PFUの熱いユーザーイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.5」で語られたこと(3/5 ページ)
発売から25周年を迎えた2021年、PFUがユーザーイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.5」を開催した。熱烈なファンが集う会で何が話されたのか、レポートをお届けする。
キーボードは脳への負荷をかけず高速処理を可能にするインタフェース
続くスペシャルトークセッションに登壇したのは、東京大学大学院情報学環 暦本純一教授、メディアアーティスト 落合陽一氏、そしてモデレーターも担当するギリア 清水亮氏の3人だ。
テーマは、「コンピューターインタフェースとしてのキーボードとインタフェースの未来」だ。
スペシャルトークはHHKBとのなれ初めから始まり、落合氏の「家がボヤになって灰まみれになっても生きていたHHKB」や「どっしりしていて、使い勝手のいいアルミ(削り出しフレームを使った)HHKB」という話題で盛り上がり、世代によって、英語配列と日本語配列に好みが分かれるかもしれないこと、無刻印モデルでは、使い始めのBluetooth接続に苦労することなどが話された。
暦本教授は無刻印派で、「目に頼るな、フォースに頼れ」と笑いを誘っていた。「無刻印を使うようになって、初めて自分はタッチタイプしているつもりでも、実はタッチタイプできていないことと気づいた」と言うと、落合氏も「自分も目に頼っていた」と告白していた。
日本語配列愛用者の清水氏が、「英語配列にない、カーソルキーがあるのが地味にうれしい。ゲームもできる」と言うと、エバンジェリストのはずの落合氏が「えっ、HHKBにカーソルキーなんかあるの!?」と応答。「HHKB 英語配列の右下にはサインを書くところだと思っていた」と語り、会場は笑いに包まれた。
ちなみに、日本語配列の方がキーの数は多いが、英語配列と価格は同じだ。「キーあたりの値段が安いから、日本語配列の方が、お得」と清水氏はアピールしていた。
本題の、インタフェースについては、1865年に発明された「ライティングボール」、暦本教授が開発した静電容量計測技術を応用したタッチパネル「Smart Skin」、落合氏の手による「Fairy Lights」を例に、文字を出力(入力)するためのインタフェースに試行錯誤があったことが語られた。
それらを踏まえて、キーボードは将来も存在し続けるのか、またHHKBが存在し続けるとしたらどのようなものが望ましいかなどについて語り合われた。
暦本教授はインプットインタフェースとして「視線で操作することはありえないのでは?」と言う。目を使うことによる脳への負担の大きさ、目を通した場合のフィードバックの遅さなどがその理由だ。「その反面、触覚によるフィードバックは早い。脳だけで認識できる。意外とキーボードは存在し続けるのではないか」と予測した。
とはいえ、キーボード肯定派、というわけではなく、初期には物理が必要でも、習熟度が上がるにつれ脳内で動かせるソロバンのように、いずれは脳内で完結するのではないか、とも言う。
触覚と入力、という内容では落合氏が「HHKBとMacBookでは押した感触が違う。キーボードに導かれて、キーボードが考えた(テキストを)書いているとしか思えない感覚がある」と言うと、清水氏から、「いい話。もっと話して!」と促されていた。
HHKBへ期待することとして、暦本教授が「自宅で仕事中、猫がキーボードを押しても『これは猫が触っているから入力しない』と判断して制御するAIを搭載してほしい」と冗談を言えば、落合氏は「猫が押せなくなるキーボードカバーをHHKBコラボアイテムとして出してくれれば」と合わせる。
いつまでも尽きないトークに、司会の小山氏が「次の25年もHHKBが愛されるには?」と質問すると、清水氏は「ハッセルブラッドやライカのように、高級ブランド路線を行きつつ、三代にわたって使えるようなものを作るのはどうか」と提案。
暦本教授が「万年筆でも100年に渡って使われているものがある。安いものもあれば高いものもある。筆記用具とインタフェースにお金をかけると、人生が豊かになる。安いもので人生を無駄にしてほしくない」と高級路線を肯定した。
落合氏は、「100年もたせるには、プラでは弱い。アルミ製で、今と同じ価格にすれば良いのでは?」とアルミネタを蒸し返しつつ、「HHKBにPC機能を持たせ、メガネ型ディスプレイに表示させれば、バッテリーのもちも良いし、かっこいいのでは?」と提案していた。
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