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「Haswellが動いた!」──“次世代”Ultrabookも集結したIDF基調講演IDF 2012(2/2 ページ)

「Intel Developer Forum 2012」がスタートした。Windows 8発売直前、そして、2013年の「Haswell」投入に向けて、彼らが発信するメッセージとは?

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HaswellとIvy Bridgeを比較するデモを公開

 パルムッター氏は、基調講演でWindows 8について繰り返し言及している。これは、次世代のUltrabookを利用するユーザーが増えるきっかけとしてIntelが期待していることを示唆している。それと同様に、基調講演でクローズアップしているのがAtomだ。フォームファクタごとにCoreプロセッサー・ファミリーとのすみ分けを明確にしている。Intelが想定するAtomの競合はARMであり、そのうえで、Coreプロセッサー・ファミリーを補完してあらゆる分野をインテルアーキテクチャでカバーするのがIntelの狙いだ。

これまで、ローエンドのCoreプロセッサー・ファミリーとAtomのすみ分けで苦労したIntelだが、現在は利用目的に合わせて使い分けを明確にしており、Atom事業も戦略的に強化していると説明する。2012年8月のIFA 2012では、Atom(Clover Trail)を採用するタブレットPCが多数展示しており、Windowsプラットフォームでは、ARM搭載のWindows RT対応モデルに比べてAtom搭載のWindows 8対応モデルが明らかに優勢だった

 Ultrabookでは、2013年にも第4世代Coreプロセッサー・ファミリーにあたる「Haswell」(ハスウェル)が登場する予定だ。20分の1といわれるアイドル時における消費電力の低さと、「SoC(System on Chip)への対応がHaswellで重要なポイントとなる。前者は「非アクティブ時でも、バックグラウンドでメールの送受信やSNS関連データのアップデートを行い、常に最新情報を入手しておく」というスマートフォンなら当たり前の機能をPCでも可能にする技術だ。

 後者のSoC化は、消費電力低減や低コスト化において重要な要素で、これまで2チップソリューション、または、3チップソリューションの名称で「CPUとチップセット」のコンビネーションを重視していたIntelが、主力製品でもシングルチップソリューションを採用することになる。パルムッター氏は「今後もSoC化は進んでいく」と述べており、Haswell以降の世代でも、引き続きSoCを提供することになりそうだ。

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アイドル時に消費電力を最大でこれまでの20分の1に落とせるHaswellは、ARMのようなAlways Connectedな動作が可能になる(写真=左)。IDF 2012では、Haswellに関して2つのデモでHaswellとIvy Bridgeの比較をした。パフォーマンステストではGPUに負荷をかけた場合の動作を比べており、高いパフォーマンスを維持してスムーズな動作を可能だ(写真=中央)。消費電力の比較では、Ivy Bridgeと同じ負荷設定とフレームレートで動作した場合、Haswellは半分の消費電力で済むことを示した(写真=右)

 IDF2012では、Haswellの動作デモを初めて公開した。主に統合した新しいグラフィックスコアのパフォーマンスと、低い消費電力を訴求するデモで、会場ではIvy Bridge世代のCPUを搭載するシステムと比較している。3Dグラフィックのデモでは、Haswellでは問題なく処理できても、同じ表示オプションを設定したIvy Bridgeではフレーム落ちが多発するなど、パフォーマンスの違いが明らかに確認できた。一方で、同じ設定オプションで両者の動作を比較した場合、Haswellの消費電力はIvy Bridgeの2分の1で済んでいる。このような、Haswellにおける余裕のあるTDPを利用して、PCの薄型化も実現する見込みで、基調講演では、Haswellを搭載したIntelのコンセプトモデルを公開して、その薄さを訴求した。

負荷を高く設定し、Ivy BridgeとHaswellで動作を比較。Ivy Bridgeでは描画に引っかかりがあるが、Haswellではスムーズだ
同じ負荷条件とフレームレートを設定し、Ivy BridgeとHaswellで消費電力を比べると、Haswellの消費電力はIvy Bridgeの2分の1になった

 新世代のUltrabookでは、IFA 2012でも登場したソニーのVAIO Tap 20など、通常の液晶一体型PCとしてもテーブルタイプのPCとしても利用できるモデルが、今後多数登場する可能性があるという予想を示した。ナチュラルUIへの取り組みも強化しており、開発者向けに「Perceptual Computing SDK Beta」の提供を始めている。この取り組みは、ユーザーインタフェースの進化を促して、今後数年におけるUltrabookの利用方法にも影響を及ぼすだろう。

Haswell世代のUltrabookのコンセプトモデルでは、とにかく薄さを強調する(写真=左)液晶一体型PCでは、ソニーのVAIO Tap 20などのように、普通の作業用デスクトップPCとして使ったり、ときにはディスプレイをテーブルのようにして複数のユーザーで画面を共有したりと、新しい利用場面を提案する(写真=中央)。開発者向けに、Natural Intuitive Computing実装に必要な「Perceptual Computing SDK Beta」の提供を開始して、ナチュラルUIの研究を促進する(写真=右)
基調講演で行ったHaswellのデモで使っていたテスト用システムボードでは(写真=左)、HaswellのSoC実装エリアは、ファンを含めて非常にコンパクトだ(写真=右)
こちらはHaswellを搭載したUltrabookのコンセプトモデル(写真=左)。LenovoのYOGAのような変形機構を持つ(写真=右)
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