中国語か英語からしか選択できず、日本語環境にするのは面倒だ。プリインストールのアプリには、GmailやGoogle Mapsどころか、Google Playもない。
中国政府の“脱Google”的スタンスからか、各種アプリのインストールは、プリインストールしている「楽商店」で行う。この場合、Googleのアカウントを問われることなく利用できる。ここからインストールできるアプリには、チャット「QQ」、ミニブログ「新浪微博」、レストランなどの口コミサービス「大衆点評」、旅行予約「去※儿旅遊」(※は口へんに那)、オンラインショップ「京東商城」、ニュース「網易新聞」、Webブラウザ「QQ閲覧器」、動画クライアント「奇藝」、電子書籍「雲中書城」、フォトレタッチ「百度魔図」、天気「中国天気通」、GPSナビゲーション「高徳導航」、オフィスソフト「金軟Office」など、中国では定番のアプリがそろっている。
楽OSのメニューやインストールできるアプリのほとんどは、Lenovo K800で滑らかに動き、その挙動に不満はない。唯一「媒体中心」(メディアセンター)なる「Lenovo 3D Engine」を採用した動画、画像、音楽を再生できるアプリにおいて、動画の再生で“カクカク”となることがあった。
中国のユーザーはLenovo K800をどう評価しているか
Lenovo K800の性能評価をして、その性能は既存のスマートフォンと比べて突出してはいないもののトップクラスにあるといえる。ただ、導入している“LenovoカスタマイズのOS”がAndroidの2.37相当をベースとしているため、Android 4.0の製品がすでに広く使われ、一部では4.1へのバージョンアップも始まっている2012年の夏では旧式と思わせるかもしれない。
また、これは中国の特殊事情もあるが、自己責任によるユーザーのOSアップデートがごく普通に行われる中国において、Lenovoによるカスタマイズと、今まで使われていないプラットフォーム、そして、独自機能を多数備えるLenovo K800は、ユーザーのカスタマイズによるOSの非公式アップデートが難しく、それを理由に中国のパワーユーザーがLenovo K800を敬遠する傾向がある。彼らは、“声が大きい”だけに、中国ユーザーに与える影響は無視できないものがあり、それがLenovo K800の評価にも少なからず影響しているのは、想像に難くない。(記事掲載当初、Lenovo K800のディスプレイパネル強度に問題がある記述がありましたが、これは、以前出荷されていた楽Phoneの過去モデルに関する事例でした。おわびして訂正いたします)
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