メカニズムは? サポートは? ホントにThinkPadなの?──「ThinkPad Helix」の気になるところを聞いてきた(後編):「ThinkPad Helix」開発チームインタビュー(3/3 ページ)
新世代のThinkPadと銘打つ「ThinkPad Helix」だが、現ThinkPadユーザーとしていくつか気になる疑問もある。後編はそんな細かい疑問をいくつか確認する。
面積の大きな5ボタンクリックパッドで、トラックポイント未経験者でも戸惑うことなく使える
ITmedia 発表・発売後、ユーザーからはどんなフィードバックが寄せられましたか。
伊藤氏 すでにたくさんのポジティブなフィードバックをいただいています。例えば教育分野、タブレットで授業を行う米国などでは、学術記号の記入などで手書き入力できるタブレットの優位性が評価されています。米国ではとくに学校関係で使いたいとする意見が多いようですね。
ITmedia 海外の学校ではタブレットを取り入れた授業も盛んと聞いていますが、教育分野からのニーズとなると、タブレットだけでは難しいから──ということなのでしょうか。
伊藤氏 そうかもしれません。リポート作成などクリエイティブな作業にはキーボードが必要です。一方で、生物化学や数学など、キーボードでは表示しにくい記号類を用いる場合、それを速く記述するには手書き+タブレットが適しているということでしょう。
ITmedia 最後に、従来からのThinkPadユーザー、そしてThinkPad Helixで初めてThinkPadに触れようと考える人に向けてコメントをいただけますか。
伊藤氏 ThinkPadユーザーには……私を含めてですが「トラックポイントから離れられない」人は多いと思います。キーボードの心地よい打鍵感を第一条件にするこだわりユーザーも多いことでしょう。そうした「ThinkPadらしさ」はThinkPad Helixでもしっかり踏襲しています。
新しいThinkPadユーザーには、デザインと機能性を注目してほしいです。薄型傾向のPCが流行してきますが、Helixも同様に薄さを追求し、コンマ1ミリにまでこだわって設計しました。そして5ボタンクリックパッドは面積をかなり大きくとっていますので、これまでのノートPCでタッチパッドを主に使っていた方にも、Windows 8のジェスチャー操作を含めてより快適にお使いいただけると思います。
また、ThinkPad Helixはタブレットにもなりますが、やはりUltrabookです。Ultrabookとしてのパフォーマンスをタブレットスタイルでも使えるということが業務において大きなポイントになります。私もThinkPad Helixのタブレットだけを携帯して電車通勤していますが、メールを読む、Webサイトを見るといった一般的なタブレットとしての使い方だけでなく、社内データベースに接続して必要なファイルを取得し、数値を集計、編集・追記して引き渡すといった普段の業務もサラリこなせるのは、Coreプロセッサー搭載Ultrabookとしてのパフォーマンスがあるからこそです。ちなみにThinkPad Helixは、Core i7、SSD、メモリ、Windows 8 Proを含め、ThinkPad X1 Carbonと同等クラスの仕様にカスタマイズできますし、ディスプレイはそもそも1920×1080ドット表示に対応しています。特に業務PCにパフォーマンスを求める方には最適だと思います。
最新技術を取り入れつつ「ThinkPadらしさ」を継承しなければ、ThinkPadではない
ThinkPad Helixにおいて、これまでThinkPadを使い続けてきた筆者が最初に感じた不安材料。それはバッテリー内蔵型としている点、これまでのThinkPadのように簡単に部品交換ができない点だった。バッテリーやSSDには寿命があり、このほか、これまでのThinkPadでも定期的に交換していたパーツとして冷却ファンがある。コンセプトやスタイル、スペックとは別に、「業務マシンとして運用していく」ための安心感が得られるのもこれまでThinkPadシリーズを選び続けた理由の1つだ。
こうした消耗品に支障が出た際、ThinkPad Helixはレノボ・ジャパンのサポート/引き取り修理対応でカバーでき、製品保証項目を確認すると、ThinkPad Helixはタブレットとキーボード、それぞれ1回のバッテリー交換サービスが受けられることを今回は確認できた。
どこかを追求すればどこかが犠牲になるかもしれない。そうした制約のなかで、Windows 8とタッチ/手書き機能、そして着脱・変形ギミックやConfigured TDPといった最新技術を取り入れ、快適なタイピング感やトラックポイントによる操作性、堅牢性の「ThinkPadらしさ」も継承する──それがThinkPadである。ThinkPad Helixの開発意図からもそんな“ThinkPadらしさ”はしっかりと感じられた。
改めて思う。「ThinkPad Helixも、当然ThinkPadシリーズである。これなら安心だ。任せられる」と。
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