「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」は実際どうなの? プロ絵師がワコムの新型4K液タブをガチレビュー(4/5 ページ)
ワコムが「Wacom Cintiq Pro 16(2021)」を発表した。従来モデルから4年半と、同社としては短いスパンでの投入となった新型を、人気プロイラストレーターのrefeia氏がガッツリとチェック!
性能をチェック
次は性能を見ていきましょう。まず変化していない点について。本機は旧型と同じく「Pro Pen 2」を採用しています。マットなガラス面、通常芯とフェルト芯の選択肢、「Pro Pen slim」のような太さの選択肢なども含めて、性能/描き味/個人の好みに寄り沿う能力において、旧型から進化していないとしても現状得られる最高のものです。
ガラスが薄くて空気層もなく、視差がほとんどないことも先代と変わっていません。
Pro Pen 2の機種は何度もレビューしているので、今回は筆圧などについては触れませんが、遅延は若干改善していました。いつものWindows Paintで線を引くテストで、旧型が120fpsで撮影して9フレーム、新型が同8フレームです。Windowsの液タブで速いと言える同7フレームを基準とすると、遅れが半分くらいで済むようになりました。わずかですが、サクサク感として体感できる改善です。
そして、大きく改善したのが色域です。旧型はAdobe RGBカバー率85%(CIE 1931)で「sRGB用なら問題なし」ぐらいでしたが、新型はAdobe RGBカバー率98%で、広色域を目標にした制作にしっかり使えるようになりました。
また、出荷時に標準に合わせて発色を調整してあり、キャリブレーターを持っていなくても、ディスプレイ設定からモードを選べば「おおむねAdobe RGB準拠」「おおむねsRGB準拠」という想定で使うことができるのも、他社製品では得難い大きなメリットです。
熱とファンノイズは大きく改善
旧型はファンノイズが大きく、中央上部が快適とは言いづらい熱さになる問題もありました。ファンノイズが、経年でガラガラと耳障りな音に変化しやすい問題も抱えていたため、顔の近くで鳴り続ける音に集中力を乱されながら使うか、ヘッドフォンなどで緩和する必要がありました。この点も新型では大きく改善しています。まず消費電力が減少し、基礎的な発熱がぐっと減りました。
厚みや質量が大きくなったのも寄与しているのか、ファンが回る機会が減り、発熱も上部のベゼルが中心になり、描いていてよく手が触れる部分はぬるく感じる程度で済むようになりました。手袋をして作業していれば気にならない程度だと思います。
さらに、設定画面でファン速度「低速」を選択できるようになりました。新型もファンが回り始めればそれなりに風切り音が聞こえますが、低速に設定していればあまり気にならず、その状態で表面もぬるい程度です。
旧型がちょっとしんどい出来だっただけに、新型でおおむね気にならないレベルになったのは大きな改善です。
実用しても旧型同様の描きやすさ
さて、いつものレビューでは実際に描いてみた感触を各工程について述べていくのが常ですが、今回は省略しようと思います。
仕事に使っていた旧型と置き換えて数日使ってみましたが、作業中はすぐに置き換えたことを忘れました。画面から目を離したときにケーブルが邪魔で残念に思うぐらいの引っかかりしかありませんでした。
また、ノートPCなどはUSB Type-Cでディスプレイ出力できても、出力の大きいUSB PDまではカバーしていない場合がほとんどなので、旧型と接続性はあまり変わりません。
自分はキーボード操作派なので背面のエクスプレスキーは頻繁には使いませんでしたが、キーボードマクロなどを登録するにはちょうどいい数と位置だと感じました。
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