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まだまだPCは伸び続ける――NECPCが考える2021~22年の市場動向(2/3 ページ)

NECパーソナルコンピュータが、PCやタブレットの2021年春モデルを発表した。発表会では、2020年の振り返りと2021年への展望も語られた。新型コロナウイルスは、PCやタブレットの売れ行きにどのような影響を及ぼしたのだろうか?

テレワークは「ハイブリッドワーク」需要を意識

 テレワークにおける300万台の潜在需要は、NECPCが2020年10月に行った「テレワーカー調査」(調査対象人数:3万4045人)から算出された。

 この調査では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」後にテレワークが根付いたかどうかを調べると共に、PCやタブレットの潜在需要を探るべく行われたという。調査の結果、テレワークにおいて個人所有のPCでの執務が認められている人のうち、34%が今後仕事で用いる個人所有のPCを購入する予定だと答えたという。その比率を日本の就業者人口に当てはめて計算すると「300万人」となる。その300万人が1人1台のPCを持てば、300万台という計算だ。


2020年10月のテレワーカー調査をもとに、NECPCは当面のテレワーク向けのPCの需要が300万台と算出した

 緊急事態宣言によって一気に普及したとされるテレワークだが、その広がりは同社が過去に行った調査との比較からも伺える。緊急事態宣言が発出される前の2020年3月に実施した調査では全体の14%だった「テレワーク経験者」が、同年10月には35%にまで伸びている。

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 ただ、その35%を「首都圏」と「首都圏以外」に細かく分けると課題も見えてくる。首都圏ではテレワーク経験率が46%と高めだが、首都圏以外では26%と低調だ。河島氏の言葉を借りると、「緊急事態宣言が解除された後、首都圏ではテレワークが意外と継続されたが、首都圏以外では『普通の生活』に戻っていった」結果である。一部の都府県で再び緊急事態宣言が発出されたことで、河島氏は首都圏以外も含めてテレワーク経験者の比率は今後も高まると予測しているという。

 このコロナ禍の影響で、NECPCではテレワークのあり方も変わっていくと考えている。テレワークといえば「オフィスの外でするもの」(河島氏)という前提だったが、これからは「自宅とオフィスを週の中で分けて勤務するスタイル」(同)、いわゆる「ハイブリッドワーク」が主流になるという見立てだ。

 2020年10月のテレワーカー調査では、85%の回答者がテレワークの継続を希望したという。ただ、その中身を見てみると、61%の回答者が週に1~3回のテレワークが良いと答えている。言い換えれば、週に2~4日はオフィスに出勤したいという人が多いということになる。


テレワークの定着状況には、首都圏とそれ以外の地域で差が見られる。テレワークに満足している人でも、オフィスに出勤したいと考えている人が想像以上に多い

 各種調査を見ると、日本の企業や団体はテレワークで「生産性が低下」すると回答する比率が海外よりも高い傾向にある。自宅とオフィスでのハイブリッドワークを含めて、テレワークの普及には意識の変革も欠かせない。 

 NECPCや同社の兄弟会社であるレノボ・ジャパンでは、2016年からテレワークを本格的に取り入れている(参考記事)。その経験を踏まえて河村氏は「(テレワークは)生産性の高まる働き方」だと語る。出勤時間を省ける分、ワークライフバランスの改善も期待できるとする。

 テレワークの定着には「制度」「環境」「文化」の3つの要素が大切で、NECPCとしてはテレワーカーが生産性の向上に寄与することを機会があるごとに伝えていく方針とのことだ。


テレワークの定着には「制度」「環境」「文化」の3つの要素が重要だという

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