「iPhone 6s」が生み出す新たな潮流――林信行が1週間使って見えたもの:カタチは同じでも“s”シリーズ史上最大の跳躍(5/5 ページ)
いよいよ発売を間近に控えた「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」。米国で行われた製品発表の直後からiPhone 6sゴールドモデルとiPhone 6s Plusのスペースグレイモデルを使い続けている林信行が、この1週間で感じた新シリーズの魅力を語る。
触ると絶対に欲しくなる魅力
3D Touchやカメラ機能の向上以外にも、最新のA9チップ搭載でCPU処理が70%、GPU処理が90%向上し、Touch IDの指紋認証も2倍に高速化、さらにWi-Fiの通信速度も倍になり、4G LTEの速度も最大で3倍ほど高速になっているiPhone 6sシリーズ。だが、確かに触り始めは「速い!」とビックリするが、「速さ」という感覚だけは人間は案外早く慣れてしまうようだ。
よく考えれば、1200万画素の写真を快適に撮影、保存、加工したり、4Kビデオの撮影、再生、拡大したりというだけでも、かなりのプロセッサパワーを使っているはずだが、それがあまりにも軽々と動くことに人間はすぐに慣れてしまう。
1週間も使っていると「サクサクと動作が軽快で快適」であることをたまに思い出しはするものの、特にそのことについて感謝するでもなく、これまで通り普通に予定を確認したり、Webを見たり、Siriに何か質問をしたり、メールのやりとりをしたりという使い方をするようになる。いつの間にかiPhone 6sであることの恩恵はそれほど感じなくなってしまう。
違いとして感じるのは、せいぜい充電中でなくても、iPhoneが「Hey Siri」の呼び声に反応してくれるときくらいだろうか。
ただし、ここで久しぶりにiPhone 6を起動してみると、ショックが大きい。「そうか、昔はPeek&Popがなかったから、ちょっと気になるメールがあるといちいち開いて見ていたのか!」であるとか、いちいちカメラを起動してからモードを切り替えるのが面倒くさいとか、これまで感じていなかった不満が芽生え始める。
そのうえ、これまでぜんぜん不満がなかった指紋認証にももたつきを感じれば、その後、ホーム画面にアプリのアイコンが表示されるアニメーションまで遅く感じるようになる。
一度、新しい体験を知ってしまうと、もはや元には戻れないという感覚は、これまで数台のiPhone、あるいは数台のiPod、あるいは数台のMacを乗り換えてきたことがある人は既に覚えがあるだろう。
sシリーズのiPhone 6s、6s Plusは、カタチこそ6シリーズと同じでも、もはや後戻りができない大きな進化がタップリ詰まっている。 知らなければ知らないで幸せでいられたものが、一度、触ってしまうともはや後戻りできなくなってしまうのだ。
だから、まだiPhoneの2年契約が残っている人は、できればiPhone 6sシリーズには触れずに過ごしたほうがよさそうだ。
なお、iPhone 6sと6s Plusの違いは、基本的な画面サイズに加えて、6s Plusは本体を横向きに構えたときにホーム画面のアイコンが横向きに回転したり、ビデオ撮影時に光学手ブレ補正が利用できるといった点がある。ということで、4Kビデオカメラとして活用したい人にはiPhone 6s Plusのほうが少しおすすめかもしれない。
これまでのiPhone 6シリーズと見た目はそっくりなiPhone 6sシリーズ。しかし、その中身はこれまでの「sシリーズ」の歴史でも最大級の跳躍を果たしている。iPhone 6sシリーズが採用した3D Touchというまったく新しい操作体系や、4Kビデオ撮影機能、Live Photosといった新表現は、今後、数年のスマートフォンの進化の流れを大きく変えることになるだろう。
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