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残り8カ月とタイムリミットが迫る「Windows 7 EOS」を考察する鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

2020年1月14日に、Windows 7やWindows Server 2008といったOSの延長サポート(EOS)が終了する。Windows XPのときのような騒動を回避すべく、さまざまな対策が行われているが、その現状を見ていこう。

コンシューマー市場での取り組み

 問題はコンシューマー市場だ。いまだ多くのユーザーがWindows 7に残っていることについて、一部の“こだわり”のあるユーザーを除けば、なぜ新環境への移行が進まないのかの疑問をMicrosoftにぶつけたみたところ、「普段あまりPCを使っていないユーザーと推測している」との答えが返ってきた。

 例えば、年賀状や挨拶状のためだけにPCを起動したり、家計簿をPCでつけたりしているユーザーなど、おそらく比較的シニア層に多いのではないかと推測する。一時期はゲームのために旧環境に残るユーザーがいたと思われるが、特に最新ゲームを中心にゲーム関係の機能はWindows 10の方が充実しているため、最近ではむしろWindows 10を利用するケースが多いようだ。

 コンシューマー市場については、既に無料アップグレードキャンペーンを経て移るべきユーザーはWindows 10への移行を済ませてしまっているため、今後一気にWindows 7からの移行が増える可能性は低い。そのため、Windows 7 EOSの周知を進めつつ、最新の“モダンなPC”を紹介することで、買い換えを経てWindows 10への移行を勧めていく作戦を採っている。

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 2019年2月から5月上旬まで実施されていた「ENTER!」キャンペーンが典型だが、定期的にやってくる商戦期のタイミングで随時適切なキャンペーンを展開し、最新PCへの買い換えを促していくのが結果としてEOS対策につながるという考えだ。

 ヤマの1つは消費税増税が行われるとみられる2019年10月1日前の夏の駆け込み需要で、さらに中小の小売店向けに提供される最大5%のポイント還元キャンペーンなども合わせ、冬以降の商戦需要も盛り上げて行きたいところだろう。


春商戦を狙った日本マイクロソフトの「ENTER!」キャンペーン

商戦シーズンを使ってWindows 7 EOS前にWindows 10搭載の“モダンPC”への買い換えを促す

“見えない”システムとクラウド

 ある意味でWindows 7以上にやっかいなのがWindows Server 2008のEOSだ。前述のように“見えない”部分に存在するシステムであり、Windows 7以上に認知されにくい。専任のシステム管理者がいない中小企業で、兼任や臨時の“サバ管”となった社員が知らずに触っていたOSが実は「Windows Server 2008」だったというケースもあるかもしれない。

 Microsoftによれば、知名度もあるWindowsに比べ、Office製品やWindows Serverなどの製品のバージョンは意識されないことが多く、そもそもEOSという存在を知らないという企業も少なくないのが現状のようだ。Windows 7に絡めてOffice 2010のEOSを訴えるキャンペーンサイトを立ち上げているのも、こうした理由による。


Windows 7とOffice 2010の2020年EOSを訴える「2020世代交代」のキャンペーンサイト

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