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大画面でスリムという「新しい定番」を打ち立てた! 「VAIO F16」が想像以上に良かった件(1/4 ページ)

VAIOが「新しい定番ノートPC」を目指して開発した「VAIO Fシリーズ」。ノートPCに必要な要素を改めて検討した結果生まれたFシリーズは、一体どのようなモデルなのだろうか。この記事では、16型のコンシューマー向けモデルである「VAIO F16」をいろいろな角度からチェックしていく。【訂正】

 「VAIO F16」は、VAIOから新たに登場した16型ノートPCだ。VAIOらしい洗練された外観は継承しつつ、大画面を搭載しながらスリムで軽量、持ち運びもしやすいフォームファクターに収めたコンシューマー向けスタンダードモデルという位置付けである。カスタマイズ可能なCTOモデル(※1)の価格は13万6800円(税込み、以下同)からと手頃だ。

(※1)VAIOストア(Web/一部家電量販店)とソニーストア(Web/店頭)で取り扱い

 このモデルは、ビジネス向けの「VAIO Pro BM」や14型モデルの「VAIO F14(コンシューマー向け)」「VAIO Pro BK(ビジネス向け)」と共に、VAIOが新たに提案する「Windows PCの新たな“定番”」の一翼を担っている。

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 同社が導き出した新しい定番の条件は、「見やすい大画面」「長持ちする品質、安心」「普段使いに“ちょっといい”性能」「快適なオンラインコミュニケ―ション」の4つである。果たして、VAIO F16はその条件をしっかりと満たしているのだろうか?

 今回、VAIO F16のサテンゴールドの実機(Core i7構成)を入手したので、じっくり試していく。

【訂正:6月12日12時20分】初出時、天板素材がアルミニウム製という旨が書かれていましたが、実際にはプラスチック製です。おわびして訂正いたします


VAIO F16は、コンシューマー向けの「WindowsノートPCの新しい定番」たりうるのか……?

VAIOらしい洗練された外観 コストダウンがむしろ有利に働いた面も

 VAIO F16/Pro BMのボディーは、VAIO F14/Pro BKを「画面サイズに合わせて大型化した」ようなスタイルとなっている。厚みもほぼ同じなので、薄さが際立ち、よりスマートに見えるようになっている。

 公称サイズは、約358.3(幅)×255.6(奥行き)×16.6~19.9(厚さ)mmとなっているが、厚さの「16.6mm」は先端付近のごく一部のみで、ほぼ約19.9mmのフラットなフォルムだと考えてよい。ちなみに、VAIO F14/Pro BKの公称サイズは約322.9(幅)×221.5(奥行き)×19.5~19.7(厚さ)mmとなっている。

 数字だけを見ると「ではVAIO F16/Pro BMの方が薄いんだね」と思うかもしれないが、実際は先端の形状が微妙に違うだけで、厚さはほぼ同じだ。

 ボディーカラーはVAIO F14/Pro BKと同じ陣容で、コンシューマー向けのF14はネイビーブルー、サテンゴールド、ウォームホワイトの3色、ビジネス向けのPro BKはダークメタルグレーのみとなる。今回はサテンゴールドの実機をレビューしたが、淡いゴールドとホワイト寄りのベージュの調和がとてもよく、エレガントな雰囲気に仕上がっている。


VAIO F14を厚みをほぼそのまま大型化しているため、薄さが際立つ。VAIOらしさを継承した洗練されたスタイルだ

トップカバーはプラスチック樹脂製で、強く反射し、周囲の環境、光の当たり方で見え方はかなり変わる。中央にはミラーロゴを配置している

 普及価格帯を狙った製品ということで、薄型軽量化しながらも“極限”までは追求していない。また、適度にコストダウンをしている面もある。例えばボディーのプラスチック素材は、一部を除いて塗装を行っていない、内部のマザーボードやバッテリーなど主要コンポーネントはVAIO F14/Pro BKと共通化している。

