「IdeaPad S10e」から15年――レノボ・ジャパンのコンシューマーPCの歩みを振り返る(1/3 ページ)
レノボ・ジャパンが日本のコンシューマーPC市場に本格参入してから15年を迎えた。同社がその歩みを振り返るイベントを開催したので、実機の写真を交えつつ昔を振り返ってみようと思う。
レノボ・ジャパンは2月7日、のコンシューマー向けPCの15年間を振り返る報道関係者向けのイベントを開催した。
2005年5月、同社は日本アイ・ビー・エム(日本IBM)からPC事業を継承する形で発足した。当初は日本IBMから継承した「ThinkPad」「ThinkCentre」といったビジネス向けPCを展開していたが、2008年からコンシューマー向けPCに本格参入した。
そして現在は、メインストリームの「Idea(アイデア)」、プレミアムラインの「Yoga(ヨガ)」、ゲーミング用途に最適化された「Legion(レギオン)」「LOQ(ロック)」の4ブランドを展開している。
この15年間、どのようなPCが登場したのだろうか。特に注目すべきモデルを振り返ってみよう。
コンシューマー向けPCの振り返りを担当した、レノボ・ジャパンの櫛田弘之氏(コンシューマ製品事業部 部長)。手にしているのはCES 2024でグローバル発表された「Legion 7i Gen 9(16型)」と思われ、日本への投入を検討しているという
全ては「ネットブック」から始まった
先述の通り、レノボ・ジャパンは当初、Thinkブランドのビジネス向けPCを展開していた。米IBMと中国Lenovoとの契約に基づき、Thinkブランドの製品には原則としてIBMロゴが付いていたが、2008年の新製品からはIBMロゴを外して販売するようになった。
レノボ移管後も、Thinkブランドの製品には原則としてIBMロゴが付いていた。しかし、日本では2008年2月に発売された「ThinkPad R61」のCore 2 Duo T8100モデル(画像)以降はIBMロゴを省くようになった(IBM時代にない新ブランドとして投入されたデスクトップワークステーション「ThinkStation」は当初からIBMロゴ抜き)
これと並行して、同社ではコンシューマー向けPCへの本格参入を模索していた。
Lenovo(レノボ)ブランドを冠する(IBMブランドを付与しない)PC自体は、2006年に登場した「Lenovo 3000シリーズ」がよく知られている。しかし、Lenovo 3000シリーズは小規模ビジネス(SOHO)向けモデルであり(今でいうと「ThinkBook」や「ThinkPad Eシリーズ」「ThinkCentre neoシリーズ」が担う部分)、コンシューマー向けではなかった。
同社初のコンシューマー向けPCはどうあるべきか――検討を進める中で、いわゆる「ネットブック(Netbook)」のブームが訪れた。その名の通り、ネットブックはインターネットを楽しめる最小限のスペックを備えたノートPCで、中には5万円を切るものもあり、PCの購入障壁を大きく下げた。
このブームをチャンスと捉えた同社は2008年12月、初めてのコンシューマー向けPCとして「IdeaPad S10e」を発売した。発売当初の税(8%)込み直販価格は5万4800円だった。
IBM時代からの実績もあり、ビジネス向けPCでは知名度の高いレノボだったが、コンシューマー向けでは“新参者”。販路の開拓は結構大変だったようだ。それでも、当時のネットブックブームも手伝って、IdeaPad S10eは一時的に国内在庫が枯渇するレベルのヒットを記録した。
その後、2009年3月には同モデルの廉価版として「IdeaPad S9e」も登場している。
レノボのコンシューマー向けPCの“足がかり”は、ネットブックだった。ここから、さまざまなフォームファクターのPCが登場することになる。
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