これまでの限界を打ち破る! 作り込まれた「Apple Event」で感じた新たな息吹(3/3 ページ)
Appleが3月8日(米国太平洋時間)に行ったスペシャルイベントでは、iPhoneやiPad Airシリーズの新モデルに加え、今後のPCに大きな影響を与えるであろう発表もなされた。林信行氏が同イベントを読み解いた。
Studio Displayの登場でMacらしい体験をデスクトップPCでも実現
Appleは、現状最高性能のMacのために作られた新しいディスプレイ「Studio Display」の存在も忘れてはならない。
同社製のディスプレイと言えば、工業デザイン的にも、画質/性能的にも一切の妥協をせずに作られた32型/6K画質の「Pro Display XDR」が既にある。
業務用の最高峰ディスプレイとして、60万円前後(税込み、以下同様)と価格もそれなりの製品だったが、今回、新たに開発されたStudio Displayは、27型で/5K画質で画質的にはPro Display XDRには及ばない部分もあるものの、価格は19万8000円からと、グンと引き下げられた。
また超広角フロントカメラの搭載や、「A13 Bionicチップ」の内蔵により、ディスプレイ側の処理でセンターフレームにも対応した他、空間オーディオにも対応した6スピーカー(フォースキャンセリングウーファー4基+ツイーター2基)も内蔵している。
スタンドも2種類から選べ、VESAマウントアダプタも用意されるなど、さまざまなクリエイティブニーズに対応してくれる柔軟性とバランスを備えた製品に仕上がっている。
Mac用の外付けディスプレイを選ぶ際、Pro Display XDRまでの性能を必要としていない人は、これまで選択肢がなく非常に困っていた。他社のディスプレイの多くは解像度とハイダイナミックレンジ表示、価格の3つの軸で勝負しているが、画質が良い製品を選んだとしても、今日、日常的に行うビデオ会議などに必要なカメラがなかったり、せっかくの大画面で迫力の映像を楽しもうにも音響が物足りなかったり(あったとしても弱かったり)していた。それだったら、iMacやMacBook Proなどでしのいだ方がいい、という結論に至っていた。
しかし、Studio Displayの登場で例えばMac miniなどのディスプレイを持たないデスクトップモデルや、内蔵ディスプレイを閉じた状態のMacBookを接続した状態でも、大画面+カメラ+優れた音響という、MacをMacたらしめている体験をやっと享受できるようになった。
4つのハードウェア新製品と、Mac Pro投入の予告、iMovieなどの新たなソフトウェアの開発やApple TV+での提供コンテンツの広がりなど、1時間弱で行われたイベントは盛りだくさんな内容だった。
ウクライナ支持を思わせるティム・クックCEOの服装や、イベントが開催された国際女性デーへの配慮を思わせる女性社員の登場機会が多かったプレゼンテーション(Appleの女性社員によるプレゼンテーションはもちろんだが、M1 Ultraの性能のすごさを語った、アプリ開発会社のスポークスパーソンは全て女性だった)など、深く読み解けば読み解くほど、新たなメッセージが見え隠れする極めてよくデザインされた発表会だった。
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