 とはいえ、プラスチックの無塗装化は「塗装剥げ」が起こらないということを意味するので、長く使う観点ではむしろ有利に働くこともある。デザインの絶妙さも相まって、バランスよいビジュアルに仕上げているのは見事だ。

 公称の重量は約1.65kgだが、評価機の実測は1558g(1.558kg)と公称よりもかなり軽かった。


本体底面は無塗装のプラスチック素材となっている。落ち着いたベージュ系のカラーがゴールドとの相性がよく、エレガントで洗練された雰囲気を醸し出している。プラスチック素材かつ無塗装であることはコストダウンの一環だが、全くそう感じさせないのは見事といえる

キーボードベゼルとパームレストは、アルミ合金製の1枚板を採用している。粗めのヘアライン加工で、質感高く仕上げられている

VAIOノートPCではおなじみの「リフトアップヒンジ」も採用している。開いたトップカバーがベースボディーの下に潜り込んで、キーボード面に傾斜が付く仕組みだ

今回、VAIO F16(右)はサテンゴールドをレビューしている。一方、ビジネス向けのVAIO Pro BK(左)/BMは専用色のダークメタルグレーを採用している。どちらも上質な仕上がりである

VAIO F16の公称重量は約1.65kgだが、今回の評価機は実測で1558gだった

バランスのよい基本スペックはVAIO F14と同等

 基本的なスペックは14型モデルであるVAIO F14と同様で、“ほどほど”になるようなバランス感覚が貫かれている。

 CPUはIntel最新の第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)のUシリーズ(基本消費電力15W)を採用している。今回の評価機にはCore i7-1355U(Pコア2基4スレッド+Eコア8基8スレッド)が搭載されていた。

 VAIO F16くらいのサイズ感であれば、同じ第13世代Coreプロセッサでも、よりパフォーマンスの高いPシリーズ(基本消費電力28W)を採用するモデルは多い。しかし、Pシリーズを搭載するとなると、熱設計のハードルが上がり、その分コストもかさむ。

 第13世代Coreプロセッサは、Uシリーズでも普段使いでの処理パフォーマンスは十分に高い。ビジネスや学習が快適にできるのはもちろん、カジュアルゲームやクリエイティブな作業にも十分に対応できる性能を備えている。

 ゆえに、新しい定番というコンセプトも相まって、あえてUシリーズを採用したのだと思われる。


VAIO F16は、第13世代CoreプロセッサのUシリーズを搭載している。今回の評価機が搭載するCore i7-1355Uはその上位構成となる

CPUとファンの動作モードは、専用ユーティリティーアプリ「VAIOの設定」から行える

 その他、メモリはLPDDR4X規格、ストレージはPCI Express 3.0 x4接続の自己暗号化対応SSD(VAIO用語では「スタンダードSSD」)を採用している。いずれも最新かつ最速という仕様ではないが、コストパフォーマンスがよく放熱面でも有利で、安心して使える構成といえる。


ストレージはPCI Express 3.0 x4接続のSSDとなる。評価機には、Samsung Electronicsの「PM991a」の1TBモデルが搭載されていた

評価機のSSDの性能を「CrystalDiskMark 8.0.4」(ひよひよ氏・作)でチェックした。エントリークラスのSSDとしてはランダム性能もよく、普段使いは快適にできるだろう

 バッテリー容量は定格で50Whとなっており、公称駆動時間は約16時間だ(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver.2.0による計測値)。このあたりの仕様は、VAIO F14/Pro BKと同様である。


付属のACアダプターは独自端子で、最大65W出力となっている。ACケーブル込みの実測重量は225gだった

バッテリーの定格容量は50Whで、最長駆動時間は公称値で約16時間となる。バッテリー駆動時間は使い方によって大きく変わるが、公称値でこれだけ持つならば実利用でもスタミナは十分であるだろう

VAIOの設定には、バッテリーをあえて満充電としないことで物理的な寿命を延ばす「いたわり充電」機能が用意されている

 ポート類や通信機能にも、“ほどほど”感は貫かれている。

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