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Intelがハイエンドデスクトップ向け「第12世代Coreプロセッサ(Alder Lake)」を発表 11月4日から順次出荷開始(1/2 ページ)

Intelが「Alder Lake」という開発コード名のもと開発を進めてきた新型CPUの製品版が、いよいよ登場する。第1弾はアンロック(オーバークロック)対応のハイエンドデスクトップPC向け製品で、一般的なデスクトップPCやノートPC向けの製品は2022年前半に発表される予定だ。

 Intelは10月28日(米国太平洋時間)、ハイエンドデスクトップPC向けCPU「第12世代Coreプロセッサ」を発表した。米国におけるCPU単体パッケージの想定販売価格は264ドル(約3万100円)から589ドル(約6万7200円)で、日本を含む30を超える地域で11月4日から順次販売が始まる予定だ。同CPUを搭載するPCも、OEMパートナーから順次発売される。

 なお、一般的なデスクトップPC向けとノートPC向けの第12世代Coreプロセッサは、2022年前半に改めて発表される予定だ。

【更新:13時30分】消費電力の目安に関する説明を更新しました
【更新:19時】発売日の表記を一部改めました。それに伴い、記事タイトルも一部変更しました

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第12世代Coreプロセッサは、ハイエンドデスクトップPC向け製品から登場する

第12世代Coreプロセッサの概要

 第12世代Coreプロセッサは「Alder Lake(オルダーレイク)」という開発コード名で開発が進められてきた新型CPUで、処理性能を重視する「パフォーマンスコア(Pコア)」省電力性を重視する「高効率コア(Eコア)」を組み合わせる設計を採用している。スケーラビリティー(柔軟な拡張性)も重視しており、単一のアーキテクチャで薄型/小型ノートPC(ウルトラモバイル)からデスクトップPCまでカバーできることも特徴だ。


Alder Lakeの設計概要。CPUコアは「Intel 7」(Intelが「7nm相当」とする10nmプロセス)で製造されている

Alder Lakeは単一アーキテクチャで3つのフォームファクターを用意している。今回は一番左のデスクトップ向けフォームファクター(LGA 1700)を採用するハイエンドデスクトップPC向け製品が登場する

L2/L3キャッシュの実装変更

 第12世代Coreプロセッサでは、CPUのキャッシュメモリ回りの設計に変更が施されている。

 Pコアは、1つ1つのコアが1.25MBの独立したL2キャッシュを搭載している。一方、Eコアは4つのコアが2MBのL2キャッシュを共有する。そのため、「Pコア×8+Eコア×8」という構成の製品なら、合計14MB(Pコア10MB+Eコア4MB)のL2キャッシュを備えることになる。

 L3キャッシュはPコア、Eコア、GPUコアの三者が共有する「Intel Smart Cache」となった。容量は製品によって異なり、今回発表された製品では20MB~30MBである。CPUコアとGPUコアが同じキャッシュメモリにアクセスすることでレイテンシー(遅延)を抑制し、全体的なパフォーマンス向上を図ったという。


L2キャッシュは、Pコアがコアごと装備し、Eコアが4コアに1つを装備するような設計となっている。L3キャッシュは、Pコア、Eコア、GPUコア(GPU搭載製品のみ)が共有する形となった

 今回発表された製品では、CPU直結のPCI Express 5.0バスを最大16レーン、PCI Express 4.0バスを最大4レーン利用できる。PCI Express 5.0バスは外部GPUや高速ストレージ(SSDなど)、PCI Express 4.0バスは高速ストレージでの利用を想定しているという。

 メインメモリはDDR5規格とDDR4規格をサポートしている(※1)。チャネル数は最大2つで、容量は最大128GBとなる。ただし、実際に搭載できるメモリの規格や枚数(容量)は、組み合わせるチップセットやマザーボードによって変わるので注意しよう。

(※)メモリの最大通信速度はDDR5規格で4800MT/s(DDR5-4800)、DDR4規格で3200MT/s(DDR4-3200)となる


第12世代Coreプロセッサでは、PCI Express 5.0バスを最大16レーン利用できる。メインメモリはDDR5規格とDDR4規格をサポートしている

今回の新CPUは全てアンロック対応

 冒頭で触れた通り、今回発表された新CPUは全てハイエンドデスクトップPC向け製品(SKU)となる。具体的にいえばゲーミングPCやクリエイター向けPCで使われることを想定したもので、「アンロック」にも対応している。同時発表された「Intel Z690チップセット」(詳しくは後述)と組み合わせて使うと、全てのオーバークロック機能を有効化できるという。

