Windows 10の次期大型アップデート「Creators Update」が形になってきた:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
プレビュー版の大幅強化により、「Windows 10 Creators Update」の姿が見え始めてきた。
「コマンドプロトンプト」から「PowerShell」へ、世代交代を実施
Creators Updateでは3D関連の機能以外にも大きな変更が含まれる。まずは「コマンドプロンプト」だ。
従来のWindowsにおけるCUI(Character User Interface)ツールと言えば、コマンドプロトンプトが定番だったが、Build 14971ではついに「PowerShell」に取って代わられることになった。
PowerShellはUNIX系のシェルスクリプトの機能を意識したツールとして開発され、パイプラインを含む高度な処理系が利用可能な管理者向けのシェルだ。オープンソースとしてのライセンスも行われており、Windows以外のOSでも利用できる。
当初、MS-DOS上で起動する形のWindows 3.1以前のバージョンや、その機能の多くを引き継いだWindows 95では、別名「DOS窓」とも呼ばれる「DOSプロンプト(command.com)」が利用されていたが、後にWindows NTの系譜を受け継ぐOSで「コマンドプロンプト(cmd.exe)」の利用が始まり、そのままWindows 10へと至っている。
PowerShellの最初のバージョンが登場したのは、Windows Vistaとほぼ同時期の2006年だ。実に登場から10年で、ようやく主力シェルの座に就いたことになる。
具体的には、Windows 10のスタートボタンでマウスを右クリックまたは「Windows」+「X」キーで呼び出せるコンテクストメニューに表示されるシェルの呼び出し先が、コマンドプロンプトからPowerShellに変化した。
このほか、ファイルエクスプローラなど既存機能の呼び先がPowerShellに変更されているなど、Microsoftとして世代交代を印象付ける狙いがあるとみられる。
なお、コマンドプロンプトそのものはBuild 14971でも健在だ。「cmd.exe」を直接実行するか、ショートカットを作成すればいつでも呼び出せる。
EdgeブラウザがEPUBファイルに対応
Edgeブラウザは毎回新しいビルドが配信される度に小規模な改良や機能の追加が続いており、今回は電子書籍に使われるEPUBファイルをサポートした。
内容としてはシンプルで、EPUBファイルをEdgeで直接開けるようになっている。EPUB形式におけるデフォルトのファイル関連付け先がEdgeとなり、ファイルをダブルクリックするとEdge上でEPUBファイルを閲覧可能だ。
DRMなどの著作権保護機能がかかったファイルの扱いは難しいものの、青空文庫やProject Gutenbergなど著作権フリーのEPUBファイルを配布しているサイトなどを活用すれば、さまざまな関連書籍をダウンロードしてそのままEdge上で閲覧できる。標準的なEPUBファイルであれば簡単に開けるので、簡易ビュワーとしても重宝しそうだ。
ただし、操作性やレイアウトはやや微妙で、まだまだお試し機能に近い印象を受ける。Creators Updateの一般公開までにブラッシュアップを期待したいところだ。
進化した「Get Office(Beta)」
あまり意味のない印象だった「Get Office(Beta)」アプリは、Build 14971ではバージョン2.0となった。関連ファイルの一覧や設定など、Officeをまたいだ作業用ワークスペースとして幾分か使えるものに進化している。
ヘルプ機能が強化されて、以前より目的の情報が探しやすくなったとMicrosoftは説明している。ただ、Feedbackカテゴリーがあることからも分かるように、Fast Ringユーザーにいち早く機能を提供してフィードバックを求め、まだまだ機能改善中だ。
関連キーワード
Windows 10 | Creators Update | Microsoft | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
Windows 10アップデートの「サイズが大きい問題」に改善策
3D機能の強化が目を引くWindows 10の次期大型アップデート「Creators Update」。更新プログラムの適用をよりスムーズに行える機能も搭載する。Windows 10の次期大型アップデートは「Creators Update」 3Dがより身近に
Microsoftは「Anniverdary Update」に続くWindows 10の次期大型アップデートを「Creators Update」と名付けた。名前の通り、クリエイティブな機能強化を行う。「Surface Studio」をMicrosoft Storeで触ってきた
28型大画面の「Surface Studio」はすぐ日本でも発売……とはいかないようだ。米Microsoft Storeでは展示が始まったので、早速実機を触ってきた。PCの新たな可能性を示した「Surface Studio」と「Surface Dial」
うわさのオールインワン型Surfaceは、高画質の28型ディスプレイを備えて「Surface Studio」の名前で登場。周辺機器の「Surface Dial」にも注目だ。Windows 10 Anniversary Updateの累積的アップデート問題は解消されたのか
更新プログラム「KB3194496」で障害が発生するという一部のWindows 10 Anniversary Updateユーザーに対し、Microsoftは問題解決のためのスクリプトを配布した。Windows 10 Anniversary Updateの累積的アップデートでトラブル発生
公開直後の不具合が話題となったAnniversary Updateだが、今度は累積的アップデートの配信で新たなトラブルを巻き起こしている。公開直後にトラブル発生のAnniversary Updateが「Windows 10安定版」となる日
8月2日の公開直後にフリーズ問題が発生したWindows 10の1周年記念アップデート「Anniversary Update」。企業向けの固定環境を想定した「安定版」配信のタイムリミットは迫っている。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.