なぜ“9”ではなく“10”なのか?――Windows 10の謎に迫る:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(3/3 ページ)
Windows 9、Windows TH、Windows One……、さまざまな予想がネットで飛び交った次期Windows OSの名称は、意外にも「Windows 10」だった。米Microsoftの発表内容に関するいくつかの疑問を整理し、考察する。
Windows 10のロードマップを予測する
Microsoftは、Windows 10についてロードマップに関する3つの情報も発表している。1つは「コンシューマー向けのより詳しい情報は、2015年前半に発表する」ということ。2つめは「4月に開発者向けのBuildカンファレンスを開催する」こと。最後が「製品版の発売は2015年後半」という3つだ。
現在提供されている「Windows 10 Technical Preview」は、いわゆる「デスクトップSKU」と呼ばれるWindows 10の派生品の1つだとみられているが、実際にはエンタープライズ市場向けの「エンタープライズSKU」であり、導入検証の必要がある企業ユーザーに早めにβ版を提供し、正式発売までテストを重ね、Microsoftに対するフィードバックを行ってほしいという意向がある。
ここから逆算すると、1年程度のテスト期間を想定し、Windows 10のRTM(Release To Manufacturing)到達と企業向けボリュームライセンスの提供開始時期は、2015年8月末~9月くらいを検討していると予想される。その場合、一般ユーザー向けのWindows 10の提供は10月前後となり、過去にWindows 8やWindows 8.1がそうだったように「秋の提供スケジュール」となる。
当初は2015年春頃の発売といううわさだったが、これはエンタープライズ向けのテスト期間を重視した結果だと考えられる。
次は「コンシューマー向けのより詳しい情報提供は2015年前半」という部分で、具体的にいつの時期かが問題になるが、筆者の予想では「3月初旬開催のMobile World Congress(MWC)」辺りが怪しいとにらんでいる。
現在、1月のInternational CESのタイミングでMicrosoftは基調講演等の発表機会を持っておらず、昨今のCESからの一歩引いた姿勢を考えれば、このタイミングで大きな発表をぶつけてくる可能性は低いと考えられる。
「コンシューマー向けのより詳しい情報提供」というのは、いわゆる「モバイルSKU」と呼ばれるデスクトップ要素を排除した、主にタッチ操作を主眼としたWindows 10の派生版の発表であると考えられ、タイミング的にモバイル製品が一堂に会するMWCというのは、発表の場にふさわしいのではないかと思う。
今回提供されているWindows 10のテクニカルプレビュー版は従来のPC向けのバージョンとなっており、Windows RTマシンならびにWindows Phoneデバイスは今後のアップデート提供計画こそあるものの、今回は対象外とされている。
おそらくは、この前後のタイミングで一部デベロッパーに対してこれらデバイスに対してクローズドなWindows 10のβ版提供が開始され、4月のBuildのタイミングで一般ユーザー向けのβ公開……という手順を踏むことになるのかもしれない。
最後の問題は「Buildで何が発表されるか」という点だ。おそらくは「すべての画面サイズにおいてWindows 10の統一された実行環境」という部分を強調しつつ、デバイスごとに異なるユーザーインタフェース環境でどのようにアプリが動作し、Windows Storeが機能するのかの説明が行われると予測している。
Windows 10では、コアの動作部分はすべてのデバイスで共通なものの、デバイスごとに異なるUIを持つ形で登場するとみられる。ただ、今回のデスクトップ画面も含め、デバイスの種類とUIがどのような相関関係になっているのか不明な部分が多く、この辺りが具体的に明らかにされるのがBuildのタイミングではないだろうか。
Buildは開発者向けのカンファレンスであり、主にアプリの動作や操作に関する部分の補足が行われる可能性が高いからだ。またBuildの開催期間か、あるいは少し後のタイミングで、ペンディングとなっている「Surface Mini」のような新デバイスが発表される可能性がある。
いずれにせよ、発売スケジュールを考えれば、初夏の時期にはWindows 10の全エディション構成と価格、アップグレード対象となるOS環境が発表されると予想される。Buildが開催される4月から7月ぐらいの時期は、特にMicrosoftの発表に注視したい。
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