 新しいアンロック要素の中で注目は「Intel Dynamic Memory Boost Technology」だろう。これは一定の条件を満たす環境において、DDR4/DDR5メモリを必要な時だけオーバークロック駆動する技術だ。電力消費を抑えつつ、メモリ回りのパフォーマンスを改善できるメリットがある。


今回発表された新製品で利用できる新しいオーバークロック機能

メモリモジュールにオーバークロック設定をプリセットする「Intel Extreme Memory Profile(Intel XMP)」は、DDR5メモリモジュール向けの「バージョン3.0」が定義される

Intel Dynamic Memory Boost Technologyは、アンロック対応の第12世代Coreプロセッサ、Intel XMP対応のマザーボードとXMPを持つDDR4/DDR5メモリモジュールを用意すれば利用できる

 新CPUは、最上位の「Core i9」、上位の「Core i7」、中位の「Core i5」にそれぞれ「内蔵GPU付き」「内蔵GPUなし(Fプロセッサ)」の2モデルが用意されている。内蔵GPU付きのモデルには、Xe-LPアーキテクチャベースのGPU「Intel UHD Graphics 770」が統合されている。


今回登場する新製品の一覧

Core i9プロセッサ

 Core i9プロセッサは、内蔵GPU付きの「Core i9-12900K」と内蔵GPUなしの「Core i9-12900KF」が用意される。Pコアは「Intel Turboboost Max Technology 3.0(TBT 3.0)」に対応している。仕様は以下の通りだ。

  • CPU(Pコア):3.2GHz~5.2GHz、8コア16スレッド、10MB L2キャッシュ
  • CPU(Eコア):2.4GHz~3.9GHz、8コア8スレッド、4MB L2キャッシュ
  • Intel Smart Cache(L3キャッシュ):30MB
  • 消費電力(ベース):125W
  • 消費電力(最大):241W

Core i7プロセッサ

 Core i7プロセッサは、内蔵GPU付きの「Core i7-12700K」と内蔵GPUなしの「Core i7-12700KF」が用意される。PコアはTBT 3.0に対応している。仕様は以下の通りだ。

  • CPU(Pコア):3.6GHz~5GHz、8コア16スレッド、10MB L2キャッシュ
  • CPU(Eコア):2.7GHz~3.8GHz、4コア4スレッド、2MB L2キャッシュ
  • Intel Smart Cache(L3キャッシュ):25MB
  • 消費電力(ベース):125W
  • 消費電力(最大):190W

Core i5プロセッサ

 Core i5プロセッサは、内蔵GPU付きの「Core i5-12600K」と内蔵GPUなしの「Core i5-12600KF」が用意される。仕様は以下の通りだ。

  • CPU(Pコア):3.7GHz~4.9GHz、6コア12スレッド、7.5MB L2キャッシュ
  • CPU(Eコア):2.8GHz~3.6GHz、4コア4スレッド、2MB L2キャッシュ
  • Intel Smart Cache(L3キャッシュ):20MB
  • 消費電力(ベース):125W
  • 消費電力(最大):150W

Intel 600シリーズチップセットも順次登場

 デスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサ向けのチップセットとして、Intelは「Intel 600シリーズ」を順次リリースする。今回発表されたハイエンド向けの「Intel Z690チップセット」の主な特徴は以下の通りだ。

  • DMI(CPUとの通信バス)がGen 4.0に(通信帯域が2倍に増加)
  • PCI Express 4.0バスを最大12レーン用意(CPU直結と合わせると16レーン利用可能)
  • PCI Express 3.0バスを最大16レーン用意
  • Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)の通信機能を統合(※2)
  • チップセット直結のUSB 3.2 Gen 2x2ポートの最大数を4基まで拡大(※3)

(※2)日本を含む多くの地域では、法令の都合で6GHz帯での通信に対応しない
(※3)USBポートの構成はマザーボードによって異なる


デスクトップPC向け第12世代CoreプロセッサにはIntel 600シリーズチップセットを組み合わせる。画像はハイエンド向けのZ690チップセットの仕様だ
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