「Intel Arc A380」は「ストリートファイターV」をプレイするのに十分な性能なのか(5/6 ページ)
Intelから実に22年ぶりとなるグラフィックスカード「Intel Arc」シリーズが発売された。そのエントリーモデルとなる「Intel Arc A380」を使ってストリートファイターVを満喫することはできるのだろうか。
Intel Arc A380を使って感じたイロイロ
今回、約1カ月間に渡って、このG-Tune PL-B-A380を使わせていただいたが、ストリートファイターVをプレイするにあたっては、GPUの性能自体には不満はなかった。
実は、G-Tune PL-Bシリーズは、Arc A380搭載モデル以外に、NVIDIA GeForce GTX 1650を採用したモデルも存在する。それらの製品は、今回評価したG-Tune PL-B-A380のスペックにそろえるとほぼ同価格帯(15万4800円)で販売されており、コストパフォーマンス的には、昨今の円安傾向を考慮すれば、まあ妥当かな、という感じではある。
しかし、GPU単体製品となると、2022年10月時点の価格は、約3万円程度となっており、これはやや割高感がつきまとう。3万円前後となれば、2022年10月時点では、NVIDIA GeForce RTX 3050(9.0TFLOPS)搭載製品も予算圏内に入ってくるため、あえてArc A380(4TFLOPS)を選ぶ理由は見つからない。
個人的には、Arc A380と同等性能である、AMD Radeon RX 6400系や6500系の価格帯域、具体的には1万8000円から2万円前後あたりが適正価格なのではないか、と考える。もし、1万5000円前後あたりにまで下がれば、お買い得感も出てきて人気を博するようになるかもしれない。
さて、今回の評価で困ったこと、気が付いたことを記しておこう。
Arc A380のGPU自体とそのドライバの"出来栄え"には特に大きな不満もなかったのだが、いくつか、その周辺ソフトの完成度がいまひとつで、評価の際には苦労させられた。
まずは、ドライバソフトのアップデート管理を行ってくれる「インテルドライバー&サポート・アシスタント」が、CPU内蔵GPUドライバと、Arcシリーズ向けGPUドライバを、シーソーゲームのように永遠に更新しつづけるというループに突入することに悩まされた。
どういうことかというと、例えばCPU内蔵GPUドライバを更新すると、Arcシリーズ向けGPUドライバの一部のファイルが、この更新によって書き換わってしまうようで、次回起動時には、今度は、Arcシリーズ向けGPUドライバを更新しろ、といってくるのだ。これに従うと、今度はCPU内蔵GPUドライバを更新しろと言ってくる。つまり無限ループに突入してしまう。この無限ループから脱するには、「インテルドライバー&サポート・アシスタント」をWindowsの「コントロールパネル」からアンインストールすればいい。
しかし、その後、Windows 11のアップデートと後述の「Intel Arc Control」が、CPU内蔵GPUドライバとArcシリーズ向けGPUドライバを同時更新することがあり、結局、おかしなドライバインストール・ループは再開された(笑)。さすがに気がめいってきた筆者は、UEFI(BIOS)画面にてCPU内蔵GPUを無効化することで、このループから根本的に抜け出すことに成功した。
なお、G-Tune PL-B-A380は出荷状態では、CPU内蔵GPUが有効化されているので、同機ユーザーは、気に留めておくことをお勧めする。しかし、これをやってしまうと、ゲームグラフィックスをArc A380で、映像エンコードをCPU内蔵GPUで……という「ダブルGPUの使い分け」はできなくなる。
Intel Arc Controlは、「インテルドライバー&サポート・アシスタント」をインストールした古いバージョンのドライバを最新版と誤認しているようで、いくら「更新」ボタンを押しても、「落ち着きましょう」と、ちっとも意に介してくれない!
もう1つ気になったのは、ArcシリーズGPUのサポートソフトウェアの「Intel Arc Control」の完成度が低いことだ。
Webサイトに最新版のドライバが上がっているにもかかわらず、「更新」ボタンを押しても、全然、アップデートしてくれないし、かたや新しいドライバをインストールすると、勝手に古いドライバをインストールし直すこともあったりと、「ドライバ無限インストール地獄」のもう1人の立役者が、コイツである。まあ、このIntel Arc Controlのドライバの自動更新を無効化した上で、ユーザー自身がこまめにドライバを手動でインストールすればなんとかなる。
しかし、今回の評価期間中に問題を解決できなかったのは、Intel Arc Controlが提供するGPUステータスのオーバーレイ表示機能だ。
まず、表示が安定しない。ストリートファイターVのプレイ時にゲームが一瞬止まるような症状(グリッチ現象)がときどき起こるのだ。
また、その表示項目がなぜか極端に少なくなってしまうこともあった。恐らく、一連のドライバの無限インストールループの悪影響かもしれない。CPU内蔵GPUを無効化したあたりでちょっと安定したような気はする。
それと表示項目自体も、その内容がどうもおかしい。
関連記事
「ストリートファイターV」は、今やモバイルPCのCPU内蔵GPUでプレイできるようになってしまった
格闘ゲームの世界大会「EVO Japan 2023」にも採用されたゲームタイトル「ストリートファイターV」。これを最新のモバイルPCで快適に楽しむことはできるのか、またプレイしながらの実況配信もできるのかを試してみた。「Intel Arc A770 Graphics」搭載グラボは10月12日発売 “価格破壊”の329ドルから
Intelの自社開発GPU「Intel Arc Graphics」の“本命”である、デスクトップ向けハイエンドモデルがいよいよ登場する。329ドルからという比較的手頃な価格ながら、近似価格帯の競合製品(恐らくGeForce RTX 3060)よりもピーク時のレイトレーシング性能を65%改善しているという。Intelがプロ向けGPU「Intel Arc Pro Aシリーズ」を発表 搭載製品は順次発売
Intelが、CADや映像業務に携わるプロフェッショナル向けのGPU「Intel Arc Pro Aシリーズ」を発表した。先行するコンシューマー向けの「Intel Arc Aシリーズ」と同様に自社製CPUとの連携機能を備え、GPUとしては初めてAV1のハードウェアエンコーディングにも対応している。NECPC、Intel Arc搭載のノートPC「LAVIE N15」を披露 インテルブースにArc Graphics搭載PCが勢ぞろい!
東京ゲームショウ2022のインテルブースで、NECPCの未発表ノートPCが展示されている。NECPCのノートPCとしては久しぶりの“独立”GPU搭載モデルで、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」を実際にプレイして実力を試すことができる。Intel Arc A380搭載デスクトップPC「DAIV Z3-A380」の性能は? クリエイティブ系アプリは加速する?
マウスコンピューターのクリエイター向けPC「DAIV」シリーズに、Intel Arc A380を搭載したデスクトップPCが追加された。新GPUはクリエイティブ関連のアプリで有用なのか、そしてパフォーマンスはどうなのかを細かくチェックした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.