コラム

「Microsoft 365」でWindows PCを快適に! 利用者も管理者もスマートなハイブリッドワークを実現する方法ハイブリッドワーク時代のビジネスPC選定術(第2回)(3/3 ページ)

ハイブリッドワークを前提にPCを導入する場合は、どのようなことを考慮すべきなのか――既存のWindows環境を生かしたい場合は「Microsoft 365 Business Premium」を組み合わて環境作りをすることをお勧めしたい。ハイブリッドワークに最適なWindows PCを選ぶポイントと合わせて紹介しよう。

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ハイブリッドワーク時代にお勧めのWindows PCは?

 Microsoft 365 Business Premiumが、ハイブリッドワークの実現において強力なソリューションであることを紹介してきたが、ここからは実際にハイブリッドワーク時代に最適なWindows PCの選び方を考えよう。

 今までの労働集約型の働き方とは異なり、ハイブリッドワークは従業員が場所を選ばずに業務を行うことを前提とする。そのため、業務用PCの選び方にも従来とは違う視点が必要だ。

 とりわけ、業務を円滑に行う観点から、ビデオ(Web)会議を快適に行えるかどうかの検討は欠かせない。もう少し具体的に、考慮すべき要件を検討してみよう。

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ハイブリッドワークを前提にすると、今までと異なる考慮すべき“ポイント”が出てくる

求められるスペックは確実に高まっている

 ビデオ会議アプリは思っている以上に処理の負荷が高い。画面共有をしながら会議に参加する場合はなおさらである。

 例えば「Microsoft Teams」の動作要件を見てみると、ビデオや画面共有の解像度やフレームレートを上げる場合は4コア以上のCPUを推奨している。

 従来の慣習を引きずって「事務用途なら2コア以上のCPUがあればいい」と考えてPCを選ぶと、従業員に苦痛を与えることになってしまう。最近は多コアCPUを備えるPCも手頃な価格帯になってきたので、4コアCPUは“必要最小限”という意識で選ぶべきである。


Microsoft Teamsの動作要件からビデオ通話/会議の部分を抜粋してみた。映像の解像度やフレームレートを高く維持したい場合は4コア以上のCPUが推奨されている

 加えて、WebブラウザやOfficeスイートなど、業務で利用するアプリも高機能化に伴い必要なメモリ容量が増えている。複数のアプリを同時並行して動かすことを考えると、メインメモリの容量は少なくとも8GB、できれば16GB以上とすべきだ。

 最近では、事務作業でも8GBのメインメモリだと動作が重くなってしまうこともある。「一般事務作業なら8GB(4GB)で十分だ」という“ひと昔前”の意識でいると、PC選びが従業員の作業効率の低下を招いてしまう可能性もある。8GBは“最小限”で16GBが“普通”だと意識を改めるべきだ


デル・テクノロジーズの「New Latitude 5330」は第12世代Coreプロセッサを搭載している。ビジネス利用にありがたい保守サービスが標準で付帯している

 悩ましいのはストレージの容量だ。システム構成にもよるが、シンクライアントでない普通のPCを業務に使う場合、「ストレージ不足の警告が出てきて困ってます!」という情シスへのトラブルシューティング依頼は“日常茶飯事”だったりする。

 ストレージ不足に対してUSBストレージの利用を無制限に認めてしまうと、情シスが保存先を把握できないデータ(あるいはストレージ)が無尽蔵に増えてしまう。これはセキュリティ上よろしくないことである。

 そのため、従業員が業務遂行に支障を来さない容量のストレージを搭載しておくことも非常に重要である。必要な容量は従業員の業務によって千差万別なので、当該従業員(あるいは所属部署)と十分に相談して決定することが重要である。

 とはいえ、ストレージの容量もPCの価格を左右する。調達コストを抑えたい場合は「業務上必要なデータはNASやファイルサーバに集約させて、端末のストレージ容量を減らす」という選択肢も考えられる。ただ、それでもOSの更新や一時データの保存を考慮して少なくとも256GB、できれば512GB以上の容量を搭載するようにしたい。


ストレージは快適性の観点からSSDを推奨する。必要な容量は、利用する従業員や所属部署と十分に相談した上で決めた方が、後から出てくる「困りごと」を減らせる

忘れちゃいけないけど忘れられがちな「重さ」

 繰り返しだが、ハイブリッドワークは働く場所を選ばない。つまりハイブリッドワークを前提にノートPCを選ぶなら常に持ち運ぶという前提に立つべきである。そこで気にしたいのが「重さ」だ。

 当たり前だが、ノートPCはコンパクトかつ軽量であるほど持ち運びやすい。最近は、軽量PCもMIL規格(MIL-STD-810シリーズ)の耐衝撃/耐環境性能を確保した機種が増えているので、「軽かろう弱かろう」とも言いきれない。軽量でも丈夫なノートPCの選択肢は充実している。

 ただ、軽量なノートPCは価格が高くなりがちだ。情シス的には「そんなに予算を捻出できないよ!」と頭を抱えそうである。可搬性と価格のバランスを考えると、12~14型の画面で1.3kg前後の重量を目安にすると選びやすい。


レノボ・ジャパンの「ThinkPad X13 Gen 3」は、第12世代Coreプロセッサを搭載する「Intelモデル」とRyzen 6000シリーズを搭載する「AMDモデル」が用意されており、カスタマイズ(CTO)モデルならハードウェアスペックを細かく指定して購入できることが魅力だ。重量は構成によって約1.19kg~1.31kgとなる

 今回はMicrosoft 365 Business Premiumを組み合わせることを前提に、ハイブリッドワークに最適なWindows PCの選び方を解説した。シェアが高いこともあり、Windowsは慣れている従業員は多いと思われ、比較的すんなりと受け入れられる選択肢となるはずだ。

 この環境は、情シスも業務で蓄積してきたノウハウを生かしつつ、管理や運用は非常に楽になる……のだが、強いていうとIntuneやAzure Active Directoryについての学習を求められるので、初期導入時の学習コストがかさみがちという課題もある。快適に使えるノートPCを調達しようとすると結局コストがかさんでしまうという可能性も否定できない。

 「もっと気軽かつ省コストで運用できるものはないのか?」という情シスにお勧めしたいのが、「Chromebook」「Chromebox」と「Chrome Enterprise」の組み合わせである。次回詳しく紹介する。

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