「iPhone 6s」と「iPad Pro」に触れて感じた未来の予兆:本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)
米サンフランシスコで発表されたAppleの新製品。その中でも注目度の高い「iPhone 6s」と「iPad Pro」に触れたファーストインプレッションをお届けする。
iPad Proは「未来のパーソナルコンピューティング」を照らすか?
一方、Apple自身が2015年3月に発表した12型ディスプレイ搭載の新しいMacBookとの競合を感じる読者もいるだろう。実際、iPad ProとMacBookの適応領域に重なる部分は少なくない。
現行のMacBookは、タブレットの手軽さ、バッテリー駆動時間、薄型・軽量といった要素を備えつつ、ノートパソコンという商品形態を守った製品だ。保守的にも見えるが、一方で完成された世界観の上に構築されたもので、従来のユーザーは違和感なく使える。
一方、iPad Proは将来のパーソナルコンピューティングを意識したのかもしれない。可能な限りシンプルな操作性、利用シナリオで目的を達成させるため、マルチタッチとペンタブレット機能を使いこなし、誰もが簡単に扱えるユーザーインタフェースを開拓していく。
タブレットとパソコンの境界線において、AppleはiPadの領域を拡張していくために、新技術と新しいソフトウェア技術を投入していくことを決意した。その結果がiPad Proとも言える。
一方、別の視点で見るとAppleにとって、Microsoftが掌握しているパーソナルコンピュータの事業領域を狙うには、残念ながらMacでは十分ではない。同じジャンルで真正面から勝負しても、パソコン市場はMicrosoftのホームグラウンドだ。
しかし、iPhoneやiPadのアプリエコシステムや(ブランドだけでなく操作性なども含めた)認知度の高さをテコにアプローチできるならば、Windows PCが強い「プロダクティビティ用途を中心としたビジネスユース」にも強く訴求できる。
これまでMacが担ってきた領域のうち、本格的なクリエイティビティは変わらずMac自身がカバーしつつ、比較的シンプルなクリエイティビティはiPad Proに……といったところだろうか。
Appleの思惑通りにiPad Proが受け入れられるかどうかは未知数だ。ペンタブレット対応を含め、アプリ側の対応が進む必要もある。しかし、いずれにしろAppleは「このやり方で行く」と決めたのだろう。
iPad Proに対するユーザーからのフィードバックが進めば、「パソコンの近未来」がiPad Proの方向へと近づいていくことになるかもしれない。
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