“正方形”ディスプレイという新提案はアリなのか?――「FlexScan EV2730Q」徹底レビュー:4Kよりコッチが欲しいかも(4/4 ページ)
日本のディスプレイ専業メーカーとして、これまで数々の新提案を行い、業界トレンドにも影響を与えてきたEIZO。そんな同社が発売した「FlexScan EV2730Q」は、なんと“正方形”の液晶パネルを採用した超個性派のディスプレイだ。その使い勝手を試してみた。
想像以上に快適な表示が得られる“正方形”の魅力
FlexScan EV2730Qは想像以上に快適な表示を提供してくれた。広大な表示領域はもちろんだが、個人的にはこれだけの情報量を首を大して動かすことなく閲覧できるのがうれしい。表示するデータが縦長でも横長でも、それらが入り乱れたマルチタスク環境でも、同じような使い勝手が得られること、柔軟に対応できる懐の深さに、正方形ディスプレイの高い価値がある。
気になる価格だが、同社直販EIZOダイレクトでの販売価格は12万9600円(税込)だ。EIZOディスプレイだけあって保証期間は5年間(使用時間3万時間以内)と長いが、同社のフルHDディスプレイを2台買ってもまだかなりの差がある。さすがに同社の4K UHD対応31.5型モデル「FlexScan EV3237」(税込19万9800円)ほど高くはないが、かなり高級なディスプレイだ。
そもそもワイド型(16:9)の液晶ディスプレイが安価で売られているのは、液晶テレビと同じ生産設備を利用できたり、液晶パネルを大量生産してコストを下げられるからであり、そこから逸脱するイレギュラーなFlexScan EV2730Qの液晶パネルが高価になるのもやむを得ない。
やはり現状では、正方形画面のメリットが利益に直結するようなビジネス層か、ソフトウェア開発系、気合いの入ったパワーユーザー層、縦位置での撮影が多い写真愛好家あたりが対象となるだろう。もちろん、デュアルディスプレイで画面間のフレームを邪魔に感じているような人にもおすすめだ。予算さえ頑張れば、ほかとは違う上質な環境が手に入る。
こうした先進的なユーザーがFlexScan EV2730Qならではの価値を認め、買い支えることで、EIZOに正方形ディスプレイのバリエーションが増えたり、他社も競合製品を投入したりといった状況が生まれれば、あるいはホビー層が「ちょっとよさそう」と軽い気持ちで買える価格帯になってくるかもしれない。「ユニークな1台」で終わらせるにはあまりに惜しい実用度の高いモデルなので、今後もここからの進化が見たいものだ。
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