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AMDが通信インフラ向け高効率CPU「EPYC 8004シリーズ」を発表 「第4世代EPYC」の“末っ子”

AMDが、通信インフラやエッジサーバ向けでの利用を想定したCPU「EPYC 8004シリーズ」を発表した。第4世代EPYCプロセッサを構成するモデルの1つだが、従来の「EPYC 9004シリーズ」とは異なるソケットを採用している。

 AMDは9月18日、新型CPU「EPYC 8004シリーズ」を発表した。搭載製品は、パートナー企業を通して順次発売される。


AMDが新型CPU「EPYC 8004シリーズ」を発売

EPYC 8004シリーズの概要

 EPYC 8004シリーズは、「Siena(シエナ)」という開発コード名で開発が進められてきた「Zen 4cアーキテクチャ」ベースのCPUだ。本シリーズの登場をもって、Zen 4/Zen 4cアーキテクチャベースの「第4世代EPYCプロセッサ」のラインアップは完成を迎える。

 今までの第4世代EPYCは「EPYC 9004シリーズ」として登場してきたが、本シリーズは千の位が「8」となっている。シリーズ名の千の位はCPUソケットを表しており、8は「Socket SP6」を意味するという。世代は同じながらも、従来のEPYC 9004シリーズ(Socket SP5)とは異なるソケットを用いることに注意が必要だ。

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第4世代EPYCでは、用途(ワークロード)によってバリエーションを用意する戦略を取っている

EPYC 8004/9004シリーズのモデル名の識別方法。末尾の機能名プレフィックス(画像中の「Compute」の部分)は、バリエーションの広がりによって5種類にまで増えた

 EPYC 8004シリーズで採用されるZen 4cアーキテクチャは、オリジナルの「Zen 4アーキテクチャ」のCPUと比べると、実装密度と電力効率を高めたものだ。

 本シリーズは携帯電話のコアネットワーク施設や基地局などに設置される、エッジサーバを含む「ネットワーク機器」や、工場や店舗に置かれる「拠点サーバ」で使われることを想定している。これらの用途では単一のワークロードが繰り返し実行されることが多いので、電力効率を高めることを重視したということのようだ。

 なお、本シリーズは全モデルがシングルプロセッサ専用となっている。後からマルチプロセッサ構成とすることはできないので注意しよう。


Zen 4cアーキテクチャは、Zen 4アーキテクチャをベースに実装密度を高めて、電力効率を改善したものだ

単一のワークロードを繰り返す用途で使う場合は、汎用(はんよう)的なGenoa(開発コード名)よりも、今回登場するEPYC 8004シリーズの方がTCO(Total Cost of Ownership)を削減できるとしている

 モデルによってCPUコアは8~64基構成で、TDPは70~225Wとなる。メインメモリはDDR5-4800規格のRDIMMで、最大6チャンネル構成に対応している。外部バスはPCI Express 5.0(最大96レーン)で、一部をSerial ATAレーンやCXL 1.1+レーンに振り替えることも可能だ。


EPYC 9004シリーズとの比較。EPYC 8004シリーズはCPUソケットが異なり、シングル稼働専用となる

ラインアップ

 EPYC 8004シリーズのラインアップは以下の通り。なお、モデル名末尾の「P」はシングルプロセッサ専用モデルであること、「N」はNEBS(Network Equipment Building System:米国における通信事業者向け機器の規格)に最適化されたモデルであることを示す。

  • 8コア16スレッド(L3キャッシュ:32MB)
    • EPYC 8024P(2.4GHz~3GHz、標準TDP:90W/cTDP:70~100W)
    • EPYC 8024PN(2.05GHz~3GHz標準TDP:80W)
  • 16コア32スレッド(L3キャッシュ:64MB)
    • EPYC 8124P(2.45GHz~3GHz、標準TDP:125W/cTDP:120~150W)
    • EPYC 8124PN(2GHz~3GHz、標準TDP:100W)
  • 24コア48スレッド(L3キャッシュ:64MB)
    • EPYC 8224P(2.55GHz~3GHz、標準TDP:160W/cTDP:155~255W)
    • EPYC 8224PN(2GHz~3GHz、標準TDP:120W)
  • 32コア64スレッド(L3キャッシュ:128MB)
    • EPYC 8324P(2.65GHz~3GHz、標準TDP:180W/cTDP:155~255W)
    • EPYC 8324PN(2.05GHz~3GHz、標準TDP:130W)
  • 48コア96スレッド(L3キャッシュ:128MB)
    • EPYC 8424P(2.5GHz~3.1GHz、標準TDP:200W/cTDP:155~255W)
    • EPYC 8424PN(2GHz~3GHz、標準TDP:155W)
  • 64コア128スレッド(L3キャッシュ:128MB)
    • EPYC 8524P(2.3GHz~3.1GHz、標準TDP:200W/cTDP:155~255W)
    • EPYC 8524PN(2GHz~3.1GHz、標準TDP:175W)

EPYC 8004シリーズのラインアップ

EPYC 8004シリーズを搭載するサーバの例

EPYC 8004シリーズの通常モデルと、Intelの第4世代Xeonプロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)の主要モデルの「SPECpower_ssj」のスコアを比較したスライド。シングルプロセッサ構成における消費電力あたりのパフォーマンス(ワッパ)の優秀さをアピールしている

エッジサーバではよくあるであろう、動画のトランスコードも競合よりも高速に行えることをアピールしている

IoTゲートウェイとしての処理パフォーマンスも優秀だという

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