レビュー

第1回 これは「タブレット時代のビジネス用途でも使える、“コンバーチブル”なマシン」「dynabook R822」ロードテスト(2/2 ページ)

「データ入力のための業務マシン」として家でも外でも活用するにはどんな性能を望むか。“コンバーチブル”がハヤリだが、中でもdynabook R822を選んだのはなぜか。R822の業務マシンとしてのポテンシャルをズバッとチェックする。

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「Ultrabookなコンバーチブルタブレット」であるということ

ディスプレイは1366×768ドット表示/12.5型ワイドの静電タッチパネル付きIPS液晶を採用する。

 改めてdynabook R822の仕様をモバイル視点でチェックしよう。

 まずはその外観。本体サイズは326.5(幅)×213(奥行き)×19.9(厚さ)ミリ。厚さが全面で19.9ミリと適度にフラットなのは、もちろん手に持ってタッチ操作するタブレットとして利用することも考慮したためと思われる。一般的なノートPCのように最薄部と最厚部のサイズが大きく異なるデザインではないので、机に置くと、ピタッと完全なフラットになる。また、本機はIntelが提唱する薄型軽量志向のUltrabookカテゴリに属するが、通常ノートPCスタイルのモデルと比べ、コンバーチブルスタイルのモデルは変形機構を搭載するハンデとしてそれより少し厚くてもUltrabookと呼べることになっている。R822は確かにUltrabookの他機種比では少し厚めだが、変形のための複雑なヒンジを備えつつも20ミリを切っており、一般的なビジネスバッグへの収納性もまずまずだ

 液晶パネルは12.5型ワイドだ。あまり見なれないサイズだが、フットプリントは13.3型クラスの他モデルと同等である。これはタブレット機器全般に言えることだが、画面の端までタッチ操作する際、あるいはベゼル部から中央に向かってスライド操作するシーンのため、ディスプレイ面は端までフラットであり、かつある程度広めのベゼル幅を要する。13.3型だとそれより幅広くなってしまうことを考えると、本機のサイズ感はちょうどよいと思う。

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 とはいえ、タブレットとして考えると12.5型ワイドクラスのボディはなかなか大型だ。Android/iOSタブレットは10型クラス、あるいはより小さな7型クラスが主流。Windowsタブレットも、「Surface RT」やAtomを搭載するモデルは10型クラスまでに収めていることからも、タブレット専用として使うには少し無理があるサイズ感だ。

横キーピッチ19ミリの標準的なサイズのキーボードを搭載する。キーボード下の剛性もしっかり確保されており、強めにタイプしてもたわみ、ゆがみなどの不快さは感じない。ここはキーボード入力環境を重視する人にとって、特に重要だ

 では、このように大きなタブレットにメリットはあるか。──使い方により多分にあると思う。

 例えば、対面する2人が画面をのぞき込んで打ち合わせするシーンでは、7型はもちろん、10型クラスでも少し小さい。夫婦や家族ならまだしも、業務関係のみのおじさん同士でおでこを付きあわせてのぞき込むというのは微妙だ。もちろん仲間内に限定されるプライベート用途であれば10型クラスがしっくりくるかもしれないが、ビジネス用なら若干大きな方が確実にしっくりくるし、恥ずかしさを感じるのも不毛なので、まあそうしておこうよ、というところである。なによりコンバーチブルスタイルはノートPCスタイルでも同様に使うので、標準的なキーボードスペースを確保したいとなると、10型クラスでは小さいことになる。

 重量は約1.49キロ。日本においてノートPCを携帯できる1つの基準値となる1.5キロをギリギリ下回っている。10型クラスのAndroidタブレットと比べると2倍以上も重いが、ノートPCとして考えれば十分持ち運べる範囲だ。とくにUltrabookの登場以降、薄さ・軽さに対してバッテリー動作時間が相対的に伸びたことも幸いし、ACアダプタを持ち歩く必要もなくなったことから、バッグの総重量も低減できる。ひと昔前なら、高性能を求めるとバッテリー動作時間が短く、ACアダプタも必要、モバイルモデルだと求めるパフォーマンスが得られないジレンマがあったが、第3世代Core プロセッサーファミリーの登場以降、その点で悩む必要がかなり薄らいでいる。

 R822は、店頭モデル(R822/T8H)がCore i5-3337U(1.8GHz/最大2.7GHz)を採用し、東芝ダイレクトWebオリジナルモデルはより上位のCore i7-3537U(2.0GHz/最大3.1GHz)搭載モデルを用意する。Core i5およびCore i7は2コアで4スレッドの同時処理が可能で、Core i5-3337Uは最大2.7GHzまで、Core i7-3537Uは最大3.1GHzまでクロック周波数を高めるIntel Turbo Boost technologyが利用でき、パフォーマンス、そして省電力性ともに十分な性能を持っているといえる。

 メインメモリは、2012年秋冬モデルの4Gバイトから、2013年春モデルでは「標準8Gバイト」に強化された。dynabook R822も他のUltrabookと同様に、薄型ボディ実現などのためSO-DIMMによるメモリ交換に対応しないので、購入時点のまま自身ではカスタマイズできない。4GバイトでもWindows 8の動作にほぼ問題はないが、クリエイティブ業務や大量のデータを処理するマシンとして導入し、今後数年使うなら、やはり1利用者としてイマドキは8Gバイトはほしい。この点で、店頭モデルもWebオリジナルモデルも標準8Gバイトとしたのはとても好感が持てる。

 インタフェースは、USB 3.0×2、HDMI×1、ヘッドセット/ヘッドフォン端子×1といった標準的な端子と、電源ボタン、ボリュームボタン、オリエンテーションロックボタン(画面ローテーションのオン/オフ制御用)、そしてディスプレイ面にWindowsボタンがあるといった具合で実装する。タブレットスタイル時に利用するために搭載されているのが、ボリュームボタン、オリエンテーションロックボタン、Windowsボタンだ。

本体前面(写真=左) 後面(写真=右)
本体左側面(写真=左) 右側面(写真=右)

 こちら、一般的なノートPCではボリュームボタンなどもうまれにしか見ないものだ。ボリュームボタンは、ソフトウェア(Windows上)で制御できるとか、ファンクションキーで操作すればいいとか、あるいはスッキリしたデザインを実現するためとか、いくつかの理由で搭載しなくなってきていたが、タブレットスタイルという新しいデザインの登場によって復活するというのが面白い。実際、あるとないではあったほうが便利だ。

 ビジネス用途においてちょっと気になるのは、IEEE802.11b/g/nの無線LANこそあるが、有線LANポートがないところ。ガッツリビジネスシーン向けのUltrabook「dynabook R632」には搭載するが、R822はUSB接続タイプの有線LANアダプタなどを使わないと有線LANは利用できないので気を付けてほしい。

 USB-LANアダプタは、製品がギガビットLAN対応でもその性能を発揮するのにUSB 2.0ではボトルネックになる。最近ではUSB 3.0接続対応のモデルが登場しているので、そちらを選べば、社内ネットワークや家庭内ネットワークにつなぐ際に十分な速度が得られるだろう。どちらにせよこれまでのノートPCより、このボディサイズの実現のため搭載インタフェースの種類や数に若干の制約がある点は工夫する必要がありそうだ。


 今回はざっと、ビジネス視点から見たタブレットと、dynabook R822の概要を紹介してきた。次回からは実際にノートPC形状、タブレット形状ともに使いながら、業務マシンとしての実力をより探っていく。

(続く)

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