「Windows 10」は従来型デスクトップアプリも次世代へ導けるか?:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(4/4 ページ)
次期OSの「Windows 10」は、Webアプリケーションや従来型デスクトップアプリケーションも新しい共通アプリ実行基盤「UWP」に取り込もうとしている。これらは現状のWindowsでも動作するアプリだが、Windows 10世代でどのように変えようというのか?
問題はProject Centennialで変換したUWPアプリの挙動
問題となるのは、Project Centennialで変換後のUWPアプリの挙動だ。もともとデスクトップアプリケーションとしての動作を想定して記述されているため、ローエンドのデバイス、例えばミッドレンジ以下のスマートフォンでどの程度動作するのかを考えなければいけない。
またセキュリティに関わること以外はほぼ何でも可能なデスクトップアプリケーションに対し、UWPアプリではスマートフォンアプリのような動作を受け入れなければいけない。具体的にはマルチタスクの動作に関する制限で、アプリ切り替え時におけるスリープ/レジューム動作をサポートしなければならない。
UWPでは、バックグラウンドにまわったアプリは一定時間後にスリープ状態に入り、(時間の経過や特定のイベント発生などの)トリガーやフォアグラウンドへの復帰まではレジュームしない。もしダウンロードなど継続的な処理が必要な場合や、タイマーアプリで一定時間経過後の復帰が必要な場合には、あらかじめOSに対してその旨を通知しなければいけない。
この辺りの変換時の差異をどこまで吸収できるのかが、Project Centennialのポイントになるだろう。
すべてのアプリ(Classic含む)をUWPにするのがMicrosoft究極の狙い
いずれにせよ、MicrosoftはWindows 10の世代で従来型のデスクトップアプリケーションを含め、すべてのUWPへと移行していきたいのだと筆者は考えている。だが、WindowsがWindowsたる由縁であるデスクトップアプリケーションは同社最大の資産であり、同時にレガシーの最たるものだ。
今回はAndroidとiOSアプリを変換するProject AstoriaとProject Islandwoodが注目を浴びたが、どちらかと言えばProject CentennialこそがWindows 10成功の鍵を握っているのではないかと予想する。Webアプリケーションを取り込むProject Westminsterと合わせ、Windowsストアをいかに充実させるかが、Windows 10デビュー後1~2年の課題だ。
関連キーワード
Windows | Windows 10 | Microsoft | Webアプリケーション | Microsoft Edge | Windows Store | 開発者 | 開発環境 | アプリケーション開発 | モバイルアプリケーション | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
- 「Windows 10」大特集
鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10でAndroidとiOSアプリがそのまま動く!?――「Project Astoria/Islandwood」に迫る
「私たちの夢、それは“Write once, run anywhere”」――まさかMicrosoftからこの言葉を聞ける日が来るとは。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Windows 10」は永遠に未完のOSか?
Microsoftが開発者会議「Build 2015」で発表した内容は、企業とクラウド、アプリ開発に関するものが中心だが、PC USER的に重要と思われるポイントをまとめつつ、見えてきたWindows 10の最新トレンドについて考察しよう。本田雅一のクロスオーバーデジタル:iOS/Androidアプリも巧みに取り込む「Windows 10」でMicrosoft復権なるか?
Microsoftの開発者会議「Build 2015」が始まった。初日の基調講演では、2018年までにWindows 10搭載機が10億台に達するという予測、そしてAndroid/iOSアプリの開発者がWindows 10向けアプリをコード流用で移植できる支援策が強調された。HoloLensの利用場面も幅広く紹介:Build 2015基調講演で示した「Windows 10でなくなるスマートフォンとデスクトップPCの境界」
Build 2015の初日基調講演で行ったデモでは、Windows 10で導入する「ユニバーサルアプリ」の利便性のほか、HoloLensの利用シーンも紹介している。「Spartan」は製品名にならず:Windows 10の新ブラウザは「Microsoft Edge」が正式名称に
「Project Spartan」の開発コード名で呼ばれてきたWindows 10の新ブラウザは、正式名称が「Microsoft Edge」となった。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10の最新情報が明らかになる「Build 2015」は今晩開催!
Microsoftの開発者会議「Build 2015」が米カリフォルニア州サンフランシスコで開催される。基調講演では、Windows 10やOffice 365などの最新情報が明らかになる見込みだ。その注目ポイントをチェックしていこう。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:新しいMacBookで話題の「USB 3.1 Type-C」はWindows PCをどう変えるか?
「USB-C」の採用により、未来を少し先取りした感のある「新しいMacBook」。この新インタフェースで今後のWindows PCやスマートデバイスはどう変わるのだろうか?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10の「ユニバーサルアプリ」でWindowsストアは巻き返すか?
Windows 8/8.1のWindowsストアは競合と比べて盛り上がりに欠けるが、Windows 10世代では「ユニバーサルアプリ」によって巻き返すかもしれない。その最新事情をアプリ開発側の視点も交えつつお届けしよう。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10の標準ブラウザ「Spartan」はどこまで使える?――最新プレビュー版で試す
Windows 10の新しい標準ブラウザとなる「Project Spartan」(開発コード名)が、ついにTechnical Previewに搭載された。現状でどこまで使えるのかチェックしていこう。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:国内販売が迫る「Windows Phone」と「Windows 10」対応で知っておきたいこと
Windows 10のリリースに向けて国内でも期待が高まっているWindows Phone端末。日本再上陸を前に、PC版Windows 10との違い、対応するハードウェア要件、そしてどのようなスマートフォンが出てくるのか、Microsoftが公開した最新情報を整理し、考察していく。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Windows 10」無料アップグレードと最低システム要件の注意点
海賊版でもアップグレード可能? Linuxのインストールが難しくなる? 7型デバイスでもPC版を使える? そんなWindows 10のアップグレードと最低システム要件における注意点をまとめた。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:IEの終わりとSpartanの始まり――Windows 10のブラウザ世代交代が明確に
Windows 10には2つのWebブラウザが用意され、いずれも2つのレンダリングエンジンを搭載するという方針が変更になり、ブラウザとレンダリングエンジンの関係が明確になった。それは20年続いたIEの歴史がついに終わることを意味しているのかもしれない。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10の提供は“7月”に繰り上げか?
今年後半の提供と言われていたWindows 10だが、意外に早くユーザーの手に届きそうだ。ここ1週間で明らかになったWindows 10の最新情報から注目のトピックをまとめた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.